【和歌山市】光明院の食堂カフェ「お寺の台所」かまどご飯と御神水コーヒー、手作りおやつも
紀州徳川家の祈祷寺として由緒ある歴史を持つ「光明院」の鎮守堂で、「食の大切さ」を伝える食堂カフェ「お寺の台所」が営業。神様に手を合わせ、自然の恵みに感謝しながら過ごす時間は、心が洗われるひとときです。
目次
1 紀州徳川家ゆかり神仏習合の尼寺「光明院」現住職は元ボートレーサー2 心が洗われるお寺の台所 そっと手を合わせて感謝を3 住職と主婦が丹精込めてかまどと御神水が生み出すおいしさ4 ココロとカラダを整えるやさしいごはんとおやつ5 茶目っ気たっぷり!ユーモアとおもてなしの心あふれる尼僧
紀州徳川家ゆかり神仏習合の尼寺「光明院」
現住職は元ボートレーサー
和歌山県庁の裏手、東京医療保健大学雄湊キャンパスのすぐ近くにある「光明院」は、紀州徳川家ゆかりの歴史を受け継ぐ神仏習合の尼寺です。まちなかにありながら静寂に包まれた境内で、心を整える時間が過ごせます。
本堂には、聖観世音菩薩をはじめ、不動明王や弘法大師、愛染明王、釈迦如来、地蔵菩薩、神変大菩薩が祀られています。第二次世界大戦下の「和歌山大空襲」で焼失しましたが、妙泉上人の手によって順次復興。戦後は、恵戒さん明戒さん、清真さんと歴代の尼僧が寺を守り、現在は鈴木春綾さんが住職を務めています。
境内には、三宝荒神や九頭竜大神、玉置神社など小さな祠(ほこら)が並び、神様と仏様をともに信仰してきた「神仏習合」の歴史を今に伝えています。
真言宗の寺院で、弘法大師を祀る「大師堂」もあります。この大師堂は、現住職・鈴木春綾さんの代になって再建されました。春綾さんの祖母「慈春講」さんは、祈祷や祈りを行う“拝み屋さん”として多くの人に慕われ、春綾さんが僧侶になったのは、おばあさんの影響も大きいそう。祖母の死後、その仏像や仏具はいったん高野山の関係者に託されましたが、大師堂の建立を機に戻され、現在も大切に安置されています。
春綾さんは、愛知県出身。経歴がユニークで、高校卒業後はトヨタ自動車に就職し、OLは不向きだとボートレーサーの試験を受け、狭き門を突破。厳しさで有名だった山梨県の競艇養成所「本栖研修所」で1年2ヵ月訓練を受け、「B2」「B1」「A2」「A1」選手と昇級し、現役時代には通算108勝を挙げました。ボートレーサー引退後は、愛知県半田市の自宅でギャラリーカフェ「コガネムシ」を経営。その後、高野山普賢院で師僧のもと弟子として得度し、高野山専修学院尼僧部で加行を終え、同専修学院で後進の育成に携わりました。高野山高校の寮監への転職を控えていたときに、縁あって後継者を探していた光明院の住職となり、住職になってからも2年間は、光明院を拠点に高野山高校まで通勤していたそうです。
心が洗われるお寺の台所
そっと手を合わせて感謝を
食堂カフェ「お寺の台所」は、光明院の鎮守堂で営業中。土地や建物を守る「鎮守神」を祀るお堂です。食堂カフェ開業のきっかけは、「4:00に起床し、ごはんを供えて、お茶を下げて、お参りして、掃除してと、毎朝、お坊さん業をしているのです、お寺にお参りに来てくれる人が少ないのが寂しくて…。何か足を運んでもらえることをしたかった」と春綾さん。一時期、「コハク珈琲」がこちらで営業していましたが、心機一転、ご自身で展開することに。
靴を脱いで建物の中へ上がると、ゆったりとした畳の大広間が広がります。
座布団への立ち座りが平気なら、手入れの行き届いたお庭が眺められるこちらの席は特等席。
大広間の一角には鎮守神が祀られています。手を合わせ、住所と名前を心の中で唱えてお参りを。
「昭和25年3月吉祥日 奥之院燈籠堂附」と背面に記された木製のおみくじ箱があり、おみくじをひかせてもらいました。欠番も多く、鈴木春綾住職は「凶」しか出ないと…。
厨房の手前にはテーブル席もあります。
テーブル席のさらに奥、厨房につながるカウンター席がなんとも素敵なんです。ゆったりと穏やかな時間を過ごしたい人や小さな子ども連れの人は大広間の座敷席、足や膝に不安を抱える人はテーブル席、一人で食事やスイーツ、コーヒータイムを満喫したい人はカウンター席と、好きな席を選べます。
住職と主婦が丹精込めて
かまどと御神水が生み出すおいしさ
食堂カフェ「お寺の台所」を開業するために、厨房を大改装。“令和8年8月8日8:00”のグランドオープンに向け、スタッフのオペレーションの練習もかねて、6月から週末のお昼間だけカフェ営業がスタート。
厨房には井戸があり、水神様の恩恵に感謝しながら、汲み上げた御神水(ごしんすい)は調理に使われます。
