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指揮者・大友直人、沖縄にオーケストラの花を咲かせて20年

TBSラジオ

コシノジュンコ MASACA~指揮者・大友直人~

TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週日曜夕方5時から放送!

2021年2月21日(日)放送

大友直人さん(part 2)
1958年東京生まれ。桐朋学園在学中の22歳でNHK交響楽団を指揮してデビュー。以来、日本を代表する指揮者として活躍しています。現在は東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督、高崎芸術大学芸術監督を務めています。

出水:大友さんは小さいころはどんな家庭環境で育ったんですか?

大友:うちは本当にごくごく普通のビジネスマンの家庭で、とくに音楽のバックグラウンドではなかったんです。母は音楽が好きでしたけれども、父はそんなに興味がある感じではなかったですね。

出水:小学生のころからNHK交響楽団の定期会員でらっしゃったそうですね?

大友:小さいころからピアノをやってたんですけれど、小学校3年の時、家にたまたまあったクラシックのレコードを聴いてるうちにハマったんですね。本当に好きになって。

JK:うわぁ、小学生でこんな風になるんですね!

大友:それでね、どうしても生の演奏が聴きたくて、親にせがんでN響の定期会員になりました。本当に指揮者になりたいと決心したのは中学校2年生のとき。私が行ってた学校も受験志向だったので、2年生になると高校受験がメインの活動になるんですよね。そういう中で高校大学とどうなるのかなと思った時に、やはり自分は音楽から離れられないな、仕事として選ぶなら音楽家にチャレンジしてみたいな、と決心したんです。そこからは邁進しましたけれど。

JK:おうちの方は抵抗はなかったんですか?

大友:母親は大変ありましたね。寝込んでしまって。父の方は無責任で、自分がビジネスマンだったせいか、芸術家と生涯を送れるならそれに勝る人生はないって言ってくれたんです。でも考えてみたら本当に無責任で(笑)でも母は現実的ですから。

JK:心配なさるわよね。それで一生食べていくなんて・・・

大友:私は残念ながら子供がいないんですが、もし自分に子供がいたら全力で阻止しますよ(笑)

JK:だけどオーケストラの指揮だから、個人でやるわけにいかない。大がかりな会場で、大がかりなことの中心になるわけだから、練習ばっかりでそんなに毎日仕事はないですもんね。

大友:そうですね。人前に立つ仕事は何事も、裏で準備しなくてはならないですからね。

出水:NHK交響楽団を22歳のときに指揮したそうですが、どのようないきさつで?

大友:偶然というのかな、いろんなことが重なって。大学1年のとき、たまたま桐朋学園の学長だった三好昭さんの作品を演奏会で演奏する予定になっていたんだけれど、小さい編成のオーケストラで、指揮者なしの予定だったんですって。ところが練習を始めてみたら、指揮者がないと演奏できないってことになって。でも演奏会は2~3日後で、プロの指揮者は手配がつかない。それで三好先生から電話がかかってきて、「大友君、悪いけどやってくれない?」って。学長から言われたら私も断れない(笑)その時のメンバーが当時のN響の主要メンバーで、その人たちが推薦してくれて、それでN響に入団した。

JK:その先生のおかげですね!

大友:いや、本当にそう。だからまぐれですよね。

JK:それが運命のはじまりね。

大友:だから私はコンクールとか1回も受けたことがない。全然。そういう意味では何の肩書もないんですよ。だから幸運でしたね。

JK:指揮者の理想って?

大友:指揮者の理想って難しいんだけれども、大勢の音楽家と一緒に音楽のエネルギーを作り出していくって言うのが醍醐味だし、あとはもうひとつやらなきゃいけないのは、その時代時代の音楽を作ってメッセージしていくこと。ここが一番やりがいのあることなんです。だけどクラシックの世界って、とかく古典のレパートリーを繰り返し演奏することになりがちだし、現実的にそうなってる。それは大事なんだけれど、それよりも私はどちらかというと、現在進行形の音楽を作って、お客様にメッセージを伝える。そっちをやっていきたいなと思ってるんです。

JK:この番組はMASACAって言うんですけど、ご自身の人生でのマサカは?

大友:デビューの話もそうですけれど、実は私、沖縄の琉球交響楽団の音楽監督もやってるんです。まさか自分が沖縄のオーケストラと関わるとは(^^)それからもうひとつ意外なのは、ハワイにオーケストラがあるんですよ。ハワイ交響楽団って100年以上の歴史がある立派なオーケストラなんです。ここのオーケストラとも20年以上の付き合いで。ですから、自分はもしかしたら「トロピカル指揮者」かなって(笑)

JK:そうよね! 沖縄だ、ハワイだ(笑) それをサントリーホールでやるんでしょ?

