【お悩み】就活中、不安がいっぱいでかなり心がすり減ってきました…立ち止まるのも不安です…どうすればいい?#70
はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。
いやはや、なんだかややしばらく、慌ただしい日々を送らせていただいているあたし。
副実行委員長として準備を進めてきた、「さっぽろレインボープライド2024」の2024年の開催はひと段落。
今年は来場者数約3万人。これまでにないたくさんの人たちと一緒に、札幌の街でのLGBTQプライドパレードを創り上げることができました。
その2日間のエネルギーが、終了してからもまだ持続しているらしく。
あたしたちの活動に何がしかの触発を受けた方々から、「こんなことしようよ」「一緒に色々取り組みたい!」と、様々なお声がけをもらったりしています。嬉しいことだなぁ。
その反面「うう、悔しい」となっているのが、おのれ自身のキャパシティ不足。
人間ってさ、やっぱりひとりでできることやこなせることって、伸び代はあったとしても上限みたいなものがあるじゃない?
自分の夢や目標、そこに向かうバイタリティだけではなく、フィジカル的な余力や時間の余裕もないと、結局うまくいかないというか。
最近その調整に個人的に苦労したりしているのよね。とほほ。
そんなタイミングで、なんと今の自分にもドンピシャな相談内容が。ご紹介させてください。
読者のお悩み:就活中、不安がいっぱいで心に余裕がなくなってしまう…どうしたらいい?
やぁん!いつも読んでくれているなんて嬉しいコメント、なんだかとっても励みになるわ!
にしても、ペンネームになっている「カモミール」……その花言葉って「逆境を乗り越える」とかじゃなかったかしら……?
なんだか、今相談者さんの置かれている状況の厳しさが、そんなところにも滲み出ているような気がするというか。
それこそ、カモミールティーはメンタルを落ち着かせるのに効果的らしいから、ちょっと一服してリラックスしてほしいなぁとも思ったり。
ともあれカモミールさん、まずはお手紙送ってくださりありがとうございます!
就活は、人生の前半戦で直面する大きな(というか、大きく見えてしまう)選択のひとつだし、そうであるがゆえに当然気も張っちゃうよね。日々お疲れ様だよぅ。
にしても、書いてもらっている諸々からですら伝わってくるけれど、カモミールさんはご友人の言う通り、どうやら確かに「頑張りすぎ」のきらいがあるみたいね。
あなたおそらく、企業さんとのやり取りは相当真面目に取り組んでるんだろうし(あたし、必要なレスポンスでも気がつくと遅れちゃってるタイプだから、しっかり連絡対応できる人尊敬するわ……)、面接やインターンといった「就活といえば」なイベントにも、可能な限り出席していたりするんじゃないかしら。
そこに学業やアルバイト、資格習得まで入ってくるだなんて……!どう考えたとしても、超絶せわしない日々を送ること必定って感じだよね。
掛け値なしに「偉い!」と、カモミールさんのことを褒めてあげたい反面。
そんな褒め言葉と同じぐらい真剣に「大丈夫?」と声かけし、あなたの現状をつぶさにヒアリングしたくなっているあたしが、今この画面の向こう側にはいます。
あたしもすごく共感しちゃう…
かく言う自分もね、学生時代から(もしかすると大学受験期ぐらいからかなぁ)おのれのスケジュールを埋められるだけ埋めちゃう癖があって、暇と呼べる時間を自主的にはろくに作らないタイプだったのよ。だから、カモミールさんにはやたらと共感しちゃうというか。
なんなら、予定を立て込ませちゃう理由とも言える、あなたの気持ちの部分さぁ。
「周りより上手くできなかったらどうしよう」って心配とか、「休んでる場合じゃないんじゃないか」って不安とか。もうわかりすぎる。
そうなんだよね。「自分の首がゆくゆく締まっちゃうかも」となんとなく予感はしていても、その時点での自分を安心させるために、当座の予定を詰め込んじゃうんだよね……。
ある意味これって、時間に関する過食症状よね。
余裕が欲しいと願ってはいながらも、こころの奥底の不安から目を逸らすために、予定をドカ入れしてしまう。
それって、もし当座のところはうまくいったとしても、やっぱりどこか健全じゃない。
受験、文学研究、就活、LGBTQに関する活動と、あたしの場合は人生が進んでいくにつれて、その気持ちが向く対象こそ変化してきましたが。
カモミールさんと同じようなモヤモヤをずっと抱えて、四六時中バタバタしてきた人間としては、みずからの反省もあいまって余計に、その現状とこれからを案じてしまう部分があるのでした。
あたしなりのAnswer
さてさて、カモミールさん。
「アドバイスをください!」ってお願いまでしてもらっていながら、そんな相談に乗る側の人間があなたと同様の状況に陥っているわけで。
「なんて頼りない……」って言われちゃっても仕方ない話ではあると思うんだけれど。苦笑
実はあたしったらちょうどね。
この予定詰め込み癖と対峙すべく、最近とあることを意識的にやるようになったところだったの。グッドタイミング!
