映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』は子どもに見せても大丈夫? かわいいだけじゃない「ちいかわ」とは? 映画はどんな話?
『ちいかわ』は、イラストレータのナガノ先生がTwitter(現X)にて2017年から投稿を始めた漫画作品。「ちいかわ」こと「なんか小さくてかわいいやつ」たちの日常が、一話完結に近い形で描かれる漫画で、気軽に読みやすいのが特徴です。キャラクターのかわいさが魅力的で、グッズの発売やさまざまなコンテンツとのコラボレーションも展開中。フジテレビ系列「めざましテレビ」内では、アニメも放送されています。
こちらの『ちいかわ』ですが、来年2026年の夏に映画化されることが発表され、SNSを中心にファンの間で心配の声が挙がっているのをご存知でしょうか? ファンとして映画化を喜ぶ声はわかりますが、心配とはこれいかに?
こちらでは、この心配の声を掘り下げつつ、『ちいかわ』にひそむ危険と魅力をご紹介していきたいと思います。キャラクターのかわいさだけを見て、お子さんと一緒に映画に行こうかなと思っている方いらっしゃいませんか? ちょっと待った、まずは『ちいかわ』を知ることを強くお勧めいたします!
なぜ子どもの鑑賞を心配されるのか?
『ちいかわ』の主人公は、その名のとおり「ちいかわ」。友だちの「ハチワレ」や「うさぎ」と、よく一緒に行動しています。これらゆるっとしたかわいいキャラクターたちは原っぱで湧き出てくるご飯を食べたり、お昼寝をしたり、草むしりをしたりして日常を過ごしています。
こんなほのぼのした日常、羨ましいですよね。と思いきや、彼らの世界はなかなかにシビアなのです!
彼らは労働をしてお金を稼がないと生活ができませんし、突然なにかに襲われたり、社会は「鎧さん」なる者に管理されていたりします。労働は草むしりなど軽作業的なものから、襲ってくるものの討伐まで、自分の能力に合ったものしかできません。報酬差があるので格差社会でもあるという、全然ほのぼのしていない世界、やっぱり羨ましくない世界です。
このため、「ただゆるいキャラクターが平和に過ごす日常を見たい」という人が、世界観を知らないで映画館に入ってしまうとショックを受けちゃうのでは? と心配されるわけですね。つまり、子どもに見せてうんぬんというよりは、映画に「かわいくて道徳的できれいな世界」を求めている人には、需要と供給のミスマッチになるよ、という心配です。
どのくらいシビアなのか?
癒し系で可愛らしいキャラクターたちの、シビアで理不尽な日常『ちいかわ』。では、そのシビアの程度はどのくらいのものなのでしょうか? 私たちの現実と似たような大変さがあるのはわかりましたが、そのくらいならたいしたことないのでは?と思いますよね。しかし、それだけで終わらないのが『ちいかわ』です。
実はちいかわたちは、常に「モンスター(でかつよ)」に襲われる危険と隣り合わせで日常をおくっています。彼らは理不尽に、突然に食われます。でかつよは、ちいかわたちを捕食するのです。さらに、「キメラ」という存在もいます。キメラは作中では詳しく語られていませんが、見た目もちいかわたちにそっくり。しかし、ちいかわたちを襲う恐ろしい存在でもあるのです。ファンの間では、ちいかわたちが何かのきっかけでキメラに変化してしまうのでは? と考察されています。
ちいかわたちは、個々の個性はありますが、基本は友だち思いで優しい良い子たちです。しかし、これは、いじわるな見方をするするなら、襲ってくるでかつよや管理者・鎧さんに対して受け身の、世界の弱者たち、と見ることもできます。
彼らは「草むしり検定」のために勉強を頑張ったり、剣術を習ったりと、世界に対抗する努力は惜しみません。それなのに、その努力が報われない場面も多々……。突然のアクシデントもしょっちゅう……。
『ちいかわ』のシビアさを強調してしまいましたが、シュールな場面もありつつ、かわいい彼らのようすがキュンとくる作品なのは間違いありません。このなんとも微妙な世界観、ぜひ作品に触れていただきたいです! 今回映画化が発表された話も、すでに単行本(『ちいかわ』8巻)が出ています。映画に行く前に、まずは『ちいかわ』の世界をどうぞご覧になってみてください。
原作漫画 電子書籍
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映画公式サイト
子どもに見せる前に知っておきたいこと
前述したように『ちいかわ』はシリアスなシーンも登場します。現在放送中のTVアニメも、「拾魔編」と呼ばれるエピソードが放送され、様々な話題が起こっています。一緒に見ていたフジテレビのアナウンサーたちもびっくりしてしまっていたのは印象的でしたね。
TVでもそのような話題を呼んでいましたが、今回の映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』は特に子どもには刺激が強かったり、「あのシーンってどういうこと?」と子どもから質問されて親が回答に困ってしまうこともあるかもしれません。
もう少し踏み込んで言うと、グロテスクなシーンはないものの、ちいかわたちがでかつよに襲われるシーン、心の闇や弱さを映し出すようなシーン、解釈によってはショックなシーンがある、ということです。
心配がある方はまず原作コミックを呼んでみることをおすすめします。
でも面白い作品なのは間違いない
よく、『ちいかわ』の面白さは「かわいい見た目とこのシビアな世界観のギャップ」にあると言われます。確かにそのとおりなのですが、ここではもう一歩踏み込んだ面白さを紹介してみたいと思います。
個人的な感想かもしませんが、『ちいかわ』の面白さは、「正義が勝つとか良い人だから報われるといった道徳的なメッセージがないこと」なのではないでしょうか?
かわいくて正しくて善良なちいかわたちは、よくひどい目に遭います。それでも、心折れずに自分であることを辞めないのがちいかわたち。その姿に、現実の何かを重ねてカタルシスを得る方、多いのではないでしょうか。
そして、今回の映画は、いっぱい頑張ったちいかわたちの成長した姿が見られるはずです! 原作は、ちいかわたちが島に行く話となっています。島では、グッズ化を待たれていた人気のキャラクターも登場しますよ。ちいかわたちの頑張りを応援するもよし、闇の者となってS気質を発散させるのもよし。見終わった後、「あれってこういうことだよね」と感想や解釈を語り合うのも楽しそうです。
来年の夏、映画『ちいかわ』がどのように評されるのか、今から楽しみです。まずは、映画を観にいかねば! ですね。夏の楽しみが増えました。
とはいえ、誰と行くかは要注意。お子さんの年齢や性格を考慮した上で、映画館行きを決めてくださいね。