外来種<アメリカザリガニ>を美味しく食べるためのポイント 米国や中国ではごちそう?
「アメリカザリガニ」と聞くと、子どもの頃に近所の池で釣ったことを思い出したり、“厄介な外来種”というイメージを持ったりする人が多いと思います。
では、「アメリカザリガニって食べれるの?美味しいの?」と疑問に思ったことはあるでしょうか。
伊勢海老のように輝く真紅の甲殻、カニのように身がたっぷりと詰まっていそうなハサミ、見た目だけならアメリカザリガニは食用として普及してもおかしくなさそうですが、日本では一部の地域を除いて食べる文化がありません。
そして、私たちが想像するアメリカザリガニといえば、ドブ川などの汚い場所に生息している生き物と認識している方も多いはず。
しかし、世界を見渡せばアメリカザリガニを食用としている国が存在します。その味はエビやカニに似た甘味があり、調理次第で美味しく化けるポテンシャルを秘めているのです。
そこでアメリカザリガニを美味しく食べるためのポイントをまとめました。
アメリカザリガニは「どこで育ったか」で味が決まる
アメリカザリガニを美味しく食べるためにいちばん必要なことは、綺麗な水質で獲れた個体を入手することです。
ドブ川や下水で育った個体は、化学物質や農薬が体に蓄積されているだけでなく、酷い臭いまで染み付いてしまい、いくら泥抜きをしたところで臭みを完全に消し去ることはできません。
美味しいアメリカザリガニの入手、採取場所
美味しく食べられるアメリカザリガニは、湧水の小川で獲れるものが狙い目です。例えば「住んでいる地域 湧水」で検索すると、採集場所が出てくることがあります。
なお、アメリカザリガニは2025年10月現在、特定外来生物に指定されています。販売目的での捕獲や捕獲したアメリカザリガニの放流は法律で禁止されているので、獲ったアメリカザリガニを逃がすことは絶対にないよう注意してください。
採集するのが困難という場合、ネットショップなどで「食用ザリガニ」を手に入れましょう。業務用のスーパーに販売されていることもあるようです。
必ず守るべき! アメリカザリガニを食べるときの注意点
調理法に入る前に約束してもらいたいのは、「生では食べないこと」。アメリカザリガニには寄生虫がついていることがあるため、加熱して食べるのが鉄則です。
泥抜きの方法&臭みをとる下準備
捕獲したアメリカザリガニを2〜3日間、清水が入ったバケツで泳がせましょう。エサは一切与えず、水が汚れてきたら水換えをするのがポイントです。
泥抜きをすることで、消化器官の内容物(死んだ魚の肉など)を出し切り、臭みをとることができます。
安全に食べるための加熱方法
泥抜きが完了したら、沸騰したお湯で10~15分加熱してください。
この際に塩やお酒、お好みのスパイスを加えることで臭みをとり、旨みをプラスすることもお勧めです。
下処理の手順&背ワタの取り方と殻の扱い
加熱が完了したら「背ワタ」を取り除きます。処理が済んだら尾身、剥き身、上半身に分けると、その後の調理がスムースです。
ちなみに、ソース料理を作る場合は、殻がついたままだと殻にばかりソースを取られ、身に上手に味がつかない可能性があるので、殻を完全にとることをお勧めします。
なお、調理法によっては、加熱と下処理が逆転しても構いません。ここまで完了したら、あとは美味しく調理していきましょう。
アメリカザリガニを食べる国と人気料理
ここで、アメリカザリガニが食用として普及している国を紹介します!
アメリカ南部では、ケイジャン料理やクレオール料理など様々な場面で、アメリカザリガニが食材として頻繁に使われています。
中国に至っては、21世紀頃から“ザリガニブーム”が起きているようで、中国水産学会によると「中国は世界最大のアメリカザリガニ生産国」とのこと。中華料理では「小龍蝦」と呼ばれ、とても人気の高い食材です。
豊かな食文化を持つ日本だからこそ、「ちょっと見た目が悪い」「美味しくなさそうというイメージ」だけで、本当は美味しい食材を見過ごしてしまうことがあります。
けれど世界では、アメリカザリガニは立派なごちそう。一歩踏み出して挑戦すれば、意外な美味しさに出会えるかもしれません。
(サカナトライター:ティガ)