なのでここからは、そのチャレンジについて書かせてもらいながら、あなたに向けてのメッセージを織りなしていこうかなと思います。
では。
じゃああたしがここしばらく、余裕を持って生きるために何をするようになったのか、という話ですが。
これが蓋を開けてみればとっても単純な話で、「タスクや予定といった目の前のものから、一定期間意識的に距離を取って、その上で手放すものは手放す」というのを、みずから実践するようになったんです。
「そんだけ!?」って言われちゃったらそれまでなんだけどね。てへ。
いやでもこれね、思い返せば今まであたし全然やってこなかったことなの。
例えば無意識的にというか、完全に電池切れ状態になってしまって「タスクあるけど向き合えないよおお!」って涙目になりながら、結果誰かに助けてもらうってことは、もうこの数年だけでも腐るほどあったんだけれど。
「自分にとって本当に必要なことなのか」をあらめて考えてみる
そこまで追い込まれていなくても、「これはやらなきゃ」「そういうもんだから」と思考を放棄して義務かのごとく取り組んでいた諸々を、3日、1日でもいいから、半ば強制的にやめるなり棚上げにする。
そして、そうやってできた時間を使って、目の前の事柄が自分にとって本当に必要なことなのかを改めて考えてみる。
そんな作業を34歳にして初めてやってみたら、「これは必要!絶対やりたい」「これはあたしの人生にはもういらない」っていう質の異なりみたいなものが、自分の関わっている取り組みのそれぞれについて見えてきて。
こころの中でごちゃごちゃになっている「やりたい・やらなきゃ」の整理が、つたないながらもできるようになった気がするの。勝手にちょっと成長した気持ち。笑
でもさ、これ本当に大事だと思うんだよね。
カモミールさんの場合、「就活はこれぐらいやって当たり前」だとか「バイトや資格習得、できる子はこれぐらいやるはず」だとか、もしかするとそんな周囲に溢れる理想像的なものに引っ張られちゃってるのかもしれないけれど。
そんな一種強迫観念めいた振る舞いをしかねない自分の中の「常識」から、自分で離れること。
それをすると、あなたの現状も幾分か楽になるかもしれない。あたし割と本気でそう思うの。
「何もしない」を強制的にやってみてほしい
だから、カモミールさん。
あなたもぜひ、最初は不本意かもしれないけれど、強制的に何日間か「何もしない」をやってみてください。
そして、休む間に気持ちに余裕が出てきたなら、目の前の就活についても日々の諸々についても「そこまでやる必要あるかな?」という目線から、一度問い直して整理してみてほしい。
なんならその過程で「ああ、これいらねえや」とちょっとでも思う対象があったなら、容赦なくそれを捨て去ってやりましょう。
それがきっとあなたにとって、いい効果をもたらしてくれるはずだから(時間や予定の「ファスティング」とでも言うべき感じかもね)。
人間、何かしていなきゃダメなんてことはない。ただそこにいるだけで大丈夫。
カモミールさんにはあたしと一緒に、ぜひそんな新しい「常識」に目を開いてもらいながら、目下の人生の荒波をのらりくらりと乗り越えていくすべを、社会に出る直前期であろう今のうちに、どうか身につけてもらいたい。
あなたの頑張りが、サステナブルなものに変わっていくことを祈りつつ。同じく膨大なタスクに振り回されがちなせいで、これまで疲れがちだった人間として。
カモミールさんと共に変わっていけるよう、あたしも今後をしっかり見定めていきたいなぁと、このコラムを書きながらそう思っているのでした。これまでと違う意味で、お互い「頑張って」いこうね!
ま・と・め♡
というわけで、今回は就活中の方からのお手紙をきっかけに、身の回りのこなさねばならぬ諸々との向き合い方について、改めて自分事としても思いを巡らせてみました。
いやぁ何事をなすにしたって、こころもからだもある程度満ちていなければ、自分の思ってることをかたちにするのって難しいんだよね。それをひしひしと感じる今日この頃。
2024年のさっぽろレインボープライドも終わり。
女装を生業にする者としても、LGBTQの活動に携わるひとりの人間としても。
自分のあり方や進んでゆく道を、ポジティブな意味でも考え直し、練り直してみようかなぁと、改めてそんな風に思っているあたしだったのでした。
読者の方々も、それぞれ抱えるものはいろいろあるかもしれないけれど、根を詰めすぎず、これからもゆるっと生き延びてねん。
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。