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「日本人の価値観を取り込んでいきたい」出前館のサービス支えるAI技術の裏側

キャリコネニュース

株式会社出前館 取締役執行役員兼プロダクト本部長の鈴木 孝知さん(同社提供)

かつては「出前」と言われた「フードデリバリー」は、コロナ禍の新しい生活様式の普及に後押しされ、急速に日常化している。グローバルサービスを展開する企業が次々と国内に参入している今、20年来フードデリバリーサービスを手掛けてきた株式会社出前館は、日本人の価値観に合った視点でサービスの独自性を見出す。

サービスを支える根幹は独自で開発したAI技術だ。競合他社を突き放すべく出前館が打ち出す策とは。取締役執行役員でプロダクト本部長の鈴木孝知さんに話を聞いた。(文:千葉郁美)

コロナ禍で急速に普及。進化するフードデリバリー

フードデリバリー業界で日本最大級の規模を誇る出前館は、従来の電話による「出前」をインターネットで注文できるようにした、フードデリバリーの草分け的存在だ。

「それまでは国内の競合他社だけを相手にしていたのが、今ではグローバル企業が競合他社になった。求められるシステムのレベルが、中身も質もすごく上がったなと感じています」(鈴木さん)

手強い競合と戦っていく上では、AIをどう活用していくかがカギになる。

フードデリバリー業界はAIの活用が盛んだ。フードデリバリーはEC業界の中でも圧倒的に注文単価が低いことから、注文数が多い。そのためにAIの精度を高めるだけの情報量がある。AIが処理する情報量については、日本全国でサービスを提供している出前館は国内サービスの中でも優位と言っていいだろう。出前館では全国各エリアの購買データ、配達データ、飲食店のデータが日々蓄積されている。

また、グローバル企業との差別化を図るには、サービスの独自性が重要だ。出前館は日本人の価値観に合うサービス提供に注力する。

「日本には、日本ならではのこだわりのようなものがあります。注文を選ぶ時や運ばれてきた料理そのものに期待すること、日本人ならではの価値観ですね。その部分をAIに組み込んでいこうとしているところです」(鈴木さん)

日本人の価値観に合うようにAIを最適化

出前館が取り組む「日本人ならではの価値観」とはどういったものなのか。鈴木さんは「料理をおいしい状態で届けることが重要」と話す。

「出前館では、"温かいものを温かく、冷たいものを冷たいまま配達する"ことを目標にしてAIの開発を進めています。
これまでフードデリバリーでは、とにかくスピードを追及して各社競ってきたところがありましたが、それはもう差別化が難しい域まで達しています。その上で、出前館が考える日本のフードデリバリーに求められることは、美味しい料理を食べるまでの時間をいかに短くするかということです」(鈴木さん)

料理を注文してから食事がテーブルに運ばれるまでの時間は店や料理によって大きく違う。ファストフードであれば注文から出来上がりまで5分程度だが、レストランなら調理に20分かかるものもある。

「料理を出来立ての状態でユーザーの元に届けるためには、出来る限り無駄のない動きをすることが求められます。料理が出来上がってお店の人が袋に詰め、テーブルに置いた瞬間にドライバーが持っていく。この時間を0秒にするように最適化したAIを作ろうとしています」(鈴木さん)

また、注文した料理に対して、配達の丁寧さを気に掛けるのも日本人ならではの価値観だ。特に配達に気を使うのはラーメンやうどん・そばといった汁もの。こうした料理の配達品質を保つために、汁漏れを起こさない?容器を大手容器メーカーと共同開発した。

「開発したパッケージなら、どんなドライバーが配達しても品質にばらつきが出にくいです。こうしたことも日本人の価値観を重視した取り組みです」(鈴木さん)

■注文の煩わしさを解消するレコメンド機能

さらに、出前館はサイト上においてユーザーが注文の手間を減らすために「レコメンド機能」の開発にも力を入れる。料理を食べたいためにサイトに訪れるユーザーが注文作業に10分も20分も時間をかけさせないようにするという仕組みだ。

「現在、ユーザーが出前館で注文しようとしたら数多くの店舗から選べる状態にあるのですが、その中でも"今食べたいものはこれでしょう?"とレコメンドすることで、極力注文の手間をなくす。そういったパーソナライズの面でもAIが重要なポイントとなります。日本人が求める価値観に合わせたAIというのを、デリバリーやUIにおいても実現していきたいですね」(鈴木さん)

今が成長フェーズ。躍進に向けた新たな取り組みにまい進

昨今の在宅サービス需要に後押しされたフードデリバリー業界は、今こそが成長フェーズだというマーケットからの期待も高まる。とうぜん、出前館も新たな価値創造に前のめりだ。

「今、出前館は作りたいものが作れる、やりたいことをどんどんできるという面白い現状です。これいいね、ユーザーや加盟店のためになるよね、というのを開発できる環境だし、どんどん提案ができる。フードテックを推進する企業としてさらにまい進していきたいですね」(鈴木さん)

出前館はテックファーストのデリバリーのプラットフォーマーを目指し、さらなる技術開発に注力する。

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