『運命の巻戻士』はなぜ心を熱くするのか――「コロコロ」で育ったクロノ役・小村 将さんが語る、“リトライ”する物語の魅力【最速インタビュー】
2027年春放送予定のTVアニメ『運命の巻戻士』。「コロコロコミック(以下、コロコロ)」らしい熱さと笑い、そして何度でも立ち上がり、「リトライ」する主人公・クロノ。そんな彼の姿は、多くの読者を惹きつけ、コミックス累計100万部を突破するなど高い人気を集めています。
今回アニメイトタイムズでは、主人公・クロノ役を務める小村 将さんにインタビューを実施。少年時代に親しんだ「コロコロコミック」の思い出から、原作との出会い、クロノとの共通点、印象的だったオーディション秘話までたっぷりとお話を伺いました。
「諦めない心」「何度でもリトライすることの大切さ」──「コロコロ」を読んで育った小村さんだからこそ語ることのできる『運命の巻戻士』の魅力に迫ります。
【写真】クロノ役・小村 将が語る『運命の巻戻士』の魅力【インタビュー】
『運命の巻戻士』を読んだ時の衝撃
──小村さんは少年時代に「コロコロ」を読まれていましたか? 好きだった作品など、当時の思い出があれば教えてください。
小村 将さん(以下、小村):「コロコロ」は、小学校から中学校時代にかけて、周りでも流行っていて、僕も楽しく読ませていただいていました。
特に僕がすごく好きだったのは『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』と『ケシカスくん』ですね。漫画から入って本当に大好きになりました。『でんぢゃらすじーさん』に関しては、ゲームも買って遊ぶくらいハマっていました。
やっぱりこの2作品はギャグ・コメディ色がすごく強くて、子ども心をくすぐられましたね。男友達とワイワイしながら、毎号出るたびに楽しく読んでいた記憶があります。
あと、『巻戻士』と同じ「月刊コロコロコミック」で僕がすごく好きだった作品は『コロッケ!』です。『コロッケ!』はゲームから入ったんです。僕が最初に買ったゲーム作品だったかもしれません。
──原作を読まれる前にプレイされていたんですね。
小村:そうですね。ゲームがすごく面白くて、好きだったんですけれど「コロコロ」に『でんぢゃらすじーさん』らと一緒に掲載されていて「『コロッケ!』もあるじゃん!」って驚いた記憶があります。
この3作品は今でも好きですし、ずっと覚えていますね。
──クラスの皆が読んでいて、共通の話題にもなるのが素敵ですよね。
小村:クラスの話題にもなりますし、グッズもたくさん出してくださるので。それこそ僕も『ケシカスくん』の消しゴムを持っていて、よく友達と遊んでいました。カバーというか洋服というか、着せ替えができたりするんですよ。それでよく遊んでいたのを覚えています。
──では、そんな「コロコロ」の今を代表する作品のひとつである『運命の巻戻士』ですが、原作を最初にご覧になった際の感想や、どういった部分に惹かれたのかをお聞かせください。
小村:初めて原作を読ませていただいた時は衝撃でしたね。ただ一言、「超おもしれえじゃん!」でした。
先ほどもちょっとお話しした通り、小さい頃から「コロコロ」を読んで笑ったり、熱くなったりしてきたんですけれど、その頃の気持ちをそのまま引き出されたような感覚になったんですよね。
──らしさというか、イズムを感じますよね。
小村:クロノは、コロッケのような主人公らしさ、かっこよさもありますし、シライさんのダジャレもイズムを感じます。実は僕、小学生から中学校に上がるまでダジャレ帳を作っていたこともあるくらいで(笑)。
ハンドサイズのメモ帳をパンパンにすることが目標で、1500個くらい考えていたんじゃないかな? 五十音の中から一文字言われたら、その文字から始まるダジャレを披露するくらいでした(笑)。でも、それも多分「コロコロ」の影響なんですよね。
『ケシカスくん』とか『でんぢゃらすじーさん』とか。ダジャレや下ネタもたくさんありましたし、そこから来ているのかなと思います。だから今作でシライさんがダジャレを言っている姿に、何か懐かしさを感じたんですよ。
──そういった、“あの頃”を想起させる力がある作品ですね。
小村:そうなんですよ。しかも本作は、誰しも一度は憧れたことがあるであろう「時を操る能力」「時を巻き戻す能力」が作品の軸にある。まずそこがいいですよね。「巻き戻し(リトライ)」、僕も使いたいですし、みんなも使いたくなる能力だと思うんです。
──確かに。そのモチーフ自体がワクワクします。
小村:ただ、クロノをはじめ巻戻士のみんなは、自分のためにその能力を使っていないんですよ。他人を救うために使っている。そこがまたかっこいいんです!
