藤井フミヤ with 南こうせつ「僕の胸でおやすみ」PANAM 55周年プロジェクトが始まった!
日本のポップスシーンを支えたPANAMレーベルが設立55周年
ジャパニーズポップスの黎明期を支え、新しい音楽シーン形成の一翼を担った『PANAM(パナム)レーベル』が、今年2025年に設立55周年を迎えた。同レーベルにはかぐや姫やイルカをはじめとするフォーク系のアーティスト、さらには細野晴臣、鈴木茂、大貫妙子、ムーンライダーズといった面々も在籍。1970年代に、フォーク・ニュー・ミュージック系の主要レーベルという地位を築き、その後も独創的なリリースを続けてきた。
そして今年、55周年のアニバーサリーとして『PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS』と銘打ったプロジェクトが動き始めた。これは、1970年以降にPANAMが送り出してきた珠玉の名曲たちをリメイクカバーし、未来へ向けてさまざまな共創の渦を作るプロジェクトで、2025年9月以降、毎月のリリースが予定されている。
藤井フミヤがかぐや姫をカバー
その第1弾が、9月17日に配信された藤井フミヤ with 南こうせつ 「僕の胸でおやすみ」だ。オリジナルは、“南こうせつとかぐや姫” 名義で1973年7月1日にリリース、彼らにとって初のオリコンシングルベスト100にランクインした曲でもある。そしてかぐや姫は、この曲の発売から2ヶ月後にリリースすることになる「神田川」のミリオンヒットで、その名を全国区のものとしていく。
その「神田川」のヒットを嚆矢に、多くのフォークグループがシーンに浮上するわけだが、1960年代においてプロテスト色の強かったフォークソングは、1970年代に入ると個人的な心情や風景の描写に重きをおいたものに変化していく。そんな流れの中で生まれた「僕の胸でおやすみ」は、ギターのアルベジオを主体とした美しいアレンジが素朴な言葉を包み込み、人間の根源にある大らかな優しさが溢れている。
総合プロデューサーは藤井フミヤが全幅の信頼をよせる佐橋佳幸
かぐや姫と同時代(1970年代前半)に活躍した、矢沢永吉率いるキャロルを自身の音楽ルーツとしている藤井フミヤがフォークソングを歌うことに意外性を感じる人も多いかもしれない。しかし、藤井が少年時代、当たり前のようにラジオから流れてきたかぐや姫の楽曲をカバーするということは、極めて自然なことではないだろうか。ちなみに、藤井が生まれて初めてギターで弾けるようになった曲が、かぐや姫の「妹」だったという。
そんな藤井に「僕の胸でおやすみ」を歌うことを提案したのは、PANAMプロジェクトの総合プロデューサーを務める佐橋佳幸である。奇しくも2人は1983年デビューという同期生。佐橋は藤井のソロデビュー曲にして約250万枚のセールスを記録した「TRUE LOVE」の編曲に携わり、直近では2023年の全国ツアー『藤井フミヤ CONCERT TOUR 2023 Special LoveSong』にもギタリストとして参加。藤井は佐橋に、全幅の信頼を寄せている。
未来へ歌い継がれるべき歌として再定義
オリジナルのかぐや姫が奏でる「僕の胸でおやすみ」は普遍的な魅力の中に、繊細で、牧歌的で、清涼感を持ちながらも、どこか青春の脆さを感じさせる。心のうちにある弱さすらも楽曲の持ち味として表現しているこの曲は、2ヶ月後にリリースされることになる「神田川」の序章と位置付けるのは言い過ぎだろうか。
一方で、藤井の歌うリメイクカバーは、父性を感じる力強さが伝わってくる。これは、紛れもなく藤井の新境地であり、経験を重ねたシンガーとしての力量が、自然体のままあらわになっている。なんといってもゲストボーカルとして参加しているオリジネーターの南こうせつの清らかな歌声も相まって、50年以上前の楽曲が、未来へ歌い継がれるべき歌として再定義されることになった。
『PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS』プロジェクトでは、この「僕の胸でおやすみ」を皮切りに、10月にはネオ・シティポップバンドのGOOD BYE APRILと南佳孝がコラボレートした「LADY PINK PANTHER」 。そして11月には、今年のフジロックでも大好評を博した鈴木実貴子ズが、BLACK BOTTOM BRASS BANDと共に、なんと、たまの「さよなら人類」をリメイクカバーすることになっている。
今後も、数々の名曲が時代を超えて再定義されていく『PANAM 55/100 SUPER SONG COVERS』プロジェクト。日本のポップス黎明期からの名曲に新たな息吹を注ぎ込んだリメイクカバーに期待したい。