万博見据えタッチ決済が急拡大、関西の鉄道4社が29日一斉導入【コラム】
2025年大阪・関西万博の開幕まで半年を切り、「ミャクミャク」ラッピングの新幹線なども走り始めた今日この頃……関西の鉄道事業者を中心にクレジットカードなどのタッチ決済を導入する鉄道事業者が急拡大しています。最近の動きを追いました。
大手4社が一斉導入
近鉄、阪急、阪神、Osaka Metroの4社は2024年10月29日(火)にタッチ決済を導入します。今月9日に一斉に発表され、話題を呼んでいます。
三井住友カードの提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit」を活用。タッチ決済対応のカード(クレジット・デビット・プリペイド)やカードが設定されたスマートフォンなどで鉄道に乗車できるサービスを提供します。
近鉄は柏原駅と生駒ケーブルを除く全線、阪急は神戸高速線 花隈駅を含む全駅、阪神は西代駅を除く全駅、Osaka Metroは全駅で対応。結果、関西エリア(一部東海エリア含む)548駅で新たにタッチ決済乗車が可能になります。
対応ブランドはVisa・JCB・American Express・Diners Club・Discover・銀聯で、Mastercardについては今後追加予定ということです。
関西では2020年に他社に先駆けて導入した京都丹後鉄道を皮切りに、南海電鉄、泉北高速鉄道、大阪モノレール、神戸市営地下鉄、神戸新交通、神戸電鉄、神戸六甲鉄道(六甲ケーブル)がすでに導入済み。
三井住友カードは「関西エリアの鉄道では今後もタッチ決済乗車が利用可能な路線・駅が拡大予定で、2025年春にはさらに多くの路線・駅で同タッチ決済をご利用いただける見込みです」と伝えています。一例として、Osaka Metroと直通する北大阪急行電鉄が2025年3月から全駅で導入することを明らかにしています。
大阪・関西万博だけではない導入の契機
こうした動きの背景にあるのが「2025年大阪・関西万博」です。世界中から多くの方が関西を訪れることが予想されており、日本の券売機に不慣れな方や国内外問わずICカードをお持ちでない方などでもスムーズに乗車できる手段を提供する必要がありました。
諸外国においてはカードのタッチ決済による鉄道乗車サービスは日本に先んじて普及しており、慣れ親しんだ方法を提供することで便利・快適な移動を可能とします。事業者側としても現場対応コストを抑えられるメリットがあり、人手不足への対策にもつながります。
【参考】
わずか1年で取引件数が38.1倍に――「Visaのタッチ決済」が日本の公共交通機関で急拡大 実は大手鉄道事業者も興味津々?【コラム】
https://tetsudo-ch.com/12845962.html
関西エリアでは大阪・関西万博の後に統合型リゾート施設(IR)の開業が控えており、インバウンドの更なる増加も見込まれます。関東でも東急電鉄や東京メトロなどが試験的に導入していますが、大手私鉄の動きは慎重です。万博を機に一気に環境整備の進んだ関西との差が今後どのようなかたちであらわれるのか、目が離せません。