もちろん、クロノ個人の目的であったり、戦闘でも使用されますが、彼らの「誰かを救うために能力を使う」という動機が本当にかっこいいなと思っています。
オーディションのお話をいただいてから原作を読み始めたのですが、気づいたらオーディションとは関係のないエピソードも読みたくなってしまって。その日のうちに既刊を全部読んでしまっていました(笑)。それこそ時間を忘れて読んでしまうくらい夢中になれる作品だと思います。
主演決定の喜びと、クロノとの共通点
──このたび、そんな熱い作品の主人公・クロノを演じられますが、決定の一報を受けた際はいかがでしたか?
小村:まさか主人公のクロノを演じさせていただけるなんて、いまだに実感がないというか。本当に嬉しいですし、自分でも驚いています。報告を受けた際は、とりあえず無言でガッツポーズしました(笑)。
マネージャーから伝えてもらったのですが、一瞬頭が真っ白になって、すぐ両手でガッツポーズして、しばらく数秒間天を仰いでいましたね。
──注目度の高い作品ですし、喜びも大きいですよね。
小村:言葉にならない喜びというか。原作を読んでいて、めちゃくちゃ面白かったですし、クロノと僕が似ているなと思う部分も実はあったんです。オーディションに向けて、お芝居を作っている段階から、そう感じていました。
だからこそ、「これをやれたらめちゃくちゃ楽しいし熱いな」「やりたいな」って強く思って。受かった時には、喜びの感情が吹っ飛ぶくらい喜んでしまいました!
──だからこその無言ガッツポーズだったんですね(笑)。
小村:はい(笑)。本当に頭が真っ白になったというか。あと、以前の自分であれば、オーディションに受かった時には、嬉しい気持ちもありつつ、半分はプレッシャーや責任感が芽生えていたんですよ。
でも今回に関しては、120パーセントで「よっしゃ!」でした。「やったるで!」みたいな感じで、心の底から気合いが入ったのを今でも覚えています。
──クロノとご自身が似ているなと感じた部分について、もう少し詳しくお聞きしたいです。
小村:最初に似ているなと思ったのは、こだわりが強いところですね。納得行くまでとことんやるというか。僕自身も何か作業をやるとか、この趣味に没頭するぞとか「今からこれをやるぞ」と決めたら、本当に一点集中型なんです。
例えば僕、趣味で曲を作ったりもするんですけれども、「曲を作るぞ」となった時に、趣味だし今日はうまくいかなかったし、また明日にしよう、今日は寝よう……というタイプではないんですよ。やると決めたら、多分その日は寝ないんです(笑)。
何かがダメだったら、じゃあ少し変えてもう一回。という感じで、とにかく止まりたくない気持ちがあって。そこはクロノに共感できるなと思います。
彼も回数を重ねながら、トライアンドエラーを繰り返して、その中で成長していくキャラクターじゃないですか。観察眼を活かして糸口を見つけて、クリアルートにたどり着いていく。僕も今までずっとそういうやり方でやってきましたし、好きなんです。
──クロノ並のド根性をお持ちなんですね。
小村:彼のようにトライアンドエラーを何百回、何千回と繰り返すって、普通はできないですよ。僕も、あれをやれと言われたら無理です(笑)。
ただ、高校生までずっとサッカーをやっていたり、そういう根性や気合いを大事にしたり、「120%までやる」みたいな考え方で育ったので根性はあります!クロノの方がよっぽどすごいですが(笑)。そういう意味でも彼と通じる部分があるなと思っています。
今までに体験したことのないオーディション現場
──オーディションに向けて準備されたことや、現場でのエピソードについても教えていただけますか。
小村:まずクロノに関しては、「コロコロコミックのバトル漫画の主人公だから、きっと熱い男の子なんだろうな」というイメージがありました。物語序盤を読んでいても、ギャグ・コメディ色もありつつ、戦闘シーンではかっこよく決める、みたいな印象があって。
喜怒哀楽がはっきりしていて、明るくて、熱いところもある。コメディパートでは思い切り振り切るし、戦闘では熱血主人公らしさがある。最初はそういうイメージだったんです。
今回は、テープオーディションとスタジオオーディションの2段階だったんですが、前者のオーディションでは、そのイメージで役作りをしていました。その後、テープオーディションを通過することができて、スタジオオーディションまで少し時間が空いていて。もう一度しっかり原作を読み返してみたんです。
