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伊勢原協同病院 JMAT第8隊として派遣 志賀町で支援活動展開〈伊勢原市〉

タウンニュース

(左から)内田さん、吉岡医師、谷本さん、小牟禮さん

甚大な被害をもたらした能登半島地震発生から2カ月余りが経過した。神奈川県医師会の要請を受け秦野伊勢原医師会は2月22日から25日まで神奈川JMAT(日本医師会災害医療チーム)の第8隊として伊勢原協同病院の医師、看護師、事務員4人を石川県志賀町に派遣した。

JMATは災害直後に派遣されるDMAT(災害派遣医療チーム)の活動を引き継ぎ、被災地の公衆衛生の回復や地域医療の再生支援を目的に活動する。

派遣されたのは伊勢原協同病院の医師である吉岡研之さん(救急科副部長)、看護師の小牟禮明子さん、谷本理恵さん、事務員の内田守彦さん。活動場所は石川県志賀町の富来防災センター、東小室会館、町立富来病院や稗造公民館。2月22日早朝に出発し、正午ごろに石川県庁に到着、JMAT能登中部調整支部を経て、同日午後3時過ぎに現地入り、活動を開始した。

現場に向かう途中では交通規制なども行われ、先に進むほど道路に亀裂が走り、陥没している箇所、ガードレールが埋もれているようなところもあったという。内田さんは「応急的な補修はされており、走行は特に問題はなかったが、車の揺れはすごかった」と振り返る。小牟禮さんは「建物はあるが、歩いている人がほとんどおらず違和感を覚えた」と話す。

チーム一丸となって避難所・病院を支援

現場での主な業務は避難所などを巡回し、現地での診療がうまく機能するよう支援を行うことであり、救急外来の診療支援や避難所の状況確認などを行った。到着前にはコロナも蔓延していたが「私たちが着いたときは終息に向かっていた。隔離されている人もいたが、避難所は非常に清潔で細かな部分まで行き届いていた」と谷本さん。

医師と看護師のサポートにあたった内田さんは「移動がタイトだったため、避難所の状況報告を入力する作業は車内で行うことも多かったが、メンバー間で協力して行えた」と振り返る。

複数のチームが避難所で活動するため「避難者の方に声掛けすることが必ずしもいいことではない場合もあり、難しいと感じた。相手の気持ちを考えることやチーム間の情報共有の重要性を痛感した」と谷本さん。内田さんも同様に「どのような言葉をかければ医療ニーズを的確に捉えられるか、また避難所内のプライベートな生活空間にどこまで入り込んでよいものかと様々なことを考えさせられた」と語る。

兵庫出身の谷本さんは「阪神大震災の時は大阪で働いていたが、神戸では何もできなかった。今回、派遣させていただき誇りに思う。病院はもちろん、個人的な日常の備え、患者さん自身も自分がどんな病気でどんな薬を飲んでいるのかを知っておくのも大切だと感じた。また、支援を行う中でチームとして成長を感じることができ、貴重な経験だった」。

小牟禮さんは「私たちを気遣ってくれる被災者の方たちのやさしさを感じた。こうした体験を今後に生かせれば」と述べた。内田さんは「災害時対応の下地作りに繋げることができた。今回の経験を地域への防災、災害対策に役立てなくてはならないと考える」とした。

「災害直後に現地に赴いて何ができるのかというイメージがあまり持てなかった」と心情を吐露する吉岡医師。今回の派遣で患者や被災者が何を求め、どう対処すればよいのかを学ぶ貴重な機会になったという。吉岡医師は「神奈川でもいつ大災害が発生するかわからない。こうした医療は誰かがやればよいということではなく、今度は自分たちが助けてもらう側になるかもしれない。互いが助け合うということが最も重要」と語った。

現地での診療の様子

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