【エリアトラウト】リバー型釣り場攻略の5つのヒント。ダウンクロスが正解?
「リヴァスポット早戸」を舞台に、リバー型エリアの攻略法を徹底解説。なぜ最初のルアーは2g前後のスプーンなのか?ダウンクロスで狙う理由とは?釣果を伸ばすコツを、エキスパート2人が分かりやすく伝授。
写真と文◎編集部
取材協力◎リヴァスポット早戸
解説◎
井上 尚之(いのうえ・なおゆき)
山梨県出身。ヤマメ釣りに親しみ、地元・大月市の奈良子釣りセンターでインストラクターを務めた経歴ももつ。最近は渓流釣り激戦区の桂川で大ものをねらうために自作したロッドが巷で注目されている。
戸塚 明子(とつか・あきこ)
「アッコちゃん」の愛称でお馴染みのオフィスユーカリ営業担当。2013年度トラウトキング選手権チームバトル優勝など、エリアトーナメントにおいても爪痕を残している名手。
リバータイプのエリアは初心者にピッタリだが……
管理釣り場のなかでも、自然の川を区切って造成されたリバータイプのエリアは、入門者から高い人気を集めている。休日になるとファミリーで訪れる釣り客も多く、子供連れの姿が目立つのも特徴だ。実際、初心者にとって釣りがしやすいのも事実で、止水のポンドタイプに比べて遠投の必要性が少ないことや、浅いのでレンジのコントロールのテクニックがそれほど必要ないことが釣果の得やすさにつながっているだろう。
しかし、渓流ルアーの名手であり、リバータイプの管理釣り場で7年間インストラクターとして初心者を導いていた経験をもつ井上尚之さんは、「リバータイプの釣り場であっても、初心者に釣ってもらうには、乗り越えてもらわなければいけないハードルがいくつもあります」と話す。
そこで今回はその井上さんと、ポンドタイプを得意とする戸塚明子さんが、都内からのアクセスも良好な神奈川県のリヴァスポット早戸を訪れた。この記事では、タックルを手に入れキャストまではできるようになったビギナーを想定し、より確実に釣果を得て、リバータイプのエリアを後悔なく楽しむための具体的なポイントを掘り下げていきたい。
ラインとフックは最重要:ナイロン3lbと予備フック
まずタックル面で注意すべき点として、井上さんが挙げるのがラインとフックだ。量販店の格安セットで釣りを始めた場合、あらかじめ巻かれているラインが太すぎることも珍しくない。この状態ではキャストさえままならないし当然釣果も期待できない。井上さんは、苦戦しているファミリーを見かけるとラインを巻き替えてあげることもあるという。
使ってもらいたいラインはナイロン3Lb(0.8号)だ。強度と扱いやすさのバランスが取れているのがこの太さだ。
まずはラインを適正な 太さに替えることが、釣果への近道となる。
予備フックが1尾を左右する
また、ビギナーにとって一度のバイトがどれほど貴重なものかを考えれば、井上さんが「頼むから予備のハリを用意してほしい」と強く勧める理由が理解できるだろう。
では、どんなフックを選べばよいのか。井上さんの答えは「まずはなんでもいいです」である。「ハリ先が鈍っているフックよりは、どんなハリでもマシです」。2〜3回、魚を逃してしまったら替えてみるのがよい。レストハウスでハリが売られていることも多いからそこで購入すれば問題ない。
井上さんの予備フックケース。管理釣り場ではカエシのない「バーブレスフック」の使用がルール。それさえ守ればOKだ
最初のルアーは2g前後のスプーンがおすすめ
最初のルアーはスプーンがよい。近年、クランクはスローに特化したものが多いが、適度なサイズのスプーンは巻きスピードのブレに対する許容範囲が広く、井上さんの経験から言っても、ビギナーに自由に釣ってもらったときに釣れやすいのは圧倒的にスプーンだという。
ウエイトは投げやすさを優先したい。オフィスユーカリのココロであれば、1.8gか2.4gが適している。
「リールの巻きスピードについては、『いーち、にーい……』とお風呂で数を数える早さでハンドルを回してください、と伝えます。初心者でとくにお子さんだと、いろいろ言っても混乱させてしまうだけですから。それでもなんだかんだ釣れてしまうのがスプーンのいいところでです」
この日、井上さんは有言実行で蛍光ピンクのココロ1.8gからスタートし、1投目でニジマスをキャッチした。
蛍光ピンクのココロ1.8gにヒットしたサクラマス。
枝に引っかけたら慌てず対処
リバータイプのエリアでは、対岸の枝や岸際にルアーを引っかけてしまうことがある。これではせっかく揃えたルアーがなくなってしまって悲しい。