そうしたら、「クロノって僕が思っていたほど感情がころころ変わるタイプではないし、意外と冷静で地に足がついているんじゃないか」と感じたんですよね。
──魅力的なキャラクターがたくさん登場する作品ですが、クロノ以外でお気に入りのキャラクターや、注目してほしいキャラクターがいれば教えてください。
小村:『巻戻士』に登場するキャラクターは、みんな魅力的なんですよね。その中で、まず挙げるとしたら、クロノと掛け合いをする相棒の「スマホン」でしょうか(笑)。
個人的には、スマホンとクロノの掛け合いがすごく好きなんですよ。原作を読んでいても、小気味いいというか、とにかくテンポ感がいいんです。クロノが冷静なのに、ちょっと抜けた発言をしたりすると、スマホンが、キレッキレのツッコミをどんどん入れてくれたり。
原作の時点でもそのテンポ感がすごく面白いんですけれど、それがアニメーションになって、絵が動いて、音が付いて、さらに声優さんたちのお芝居が入った時にどうなっていくのか。楽しみです。
──確かに。その軽快なやり取りも本作の魅力です。
小村:そして、魅力と言えばクロノたちと敵対する組織「クロックハンズ」も注目したいです。めちゃくちゃかっこいい! バトル漫画って、敵がかっこいいとそれだけでテンションが上がるじゃないですか。
しかも、敵の一言で表すことができないそれぞれのバックボーンがある。その立場にいる理由や生い立ち、目標がある。そういう背景や、正義と正義がぶつかっているのかもしれないとか、そういう考察もどんどん深まっていくと思うんです。原作を読んでいて、僕はそういう部分をすごく感じました。
だからこそ、アニメではどなたが演じるのか、そしてどんな熱い戦闘シーンになるのか、そこも大きな見どころのひとつだと思っています。
──キャラクター以外にも、小村さんご自身が楽しみにしていることを教えてください。
小村:アニメーションになると絵が動いて音が付くので、まず気になるのは「リトライ」のシーンです。映像も気になりますが、やっぱりSE(効果音)も楽しみです。
巻戻士たちの必殺技とも言える見どころですし、その延長線上にある「開眼(バージョンアップ)」の演出が、アニメーションでどれだけかっこよくなるのかというのは、すごく楽しみにしています。
「時間を巻き戻す」というクロノたちの能力ならではの演出が、アニメーションでどう表現されるのか。そこはすごく気になっています。
『巻戻士』が描く「諦めない心」
──もし本作を少年の頃に読んでいたら、どんな影響を受けていたと思いますか?
小村:多分、これを読んで育っていたら強い子になっていますよね。諦めない子になっているんじゃないかな。
この作品は、根性とか、立ち上がる勇気だったりを、ストレートに描いている作品なんですよね。だからこの作品を読むことで、絶対にいい刺激になると思うんです。
誰しも、これから大人になっていく中で、競争する場面も出てきますし、人生を生きていたら壁にぶつかることがあると思います。そんな時に、この作品のことを思い出してくれるんじゃないかなと。
「ちょっときついな」と思った時に、あと一歩だけ頑張ってみるとか。ダメだったとしても、すぐ切り替えて別のやり方や道を試してみるとか。そういう「リトライ」する精神って、絶対にいい方向に働くと思うんですよね。僕も読んでおきたかったです。
──そうですね。今「コロコロ」を読んでいる少年たちも、私たちと同じように感動したりしていると思うとグッと来てしまいます。
小村:だからこそ、クロノを演じられるということがすごく嬉しいですし、声の力でさらに届けたいなと思います。原作だけでも十分パワーをもらえる作品なんですが、そこに声とアニメーションの力が加わることで、もっと大きな相乗効果を生み出せたらと。
声優は、それを声で吹き込んで、音として届けなきゃいけないので。そこは本当に頑張りたいと思っています。
──物語のジャンル的な話で言うと、本作は「タイムリープもの」ですよね。多くの名作を持つジャンルですが、『巻戻士』ならではの魅力をおしえてください。
小村:やっぱり巻き戻しの回数かなと思うんです。ちゃんとカウントすると本作よりもやり直している作品はあるかもしれませんが。
──本作は1話に付き数百、千とやり直すので相当多い方だと思います。
小村:「めちゃめちゃやり直すじゃん!」って思いました。何百回、何千回、何万回とやり直していく。そのスケール感はやっぱりすごいですよね。先ほども言いましたが、それを自分のためだけではなく誰かを救うために行っているのもまた違うところですよね。
