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【川崎市高津区】区内在住大原はじめ選手 視覚障害者に「プロレス」を 「共生」の観戦招待、今年も

タウンニュース

リングで観客を魅了した大原選手

大手プロレス団体「プロレスリング・ノア」に所属する人気選手・大原はじめさん(高津区溝口在住)が、8月11日にカルッツ川崎で開催された主催試合に、視覚障害者を招待した。6年目となる今回の観戦招待企画には約30人が参加。大原選手の発案で導入された、特別な「音声実況ガイダンス」を聞きながらプロレスの迫力を満喫していた。

大原さんは、現役のプロレスラーとして活躍する傍ら、介護にまつわる活動を通じて勉強と資格の重要性を再認識し、30代から学び直しを決意。現在は、星槎大学で学びを深めている。その中で「誰もが社会の一員として互いに支え合い、認め合う『共生』という概念を知りました」と話す。

そんな折、知人の眼科医を通して知り合った市内の視覚障害者から「健常者のように目で見られないので、エンターテインメントから取り残されてしまう」という話を聞いた。「世界から排除されている、というグサッとくる言葉だった」と当時の心境を明かすと共に「共生」の理念をプロレスの世界で体現すべく、所属団体に「音声実況ガイダンス」の導入を提案。団体の承認を得た後、川崎市の視覚障害者情報文化センターと連携しながら、視覚障害者へのプロレス観戦企画を、2020年から川崎大会限定で実施している。

専門の弁士が「実況」

大原さんが導入に向けて尽力した音声ガイダンスは、視覚障害者専門の弁士による実況が、専用のヘッドフォンを通じて観戦中に届けられる、というもの。技の種類や選手の動き、さらには場内の熱気までもが的確な言葉で表現され、視覚に障害がある人も、リング上の激しい攻防を頭の中で鮮やかに描き出せるという。

「今後も継続」

今回の観戦招待試合は8月11日。カルッツ川崎で開かれた「KAWASAKISUMMERVOYAGE」のタッグマッチに出場した大原さんは、パワー溢れる華麗な技の数々で多くの観衆を魅了。前出の弁士による実況も冴えわたり、観戦した視覚障害者からは「白熱の試合が繰り広げられ、感動した」「エンターテインメントの舞台に招いてもらえて嬉しい」などといった感想が数多く寄せられていた。

6年目となった観戦招待企画を終えた大原さんは「これからも、この取り組みを続けていきたい」と話しており、今後も誰もが同じ空間で、同じ熱量でプロレスを楽しめる「共生」の場を創造する方針を打ち出している。

試合に招待された参加者

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