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「うちの子、最近は学習系の動画で勉強しているので安心」と語る親の盲点、動画の分かりやすさが思考力を奪う罠

キャリコネニュース

画像はイメージ

「塾に行かなくても、解き方は動画で十分わかるみたいです」

教育系YouTuberの洗練された映像や図解、工夫されたテンポの良い解説は、一見するとお子さまの学習効率を劇的に高める画期的なツールに見えるかもしれません。保護者さまにとっても、お子さまが自発的に画面に向かって勉強している姿は安心感があるものです。

しかし、「わかりやすさ」という快感に頼り、最短ルートで正解にたどり着くことが習慣になってしまうと、お子さまの思考力は伸びません。

本記事では、教育系YouTubeの「わかりやすさ」が、なぜお子さまの思考力を育てる機会を奪ってしまう場合があるのか、詳しく解説します。(個別指導塾経営、プロ家庭教師:妻鹿潤 https://pro-megajun.com/)

最短ルートで答えを知る快感が、「なぜ?」を奪ってしまう

多くの学習系動画は、限られた時間の中で視聴者を飽きさせず、できるだけ分かりやすく解き方を教えるために作られています。

しかし、あまりにも分かりやすく整理された動画は、お子さまが自分で悩む時間を奪ってしまいます。

人間は、分からないことに直面した時に「どうしてだろう」「どこが違うのだろう」と考えます。計算を間違えたり、答えにたどり着けずに手が止まったりする中で、初めて自分の頭で考える力が鍛えられます。

ところが、動画はその迷いや遠回りをきれいに取り除き、最短ルートで正解を提示するものが多いです。

その結果、お子さまは自分で課題を解決したわけではなく、他人が考えた手順をなぞっただけなのに「分かった」という強い満足感を得てしまいます。

特に注意したいのが、テストの点数を取るための「記号の暗記」になっているケースです。

例えば、本来の理科の学びは、素朴な疑問から始まります。

●なぜ、めしべはベタベタしているのか。

●なぜ、花びらは派手な色をしているのか。

●なぜ、植物はこのような形で子孫を残そうとしているのか。

このような「なぜ?」を考えることで、植物の構造は単なる名前ではなく、生き物の仕組みとして理解されていきます。

ところが、系動画では、植物の生態への驚きや好奇心に触れることなく、「この特徴があれば『めしべ』と答える」といった形で、テストに必要な知識が効率よく説明されることが多くあります。

その結果、動画を見た直後は器官の名前を答えられるのに、実際に目の前の花を観察すると、どれがめしべなのか分からない。そんな奇妙な状態が起きてしまうのです。

動画を見るだけで「分かった」と感じることと、自分の目で見て、自分の頭で考え、使える知識として理解することは、まったく別のものなのです。

初見の問題や正解のない課題に直面したときの弱さ

動画による効率的な暗記学習を進めたお子さまは、あらかじめ用意されたパターンに当てはまる問題には素早く正確に対応できます。定期テストの直前対策などでは、一時的に点数が上がることもあるでしょう。

しかし、以下のような場面に直面した際、その学習法の限界が露呈します。

1.問題の聞き方や条件が少し変わった初見の問題

2.複数の単元の知識を自分で組み合わせて解く応用問題

3.社会に出てから直面する、正解が一つではない課題

これらに直面した際、思考の体力が育っていないお子さまは、どのように手を付ければよいか分からず、すぐに「習っていないから無理だ」と諦めてしまいます。

型をコピーするだけの学習は、すでに用意されたレールの上を走るのには向いていますが、レールのない場所を自分で切り拓く力を育てることはできません。

必要なのは答えではなく、悩んで考えるプロセス

教育系動画のすべてを否定する必要はありません。視覚的な理解を助けるなど、補助的なツールとしては非常に優秀です。大切なのは、その利用方法と距離感です。

動画をただ眺めて解き方を覚えるだけでは、思考力は育ちません。自分で考える力を伸ばすためには、動画を見た後に、以下のようなステップを挟むことが不可欠です。

●一度画面を閉じて、自分の力だけで同じ問題をノートに解き直してみる

●「なぜこの解き方になるのか」を、自分の言葉で説明してみる

●途中の計算式や図を、省略せずに自分の手で書き起こす

お子さまが画面に向かって大人しく勉強していると、保護者さまはついつい安心してしまいます。しかし、その「わかりやすさ」という親切な環境が、実はお子さまの思考力を奪ってはいないでしょうか。

変化の激しいこれからの時代を生き抜くために本当に必要なのは、スマートに用意された正解ではありません。答えのない問いに直面したとき、泥をすすりながらでも自分の頭で考え抜く、タフな試行錯誤の時間そのものなのです。

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