「時間を巻き戻す」という能力を軸に、キャラクターたちのそれぞれの思いや信念がぶつかり合っていく。そこが僕の中ではすごく新鮮でしたし、面白い構成だなと思いました。木村風太先生、どうやってこのような設定を考えたんだろうと思います。
──しかも、それをすごくわかりやすく描いていますよね。
小村:そうなんですよ。タイムリープものって、結構難しくなりがちじゃないですか。時間が巻き戻ることで、「あれ、今どの時間軸の話だっけ?」ってなったり。でも原作を読んでいる時点では、それが全然起きないんですよね。だから、自分の中でタイムパラドックスが起きたり、時間軸が混乱したりすることなく読めるんです。
僕がこの作品で特に好きというか、味わい深いなと思う部分があって。クロノたちは救出対象を助けるために、何百回、何千回とやり直しているじゃないですか。タイムリープものあるあるかなと思うんですけれど、助けられる側からすると全部1回目なんですよね。そこが読んでいてすごく刺さるんです。
何百回、何千回もやり直して、ようやくたどり着いたクリアルートなのに、助けられた側は「なんだ、簡単だったじゃん」って思うかもしれないじゃないですか。それが冒頭から描かれているのも凄い。
──「どれだけ苦労したと思ってるんだ!」ってなりますよね(笑)。
小村:本当にそうですよね(笑)。場合によってはスマホンが代弁してくれることもありますけれど、でも、そういうことが常な状況でも頑張り続ける精神力、人を助けるという思いは本当にすごいなと思います。そこがこの作品の面白いところでもあり、クロノたち巻戻士の魅力が一番引き出される瞬間なんじゃないかなと思っています。
バトル、サスペンス――間口の広いエンタメ作品
──本作は、バトルものとしての魅力もありますよね。
小村:やっぱり、この作品は「リトライ」だけじゃないっていうところがいいですよね。ちゃんと異能バトルものとしての「開眼(バージョンアップ)」能力が出てきた時には、もう心の中で立ち上がりました。
周りの巻戻士たちは使えるけれど、クロノはまだ開眼(バージョンアップ)が使えない。「これから使えるようになっていくんだろうな」って期待できますし、逆にシライさんやアカバ、レモンちゃんたちが使える能力はめちゃくちゃ強い。
僕、自分でもオリジナル能力を考えたくなりました。「自分だったらどんな開眼(バージョンアップ)を使うかな」って妄想しちゃうんです。大人の僕ですらそう思うんだから、現役の少年たちは絶対にやると思うんですよ。「僕の考えた最強の開眼(バージョンアップ)」みたいなの。学校で流行ると思います(笑)。
ちゃんと異能バトルとしての能力シーンもふんだんにありますし、クロックハンズたちもいろいろな能力を使ってきます。本当に楽しいなと思っています。
──能力バトルもあり、タイムリープものならではの面白さもあり、さらに「クリアできるのかどうか」というサスペンス的なドキドキ感もある。本当にいろんなエンターテインメントの入り口になっている作品です。
小村:確かにサスペンス的な要素もあります。力技で回数を重ねればクリアできるというわけではなくて、クロノ自身がすごく頭がいいというか、観察眼が鋭いんですよね。「そんなところに糸口があったの!?」みたいな。そういう部分もありますし、トリック的な面白さもあります。それこそ話の展開で、「ここでそんな起承転結の転が来るの!?」みたいなこともありますし。
時間という要素を活かしたサスペンスの作り方もすごく上手なんです。だから、一見するとコロコロコミックらしい読みやすい王道バトルなんですけれど、実はそうじゃない。
大人が読んでもめちゃくちゃ驚かされます。入り口はすごく広いんですが、その先もずっと面白い。老若男女問わず楽しめて、読み続けられる。そこがこの作品の大きな魅力だと思います。
──これから本格的にアフレコ収録に臨まれるとのことですが、改めて意気込みをお聞かせください。
小村:僕自身、クロノを演じるにあたって強く感じているのは、やはり彼の忍耐力のすごさで。自分の中での正解にたどり着くまでは、80パーセントの成功率では納得しない。「100パーセント、120パーセントの成功じゃないと認めない」というくらい、こだわりが強くて我慢強いキャラクターなんですよね。
だから僕自身も、クロノに負けないように、お芝居に妥協せず向き合っていきたいと思っています。もちろん普段妥協しているわけではないですよ!
