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「米油」のデメリットってある?ほかの油との違いを管理栄養士が解説

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「米油」のデメリットってある?ほかの油との違いを管理栄養士が解説

米油とはどんな油?

米油とは、米を精製する際に出てくる白米以外の部分である米ぬかと米胚芽を原料として作られる油です。精米所で出た米ぬかと米胚芽から油を抽出し、固形分やロウ分など食用に適さない成分を取りのぞいて作られます。

米油は玄米に対してわずか1%しか摂れない貴重な油で、玄米由来の生理活性成分を多く含むのが特徴です。(※1)

米油にはデメリットがある?

米油のデメリット

トランス脂肪酸が含まれる

溶剤が残る製法もある

価格帯が高い

トランス脂肪酸が含まれる

トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種で、油脂の加工や精製の過程でできます。トランス脂肪酸を含む代表的なものが、植物油脂に水素を添加して作られたマーガリン。米油には、精製する工程で臭いを取りのぞく処理によってできたものが含まれていると考えられます。

トランス脂肪酸がよくないと言われる理由は、過剰に摂取することで悪玉(LDL)コレステロールが増加し、善玉(HDL)コレステロールが減少すると言われているためです。

しかし、日本人はもともとトランス脂肪酸の摂取量がそこまで多くありません。また、ほかの油と比較しても米油のトランス脂肪酸の量は極端に多くないため、米油の摂取を制限するほどではないでしょう。(※234)溶剤が残る製法もある

米油のデメリットとして、抽出する際に使う溶剤が残ることが指摘されているようです。植物油の抽出方法は「圧搾法」と「溶剤抽出法」があり、米油もそれぞれ異なる抽出方法がとられています。

しかし、有機溶剤は抽出後の精製の工程で取り除かれる加工助剤。食品添加物としても認められ、安心して使えるとされているものです。ただし、圧搾法のほうが栄養成分の損失が少ない場合もあるため、気になる方は確認してから選ぶとよいでしょう。(※56)価格帯が高い

米油のデメリットのひとつとして挙げられるのが価格です。特に前述した圧搾法を用いたものは抽出法を用いたものより価格が高いことが多いようです。

しかし、たとえばオリーブオイルも製品の品質によって価格帯に大きな差があります。同じように考えて、目的によって使い分けるとよいでしょう。

米油とほかの油の違いは?

米油とオリーブオイルとの違い

米油もオリーブオイルの脂質量やエネルギーはあまり変わりませんが、含まれている脂肪酸の内訳が異なります。オリーブオイルは脂肪酸の約70~80%がオレイン酸なのに対し、米油はリノール酸とオレイン酸のバランスが良いことで知られます。

米油はオリーブオイルよりもビタミンEを多く含んでいるため、ビタミンEを摂りたい方にもおすすめの油です。

オリーブオイルの最大の特徴は風味。特にエキストラバージンオリーブオイルに分類される最上級のものはサラダや料理の仕上げなど、風味を楽しむ料理に向いています。風味を生かしたい場合はオリーブオイルを選ぶとよいでしょう。(※78910)

米油とごま油との違い

ごま油の脂質量やエネルギーは米油とほとんど変わりません。含まれる脂肪酸はごま油も米油と同様、リノール酸とリノレン酸のバランスが良いのが特徴です。ただ、ビタミンEは米油の方が多く含まれています。

ごま油はその豊かな風味と酸化しづらいことが特徴で、炒め物をはじめとした加熱調理に使用するのにもおすすめです。中華の炒め物や揚げ物から、サラダのドレッシングまで風味を生かした料理に幅広く使えます。(※71112)

米油とサラダ油との違い

サラダ油もほかの油と同様、脂質量・エネルギーは米油とほとんど変わりません。ビタミンEはオリーブオイルやごま油よりは多いものの、米油の半量です。

サラダ油の定義はJAS規格で0℃で5.5時間保存しても清澄であることが基準とされ、加熱調理以外にマヨネーズやドレッシングなどの冷たい料理にもそのまま使用できます。手に入りやすい価格帯のため、日常的に摂り入れやすい油と言えるでしょう。(※78111314)

米油はデメリットだけじゃない!嬉しいメリット

米油に含まれる嬉しい成分

γーオリザノール

オレイン酸

リノール酸

ビタミンE

植物ステロール

米油にはデメリットだけでなく、栄養素もたくさん含みます。代表的なものがγ-オリザノールです。γ-オリザノールは抗酸化作用に優れていることで知られています。ほかにも体にいい脂肪酸と言われるオレイン酸とリノール酸のバランスがよいのも特徴です。

また、抗酸化作用をもつビタミンEと、ビタミンEの一種でさらに抗酸化力が高いスーパービタミンEも含みます。コレステロールの吸収を抑える植物ステロールも多いため、これらの栄養素を摂り入れたい方は米油を使うとよいでしょう。(※1015)

米油の嬉しい特徴

酸化しにくい

クセがない

泡立ちにくい

国産のものが多い

栄養成分以外にも米油にはメリットがあります。抗酸化成分が豊富で酸化しにくく、揚げ物や炒め物にもおすすめです。

クセがなく素材の味を引き立てることから、おひたしや煮物などに少したらすと、まろやかな味を楽しめます。揚げ物の場合は食材の水分で揚げ油が泡立つと揚げムラや油っぽさにつながりますが、米油は油切れがよいためカラッとしやすいのも特徴です。

また、ほかの植物油脂は原料が国内産のものは限られますが、米油の原料は国産がほとんどのため、貴重な油脂資源とも言えます。(※11015)

米油のデメリットだけでなくメリットも知りましょう

米油のデメリットとしてはトランス脂肪酸が含まれる、溶剤が残る製法もあるという点があげられます。しかし、体に悪いという情報に関しては、米油を避けなければならないほどのデメリットとは言いづらい内容のようです。

米油にはデメリット以上にメリットと言える点が多いため、製法や種類などを選んで摂り入れてみるとよいでしょう。

【参考文献】

(2024/01/12参照)

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