対処としては、引っかけないために飛び過ぎたと思った瞬間、ルアーが飛んでいるうちに適切にブレーキをかけること。ビギナーはロッドをアオってしまいがちだがリールのベールがフリーでは意味がない。空いている手でリールのスプールをつかむのが確実だ。
そしてルアーが枝にかかってしまったら、まずは何もしないこと。ルアーが枝からぶら下がって揺れているときに慌てて引っ張ると枝に巻きついて取れなくなるので、静止するのを待つのが重要。そこからゆっくりとルアーを持ち上げていき、ルアーが枝に接したときに軽く弾くように引っ張るとうまく乗り越えて手前に落ちてくれる。
立ち位置は魚よりやや上流、ダウンクロスでねらう
リバータイプの釣り場でルアーを追わせるコツは、魚に対してやや上流側に立ち、ダウンクロス気味に下流側からルアーを通してくることだ。魚は常に上流を向いているため、その魚が泳ぐのと同じ向きにルアーを追わせたほうがバイトに持ち込みやすい。
「高速道路のカーチェイスだと思ってください。上流側に投げて巻いてくると、魚にとっては対向車線の車のようなもので、それに食いつくには急ブレーキをかけてUターンしなければならない。でも、後ろから追い越そうとする車なら、そのまま加速して追いつけます」と井上さん。
自然渓流では魚の警戒心の強さから下流からのアプローチが基本となるが、管理釣り場の魚は人を見慣れているため、過度に気にする必要はないという。「ネイティブの釣りでも、下流側にまだルアーを通していなかったコースがあれば、そこから魚を引き出せることは多いです」と井上さんは付け加えた。
自信がなくても、立ち位置を意識するだけで釣果は変わる
ルアーローテーション:気に入った場所に戻る習性を利用
一方、ポンドタイプを釣り込み、トーナメント経験も豊富な戸塚さんが気になっていたのは、リバータイプのエリアにおける魚の反応とルアーローテーションという、もう一歩踏み込んだ疑問だった。一度追わせた魚や、これまでのルアーに反応が鈍くなった状況で、どのようにルアーを替えるべきか。
その問いに井上さんは、「ルアーローテの考え方自体はポンドタイプと同じなので、戸塚さんのほうが引き出しは多いと思います」と前置きしたうえで、リバータイプならではの特徴を挙げた。
「リバータイプの魚は、気に入ったスポットに定位しています。ポンドのように回遊はしません。ルアーを追わせてその場を離れた魚は待っていれば元の位置に戻るので、それを待ってルアーを替えたら、コースを替えたりしてもう一度ねらうと、チャンスは確実に増えます」
この日活躍したルアー。ココロ1.8g(上左2つ)、バグ0.8g(上右2つ)、ミニクラSS(下左)、ミニクラF(下中)、esa(下右)
初心者が用意すべきスプーンのカラー(5色)
派手系(オレ金、蛍光ピンクなど):2色地味系(オリーブ、ブラウンなど):2色自分の好きな色(釣ってみたい色):1色
その色で釣れれば自分の選択が答えとなって返ってくる釣りの楽しさの本質を味わってもらえるだろう。
スプーンはワレットに収納するのが便利。井上さんの「グレ鱒M ワレット」の中身はこんな感じ。初心者でもスプーンは5色ほど準備したい
次のステップ:マイクロスプーンとクランク
戸塚さんはスプーンのサイズを落とし、バグの0.8gにチェンジした。キャストの難易度は高くなるが、1g以下のマイクロスプーンの威力はやはり大きく、連発で魚を引き出してみせた。ビギナーが使う際にはライントラブルのリスクも大きいが、キャスト時に余分なラインを出さないよう、着水と同時にスプールを押さえ、常にラインテンションをかけた状態で巻き取ることを意識すれば、トラブルは大きく減らせる。
小粒でもキャストしやすくラインテンションを維持しやすいクランクに手を伸ばすのもその点ではよい選択肢だ。オフィスユーカリのミニクラシリーズは巻きスピードの対応幅が広くスプーンの次に投げるクランクとしておすすめだ。
リバータイプのエリアは、手軽さの裏にも押さえておきたいポイントがある。ここで紹介したコツを実践してもらえれば、最初の1尾までの距離は確実に縮まるはずだ。ベテラン勢の皆さんがビギナーを誘って釣行する際にもぜひ参考にしてみてほしい。
蛍光カラーのミニクラにヒット。ビギナーは腹側のフックは外してしまうほうがトラブルが少ない。予備バリとして活用しよう
※このページは『つり人 2026年2月号』に掲載した記事を再編集したものです。