<春季高校野球静岡県大会>躍進を見せる東海大静岡翔洋高校。強さの背景に全中優勝・準優勝を経験した翔洋中出身選手の増加?
危なげない戦いぶりで春季高校野球静岡県大会予選を勝ち上がった東海大静岡翔洋。2000年の全国選手権(甲子園)で東海大浦安(千葉)を準優勝に導いた森下倫明氏が21年9月に監督に就任して以来、22年夏16強、22年秋16強、23年夏準優勝、23年秋16強、24年夏16強、24年秋県4位と、常に県上位に食い込んでいる。
近年、中学軟式野球の名門・東海大静岡翔洋中から系列の翔洋高に進学する選手が増えていることも背景にありそうだ。
翔洋中出身の今年の3年生は全国中学校体育大会(全中)準優勝、2年生は全中優勝を経験。縦じまのプライドと勝者のメンタリティを備えた彼らが、夏にどんな集大成を見せるか、注目だ。
打線のつながりは上々
県大会4位だった昨秋に続き、今春も上位校で県大会出場を決めた翔洋。駿河総合との上位校決定戦(4月5日)は長打4本を含む11安打、7―0(8回コールド)で快勝し、森下監督は「以前はヒットを打っても点数が取れなかったが、思ったよりいい形で点が取れた」と打線のつながりは上々のようだ。
五回に先頭で豪快な本塁打を放ったリードオフマン伊藤龍榮(りゅうえい)選手は翔洋中出身。指揮官は「性格的にイケイケで、足もあるので彼が出ると得点につながる」と期待を込めて1番に起用している。
伊藤が公式戦初ホームラン
新規格の低反発バットで両翼100メートル、中堅122メートルの草薙球場の広さを苦にせず、右翼スタンドに放り込んだ伊藤選手。「カウントが3ボール1ストライクだったので、取りにきた球を狙って振り切りました」と、公式戦初ホームランを振り返った。
「自分はホームランバッターじゃないので大きいのは狙わず、野手の間を抜く打球をと監督にも言われています。バットに当てれば、自分の足も生かせる」
スタメン4人が翔洋中出身
この日のスタメンのうち伊藤選手を含む4人が翔洋中出身。翔洋中の寺崎裕紀監督は、翔洋高への進学者が増えている理由について「森下監督の熱心な指導とともに、中学から上がったメンバーで甲子園を目指そうという思いがあるようです。
翔洋高は部員数が多く、寮生活になることもあって以前は不安に感じる中学生もいましたが、今の高校3年生の翔洋中出身者が(高校で)早くから試合に出ていたこともあり、『やれるかも』という自信につながっているようです」と話す。
「中学と同じメンバーで野球を」
伊藤選手は高1の秋から公式戦に出場している。「自分を育ててくれた翔洋中と同じ縦じまのユニホームでプレーして恩返しがしたいし、またこの(全中準優勝)メンバーで野球がしたいという思いだった」と進学先を決めた理由を明かす。伊藤選手と同じ全中準優勝メンバーは7人、1学年下の全中優勝メンバーは6人が翔洋高に進学したという。
春季静岡県大会は19日に開幕。翔洋の初戦は20日、磐田東―富士市立の勝者と対戦する。森下監督は「まずは(夏の)シード権を取れるように」と目の前の一戦に全力を注ぐ。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)