「週に1回の強めの筋トレ」で脳も体も若返る?【認知機能改善30秒スクワット】
週に1回の強めの筋トレが脳も体も若返らせる
私はこれまで認知症専門病院のほか、講演会や自治体の招きなどでも「本山式感覚神経トレーニング」を指導してきました。ここに紹介する事例もそのひとつです。神奈川県横浜市のS区が、シルバー世代を対象に「本山式感覚神経トレーニング(通称: 本山式筋トレ)」を通じて介護予防をはかろうという取り組みでした。
このトレーニングの効果を測定したのが、次のページから紹介するデータです。「本山式筋トレ」の実践者と比較するのは、普段まったく運動をしない人たち、週に2回以上の運動習慣がある人たちです。同年代の3つのグループに分けて、運動能力や体脂肪、筋肉量の違いなどを比べてみました。
結果として「本山式筋トレ」を実践している方たちは、ほぼすべての運動テストでほかのグループよりも良好な数値を示しています。これは筋トレの効果があらわれ、同年代に比べて筋力や体力がすぐれている証あかしといえるでしょう。さらに、「本山式筋トレ」の実践者には、MCIや認知症を発症した人がいません。週に1回の強めの筋トレが、体と脳に健康と若返りをもたらしていることがわかりました。
ほとんどのテストで運動機能が優位に
「本山式筋トレ」を行うグループが優位な数値に!
表1 男性の参加者の身体的特徴
本山式筋トレ実践者群の男性は、体重とBMI が統計学的に優位に低かった
表2 女性の参加者の身体的特徴
※BMI:肥満度を表す国際的な指数。18.5以上25未満が普通体重(日本肥満学会の基準)。
表3 歩行能力をみる(通常歩行速度)
運動機能テストでこれだけ、「運動習慣あり」の男性グループが「本山式筋トレ」のグループより優位な数値でした。(数値が大きいほど良好)
表4 手先・指先の機能をみる(ペグ移動テスト※)
巧緻性とは、手先や指先の運動機能を意味します。女性の「本山式筋トレ」実践者の数値の高さが目立っています。(数値が大きいほど良好)
※ペグ移動テストは、48 本の小さな木の棒(ペグ)を盤から盤へと移し替える動きを通して、手先や指先の運動機能を測るもの。
表5 下半身の筋力をみる(ひざの伸展筋力テスト)
太ももを中心とした下半身の筋力を測るテストです。「本山式筋トレ」の実践者が男女ともにすぐれていました。(数値が大きいほど良好)
表6体脂肪率、全身と脚部の筋肉量
「本山式筋トレ」グループの男女は、「脚部の筋肉量」が少なめですが、「通常歩行速度」や「ひざ伸展筋力」の結果は最も強いことがわかります。これは集中する筋トレによって筋肉を構成する筋線維の稼働率が高められ、効率よく大きな筋力が出せる能力が備わっていることをあらわしています。
【出典】『認知機能改善30秒スクワット』著:本山輝幸