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劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』 監督・満仲 勧インタビュー②

Febri

TOPICS2022.05.19 │ 12:00

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』


監督・満仲 勧インタビュー②

第25弾となる『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の監督として抜擢された満仲 勧。数々の青春アニメやミステリーを演出してきた彼が、熱い人間ドラマに託したものとは。裏話満載のインタビュー、その後編をお届けする。

取材・文/髙野麻衣

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』

「怒り」は愛でしか止められない

――高木と佐藤、警察学校組というメインに加え、エレニカや村中といったキャラクターたちの人間ドラマも重層的に描かれた本作。コナンや安室の新たな魅力も生まれ、涙せずにはいられないシーンの多い作品でした。
満仲 よかったです。終盤、エレニカに対するコナンの行動に関しては、これで伝わるだろうかと心配だった部分もあるんです。でも、「怒り」というのは言葉じゃないもの、言ってしまえば愛でしか止められないことがある。そう考えて、劇中のように演出しました。青山(剛昌)先生も「すごいよかった!」って言ってくださって、受け入れてもらえて本当によかったです。

――そうした人間ドラマを描く際、『ハイキュー!!』などこれまでのキャリアや、ご自身の経験が生かされた部分はありますか?
満仲 作品づくりだけではなく、自分がこういうことされたらうれしかった、悲しかったという経験を、そのままコンテに起こしている感覚はあります。やっぱり人生のなかには、コイツむかつくなぁって思ったり、反対にすごく感謝したりとか、いろいろな感情の動きがあるじゃないですか。そういう経験からのフィードバックを、自分の中にしっかり書き留めているつもりです。

――なるほど。監督の人間ドラマがリアルで、心に響く理由がわかった気がします。逆に今回、『名探偵コナン(以下、コナン)』の作品づくりから学んだことなどはありますか?
満仲 警察学校組の3年前の回想シーンは、コンテをけっこう描き直したんです。彼らは「チーム」というのが大前提なんですけど、その中でも「もう少し、ひとりひとりを目立たせてほしい」と青山先生からリクエストがあって。その辺のこだわりは印象的でした。

ぶっ飛んだアイデアが出る青山剛昌先生のすごさ

――もうひとつ、『コナン』の特徴といえば、クライマックスの壮大なアクションですよね。
満仲 最初のアイデア出しのときに、先生が「これ、どうやって解決しようか。うーん……」ってすごく悩まれていたのですが、突然最終的な結論を話し始めて。「こうやればうまくいくんじゃない?」みたいなノリなんです。その場であのぶっ飛んだアイデアが出るっていうのは、やっぱり先生のすごさだなと驚きました(笑)。

――本当ですね(笑)。その構想を監督がコンテにしていったわけですが、その際、こだわった点はありましたか?
満仲 ヘリコプターでの格闘シーンですね。最初のシナリオが上がったときに「こういう映像を作りたい」っていうのがパッと浮かんだんです。ワンカットでグルグル回りながら、上からカメラが入っていく。そこでずっと戦っているという、30秒ぐらいあるカットなんですけど。最初からあれをやりたいと思っていて、いいアイデアだなっていう喜びと同時に、こんな大変なカットをいったい誰が描くんだっていう怖さもあって。

現場の信頼関係があったからこそ、自分のよさを出しきれた

――最高にカッコいいかたちで実現しましたね。菅野祐悟さんの音楽もハマっていて、大興奮のシーンでした。菅野さんも今回が『コナン』初参加ですよね?
満仲 はい。初参加組として、決まった段階でいろいろとお話をさせていただきました。『コナン』には当然、大野(克夫)さんによる偉大な音楽がありますから、完全に変えてしまうともうそれは『コナン』の世界から逸脱してしまう。だから、大野さんの世界観のよさを残しつつ、新しいものを作っていけたらと考えていて。菅野さんは菅野さんで「大野さんの曲のこういう部分は、俺にはもう想像もできない」とリスペクトがすごかった。「あのメインテーマにはサックスがいちばん似合う」っていうのも最初から言っていましたね。ただ、あまりに寄せては菅野さんが参加する意味がなくなってしまうので、おふたりのよさが両立するバランスを考えていきました。僕自身ももちろん原作を読んで勉強しましたが、あまりにも『コナン』を意識しすぎると、なんだか自分のよさみたいなものがうまく出せずに終わってしまう気がしたんです。それに、もし、逸脱しすぎても、青山先生やスタッフの方々が「お前やりすぎ!」とか「もうちょっとこうだよ」とか、いろいろ教えてくれるのがわかっていたので。皆さん、本当にいろいろ教えてくれるんですよ(笑)。

――現場の信頼関係が伝わってきて、ドキュメンタリーで見たいくらいです(笑)。監督の2作目を希望するファンも多いのではないかと思いますが、今後『コナン』の世界で描いてみたい人物やエピソードなどはありますか?
満仲 黒ずくめの組織かなぁ。

――やりますか!
満仲 だって黒田(兵衛)とかラムとかね。気になるじゃないですか。知りたいじゃないですか(笑)。

――ぜひ見たいです! 本作を心待ちにしていたファンへのメッセージもぜひ。
満仲 コロナ禍で第24弾の公開が1年延びてしまいましたが、その分、25弾はより時間をかけて作ることができました。じっくり作れたすごさみたいなものを……って自分で言うのもなんですが、作品に込めることはできたと思いますので、皆さんが楽しんでいただけるとうれしいです。

満仲 勧みつなかすすむ アニメーション監督。『おおきく振りかぶって』の脚本・演出・アクション作画監督などを経て、2013年『キューティクル探偵因幡』で監督デビュー。代表作に『ハイキュー!!』『レイトンミステリー探偵社 〜カトリーのナゾトキファイル〜』など。作品情報

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』
大ヒット公開中

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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