お寺にはもともと古い「へっついさん」があったそうですが、使用するには老朽化が進んでいたため、厨房内にかまどを新設。
春綾さんやスタッフの皆さんは、何度もかまど炊きの練習を重ね、朝食「粥食(しゅくじき)」のおにぎりや昼食「斎食(さいじき)」の白ご飯を、かまどでふっくらと炊き上げて提供しています。
ベテラン主婦たちと一緒にメニューを考えながら、「ココロとカラダを整える」やさしい食事とおやつを提供しています。
ココロとカラダを整える
やさしいごはんとおやつ
さしみの斎食(1680円)
ランチ「斎食」メニューは、「さしみ」(1680円)、「焼きサバ」(1580円)、「月替わり」(1350円)の選べる主菜の定食。つやつやの「おかまのごはん」は3杯までおかわり無料で、ご真言入の手作り味噌で作る具だくさんの「お味噌汁」、麹を使った自家製調味料で作る野菜中心の副菜が3種付きます。精進料理に寄せてはいるけれど、お魚やお肉も取り入れ、手作り味噌と豆鼓の「肉ミソメシ」も用意されています。「斎食」は予約がおすすめ、「月替わり」は新月と満月でメニューが変わります。
モーニング「粥食」は、「おにぎりセット」「パンセット」(各ドリンク代+380円)。ゆで卵の卵は、弁天様、龍神様にお供えしたお下がりで、「金運」「縁結び」のありがたい卵が朝からいただけます。粥食は1日の限定数あり。
ほうじ茶プリン(450円)
おやつももちろんすべて手作り。「ほうじ茶プリン」は、ぷるんとした黒糖ゼリーの口当たりが心地よく、プリンはほうじ茶の香ばしさがしっかりと感じられる素朴な味わい。
かき氷 愛知県産のもも(650円)
夏の甘味は「かき氷」。薄くふわっと削られた氷は、頭にキーンときませんでした(筆者の感想です)。桃の果肉がごろごろ入ったシロップは上品な甘さで、食後のデザートにもぴったりな、ほどよいサイズ感もうれしいポイントです。「かき氷」は他に、「和歌山(有田)産オレンジ」「オテラの梅」「黒蜜きなこ」(各650円)があり、あんこ、白玉、バニラアイス、黒蜜、練乳のトッピング(各+100円)が用意されています。
※シロップは季節のフルーツが使われるため、随時メニューが変わります
「甘酒シャリシャリ(豆乳ジンジャー添え)」(600円)に白玉、バニラアイス、黒蜜をトッピング(各+100円)
こちらも「かき氷」ではあるのですが、一般的なかき氷とはひと味違います。氷というよりシャーベットのような食感で、お寺で麹から仕込む自家製甘酒をシャリシャリに凍らせた一品。「飲む点滴」ともいわれる「甘酒」は、酷暑で疲れた体に元気をチャージしてくれます!
アイスコーヒー(600円)に+100円でコーヒーフロートに
ま~るい器がかわいい「コーヒーフロート」。コーヒーは井戸からくみ上げた御神水で一杯一杯丁寧にいれ、ご近所の「エカワ珈琲店」の豆を使用しています。かき氷のガラスのお皿やコーヒーの器など、春綾さんがギャラリーカフェを営んでいた縁でつながりのある作家たちの作品が使われていて、一つ一つに温もりが感じられます。
茶目っ気たっぷり!
ユーモアとおもてなしの心あふれる尼僧
お店のロゴを手掛けるのも、ギャラリーカフェを通して親交のあるイラストレーターさん。
春綾さんの手書きのイラストやPOPもすごくかわいくて…。
店内にはいろいろ貼られています。現在、ヨガは行っていませんが、お寺では、写経体験ができたり、九星気学・宿曜・手相・家相なども見てもらえるので、気軽に相談を。
おみくじもひいてみてください。「大吉」が出そうな予感。
境内のあちこちに添えられた案内もかわいらしく、思わず足を止めて読みたくなります。
立て看板もキュート♪
人生経験豊富な住職・春綾さんとの会話も、「お寺の台所」の魅力。「人はお腹が空いていると冷静になれません。心を安定させるためにも『食』は大事。特別な料理を提供しているわけではありませんが、ごはんを食べて、おやつにも満たされ、安心して落ち着ける…、このお寺をそんな場所にしてきたい」と話されていました。春綾さんは、岩出市の寿福寺の住職も務められていて、不在にされていることも多いですが、お店にいるときは、ぜひぜひ、おしゃべりも楽しんでください。
名称
お寺の台所(光明院)
所在地
和歌山県和歌山市有田屋町1
電話番号
073-422-0731
営業時間
9:00~16:00 ※8月8日8:00~16:00
(粥食9:00~10:30、斎食11:30~14:00)
定休日
火・水曜
駐車場
あり
@oteranodaidocoro