本当は一発で決まればいいんですけれど、そうもいかないのがこの世界なので。正解がない世界だからこそ、自分の持ち前の根性を活かしながら、いいお芝居につなげていけたらなと思っています。
それと、この作品は時間を巻き戻す物語なので、僕自身がタイムパラドックスに陥らないようにしたいなと思っています(笑)。
──演じる際に混乱してしまいそうですよね(笑)。
小村:この作品って構成上、たとえば「100回巻き戻ったクロノ」の状態から始まって、その後に「0回目の任務開始時点のクロノ」に戻り、さらにまた「101回目のクロノ」に戻る……みたいなストーリーとしての時系列を敢えて変える見せ方があります。
そうなると、クロノ自身の感情や、体の状態もその都度違ってくるので、僕自身も時間軸を見失わないように気を付けながら頑張りたいと思っています!
──主人公として収録に臨まれますし、作品が世に出ていく中でも、小村さんが中心となって引っ張っていく立場になるのかなと思います。そういった収録現場での立ち位置だったり、いわゆる座長としての意識についてはいかがでしょうか。
小村:光栄なんですが、先輩方に囲まれながら主演をさせていただくことが度々あって。(インタビューが)公開される頃には何人かキャストも発表されていると思いますけれども、本当に豪華な大先輩方ばかりなんです。
少し前の僕だったら、めちゃくちゃ気負っていたと思うんですよ。
──そういう立ち位置が苦手なタイプですか?
小村:学生時代はそこまで先輩を怖がるタイプではなかったんです。ただこの業界は、出会う先輩方のレベルが違うんですよ! 学校の一個上の先輩とかじゃないんです(笑)。
お仕事始めたては、「頑張ります!」みたいな感じが精一杯で、十分にコミュニケーションが取れなかったと思います。
でも最近は、先輩方と現場でご一緒する機会も増えてきましたし、年数を重ねる中で、自分から話しかけられるようにもなってきた感覚があります。とはいえ、グイグイ話しかけるのが正解かと言われると、集中したい方もいらっしゃるので、その辺は気を付けながらですね。
今回は、座長としてアフレコブースの空気感を楽しいものにしたいなと思っています。作品の中ではクロノは別にムードメーカーではないと思うんですけれど、ブースの中では僕がムードメーカーになれたらなって思っています。
実際、すでにお会いできている先輩方には、「アフレコ始まったらご飯行きましょうね」って話しているんです。口だけの男、社交辞令にならないようにしたいですね(笑)。
──そういった目標もあるんですね(笑)。
小村:あと僕、多分噛んだら「リトライ!」って絶対言うと思うので、これも伝染して言ったら良いですね。どなたかが間違った時に、「もう一回、いやリトライで!」みたいなそういうチームでありたいですし、それが「巻戻士」だと思います。
少年たちも、少年時代を過ぎた大人も
──最後に、放送を楽しみに待っているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
小村:まずはやっぱり、今まさに作品の対象年齢でもある小学生や中学生、少年たちに届いてほしいです。アニメを見て、「諦めない心」が育っていったら嬉しいですね。
それって、実は僕が声優を目指した理由にも通じているんです。僕は、声や音だけで誰かの人生に影響を与えられることの素晴らしさやかっこよさに憧れて、この仕事を目指しました。
だから『運命の巻戻士』やクロノを通じて、この作品を見た方々の素敵な未来につながってくれたら、幸せです。
そして、少年時代を過ぎた方々も。あの頃は持っていたけれど、いつの間にか忘れてしまったもの。あるいは、ちょっと諦めかけている気持ちとか。
大人になると経験が増える分、「一回やめよう」とか「別の道にしよう」とか、そういう選択もできるようになるじゃないですか。もちろんそれも大事なことなんですけれど、そんな中でこの作品を見て、「昔の自分ってもっとがむしゃらだったな」、「もう一回頑張ってみようかな」という気持ちになってもらえたら嬉しいです。
僕自身、改めて120%でこの仕事と向き合いたいと思わせてくれた作品です。だから読んだ人にも、僕と同じような気持ちになってもらえたら嬉しいですし、アニメになってさらにたくさんの人に届いてほしい。
そして僕たちの声を通じて、この作品によって前を向ける人が一人でも増えたらいいなと思っています。
[取材・文/タイラ 写真/鳥谷部宏平]