大友:そう。去年演奏会があるはずだったんですけど、できなくて。今年6月に琉球交響楽団初の東京公演があるんです。

出水:ピアノの辻井伸行さんもご出演されるそうですね。

大友:はい。創立20周年記念公演で、沖縄で初めてのプロフェッショナル・オーケストラということで活動を始めました。沖縄はコシノ先生もご存知だと思うんですが芸能がさかんで、才能がある人が大勢おられる地域なんです。

JK:独特ですよね。

大友:伝統、それから地域の音楽や踊りがありますからね。そういうものが生活に根付いている地域です。那覇の国際通りのような都会にいると気づかないんだけど、ちょっと裏道に入ると、今でも夕方になるといろんな家庭から三線の音がぽろんぽろんと聞こえてきたりするんですよ。そういう文化があるんです。つねに集まりがあると踊りを踊ったり。

JK:私も毎年、琉球海炎祭で花火のデザインをしてるの。もう10年になるんです。最後に必ず沖縄らしい曲で花火をやっておわり。やっぱり盛り上がるんですよ。

大友:そういう土壌があるんですけど、クラシックになると優秀な演奏家も出ている地域なんですが、やっぱり地域に根付いた音楽活動は定着していない。琉球交響楽団は沖縄県立芸術大学と関りがあって、そこの音楽学部で教えることになった初代教授の1人に祖堅方正さんといって、私がデビューしたころの首席トランペット奏者がおられたんです。沖縄県芸ができるというのでN響を退団して、故郷に戻って教授になられたわけ。ある日祖堅さんから電話がかかってきて、「音楽学部を始めて、やっと去年卒業生を出したんだよ。1~4年生がやっと埋まって、学生だけで小さなオーケストラができるようになったから、指揮しに来てくれないかな」と言われて、沖縄に行ったのが25~6年前。その時に祖堅さんが、「こうやって一生懸命音楽家を育てても、沖縄で活躍場所がないんだよね」って。いずれは沖縄にもちゃんとしたオーケストラを作りたい、という話から始まって、具体的にやりましょうということでスタートさせたんですよ。

JK:それが20年前ね。

大友:ですから最初は、優秀な卒業生と沖縄にゆかりのある音楽家が集まって、それこそいろんなところにスポンサーになってもらって自治体からも助成金を出してもらえれば、きちんとした楽団になるんじゃないかという夢をもってスタートしたんです。ところがハードルが高くて、壁が厚くて。20年経った今も基本的な財政基盤がないんですよ。だから本当に苦労して、手弁当でいつ活動が止まるかという状態で20年がんばってきている。だけど私自身は、教育と文化はひとつの国で格差があっちゃいけないと思っている。実際には音楽の格差ってすごいものがあって、東京や大阪や名古屋は世界がびっくりするほどコンサートホールがたくさんあって、演奏会も数えきれないほどあるんだけれど、ひとたび地方に行くと演奏会すらない街がたくさんあるんですよ。これは国としてはいい形ではないですから。

JK:本当ですね。

大友:実はね、指揮者にできることってそんなにないんですよ。本当のことをいうと。ポイントは、私も十分できないんだけれど、弾いている人たちがどれくらい全力で能力を出してくれるか。そこにアンテナを張るのがポイント。個々のプレイヤーがどういう演奏をしているか、どういうことが起きてるか。そういったことにアンテナをはってキャッチする。それでこっちに行こうかあっちに持っていこうか、と掌握できているか。私はいまだにできていないですけれどね。

JK:すごーいと思う! 100人1人1人を把握して。これってすごいことですよね。

大友:引っ張ろうとしてもついてこないんですよ。だけど、自分たちで走ってもらう。競馬の騎手なんかがそうですよね。馬に走ってもらう。馬が走りやすい、一番真剣に走る状況を作るわけ。指揮者もそうで、自分だけで引っ張ろうとしても引っ張りきれない。どうすればみんなが参加してくれるようになるか。言うのは簡単なんだけど、そこが難しい。不思議な仕事ですよね。

=OA楽曲=
M1. 萩森英明 : 沖縄交響歳時記 - 第1楽章 新年 / 大友直人指揮:琉球交響楽団

◆2月21日放送分より 番組名:TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」

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