Yahoo! JAPAN

家入レオ 強い意志と歌声で10年間の軌跡を魅せた10周年記念ライブ・東京ガーデンシアター公演をレポート

SPICE

家入レオ

10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター


2022.2.20 東京ガーデンシアター

これまでも、これからも。その歌声と強い意志は輝きを放ち続ける。

2022年2月15日にデビュー10周年を迎え、2月16日にキャリア2作目のベストアルバム『10th Anniversary Best』をリリースした家入レオが、『10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター』と題した約2年半ぶりの有観客ワンマンライブを、2月20日に東京・東京ガーデンシアターにて開催。これまでに発表してきたたくさんの作品の中から、“今、届けたい”という真っ直ぐな気持ちのまま楽曲たちをたぐり寄せ、色とりどりの感情と歌声で彩った彼女は、冒頭に記したことを確かに感じさせてくれた。

まず、ステージを覆う紗幕に映し出されたのは、これまでのライブ映像。この時点でもう胸が熱くなる。カウントダウンが終わるやいなや、紗幕に家入のシルエットが浮かび上がり、待ちかねた1曲目は「恍惚」だ。いきなり揺さぶってくる始まりに、意表を突かれたファンも多いのではないだろうか。澄んでいながらも、艶っぽさをたたえた歌声。間奏で紗幕が上がり、家入がいよいよ姿を現した瞬間。生で歌声と音を浴びて、その姿を目に焼き付けることができる時間と空間は、やはり格別であることを思い知らされる。

家入レオ  撮影=田中聖太郎

強がって尖ったままの少女が見える「Linda」。バンドサウンドに身を委ねて真っ赤なトップスの裾を揺らしながら歌う「Fake Love」。1stアルバム『LEO』に収録されたナンバーたちが鮮度を失わないのは、進化や成長はしながらも、彼女の軸がブレていないからだ。

「みんなの顔、見せて見せて! (客席を広く見渡しながら)一番奥まで、本当にありがとう。みんなの前で歌うのは2年半ぶりで、本当に楽しみにしてたんだよ? やっぱり胸がいっぱいになりました。本日、このライブを迎えられて、11年目幸先がいいなと思っています。2022年2月20日に私が届けられるのはこの曲だ、という想いでセットリストを組みましたので、この10年、みんなと刻んできた日々を共有できたら嬉しいです」

そう挨拶して、「空と青」へ。青いライトに照らされたピアノ伴奏のみの歌い出しから心をつかんで、柔らかで温かな歌声もファルセットも本当に美しい。

家入レオ  撮影=田中聖太郎

コロナ禍にあって声は出せなくとも、オーディエンスがクラップにありったけの想いをこめた「太陽の女神」。続けた「僕たちの未来」「希望の地球」では、ステージを左に右に軽やかに駆けながら、「心の中で歌って!」と呼びかけながら、客席に向かって手を振ったり、自らもクラップしたり。オーディエンスが心の中で響かせた歌声は、家入にきっと届いている。

「みなさん、楽しんでいますか? 私もすごく楽しいです。自分の言葉とメロディで10周年の想い、“ありがとう”ということだけではなくてもうひとつ奥のことをみんなに伝えたいと思って曲を作りました。10代から20代にかけての変化、進化の途中で、自分が自然に選び取ってきたことに対して、家入はいったいどこに向かおうとしているんだろうって不安になったり心配になったりしたこともあると思うし、私は私でこういなきゃいけないって自分に課していたこともあった。でも、一緒にいるってきっとそういうことで。くっついたり離れたりしながら歩いて、2022年2月20日、今日このライブに辿り着いてよかったな、人生ってめちゃくちゃいいなって思ったの。10年で終わりではなくて、20周年を目指して音楽を作っていく中で、またひと悶着もふた悶着もあると思うけど(笑)、いつでも真っ直ぐ音楽を届けていきたいし、みんなと一緒に歩いていきたい。みんなというか、ひとりひとりに向けて作った曲です」

“僕の夢を 僕以上に信じてくれる 君”への愛と感謝と誓いを束ねた、「花束」。“傷付き すれ違ったけど”、いや、傷付きすれ違ったからこそ、“一緒にいる 今日という今”が愛おしい。

家入レオ  撮影=渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

幕間のVTRでは、“10年前の私”と“10年後の私”にメッセージを送った家入。「あなたがいてくれたから私は今ここにいます」「これからも自分に正直にいてね。不器用でも自分なりの届け方をやめないで」。彼女自身の自己肯定の言葉は、誰かの胸に刻まれて、時に背中を押してくれるだろう。

トップスとロングスカートを黒でまとめた衣装に着替え、「Silly」から見せつけたのは、のちのMCで彼女が言った通りの“魂の色”だ。くるくる回りながら何度も叫び、“君が一番嫌い”と感情むき出しにした「ファンタジー」。葛藤に向き合う歌、窓から差し込む一筋の光を表現する照明演出に引き込まれた「もし君を許せたら」。愛憎の気迫にただただ圧倒された「未完成」。一転、カラフルなライティングと少し歪なファンタジックムードの中で可憐と狂気を行き来する姿に翻弄された「JIKU」。「この曲たちをこの曲順で届けたい」と彼女自身が決めたこのブロックは、まさに家入レオの真髄を示していたように思う。

「変わらないものを持ち続けて、ステージに立っていきたい。この10年という節目に、20周年を目指したい、やっぱり私には音楽なんだって思えたことがすごく嬉しいし、あらためて覚悟を決めました。約6年ぶりに西尾(芳彦)先生とタッグを組んで誕生した曲をここで歌いたいと思います」

そう前置きしたのは、「Borderless」だ。西尾氏の設立した音楽塾ヴォイスの門戸を13歳で叩いてから、もうすぐ15年。さまざまな音楽スタイルに出会い、吸収してきた彼女が今放つエネルギッシュな歌声、“過去の弱さも全て 明日に光れ”という希望は、長引くコロナ禍で疲弊した世の中も明るく照らしてくれる。

家入レオ  撮影=田中聖太郎

「イジワルな神様」から「LAST STAGE」、「For You」への、どうしたって涙腺がゆるんでしまう流れ。15歳で書き上げ、デビュー曲となった「サブリナ」の感慨深さ。“愛なんていつも残酷で もう 祈る価値ないよ”という絶望で始まる「Bless You」の色褪せない衝撃。コール&レスポンスはできなくとも、一体感があった「Hello To The World」。家入レオの10年は、真っ正直で、実にすさまじくもある。

「目を閉じたら家入レオが目の前にいるような、距離感ゼロで歌います」と宣言したアンコール。「ずっと、ふたりで」、「君がくれた夏」と、オーディエンスそれぞれの思い出や感情が重なっていく。

「必ずまた、お会いしましょう」と約束して、「Shine」へ。その歌声が導いてくれるなら、きっと私たちも“自分らしく 生きてゆく”ことができる。

2022年10月からは、自身8度目となる全国ツアー『8th Live Tour』がスタート。人生には山も谷もあるけれど。彼女と一緒に歩んでゆく未来は、彩り豊かなものとなるに違いない。

文=杉江優花

【関連記事】

おすすめの記事