保育園のお散歩で、公園に20分置き去りに。その実体験
去年、あずけている保育園で1歳4ヶ月(0歳児クラス)の我が子が散歩中、公園に20分置き去りにされるということが起きました。
ニュースで見るような事件で、まさか自分の身に起こるとは、今も信じられません。
事件は当日に私たち両親に報告され、後日に今後の対策が提案・報告され、園全体での保護者会があり、都や市や赤十字に報告されて一旦終了しました。しかし、ずっと胸中は複雑です。
発生当初は怒りと悲しみと混乱、その後はあまりにも考えるべき要素が多すぎて、未だにどう心を整理していいのかわからない事件です。
正直、自分たちの家庭だけでは抱えきれないと思っています。
他の方々にも、いつでもこのような事件が起こりうることを知ってほしいですし、一緒に考えられればいいなと思います。
公園置き去り、その経緯は
川島 :お子さんが置き去りに遭ってしまったその日のこと。詳しく教えていただけますか?
マキオ:勤務をしていた時に保育園から電話がかかってきまして、「実はこういうことが起きてしまいました」ということで、その時にハッキリ、「お散歩中に〇〇公園に何分置き去りになってしまいました」とお伝えいただいて、すごく丁寧に謝られました。「詳しく説明したいので、お迎えの前に10分くらいお話する機会をいただけないでしょうか」と言われ。夫も早く帰ってきて、一緒に保育園に向かいました。
川島 :保育園でのお散歩って午前中が多いのかな?電話はいつ頃?
マキオ:午前中に散歩をして、置き去りが発生して、保育園の方で状況整理されたのかなと思うんですけれど、確か13時、14時くらいでした。
川島 :置き去りになって、お子さんはどうやって無事に園に到着できたんですか?
マキオ:幸いなことに、公園のすぐ横に別の保育園があって、そこの先生が保護して下さったんです。さっきまで来ていた〇〇保育園の子じゃないか?と、園に連絡を下さって。
川島 :じゃあ、早めには発見されて?
マキオ:公園を出発してから20分くらい。その公園に1人でいたみたいで。
川島 :1歳4ヶ月の子が!?近くにもちろん道路もありますよね?
マキオ:はい、車通りは激しくて。歩けるので、危ないですよね。聞いた時は血の気が引くような思いでした。
川島 :どういう気持ちで電話を受けたんですか?
マキオ:何を言っていいかわからなくて。 保育園を信じて預けているので、失望感とか裏切られた気持ちとか。子供が無事でよかったけど、ほんとに色々ニュースで聞くような事件もあるので…なんでしょうね、やっぱ混乱してましたね。
川島 :お子さんのクラスは、子ども3人に対し、先生が1人ついているそうで。当日はどれぐらいの先生の配置だったんでしょう?
マキオ:その日も3人に1人ついて下さっていたっていう話でした。それでも忘れられちゃったのか…っていうのも、ショックではありましたけど。12人クラスなので、4人付いている体制で。
川島 :じゃあ、いつも通りの先生の配置ではあったんですね。
マキオ:ただ、1人はアルバイトの先生だったみたいで。でもそれは日常的によくあることと伺っていたので、問題があるような人数とか体制ではなかったと思うんですよね。
小林 :普通、これで忘れないですよね。
マキオ:そうなんです。
知らないだけで、実は起きている
川島 :迎えに行った時の説明はどういった内容だったんですか?
マキオ:園長先生と、教務主任っておっしゃっていたかな、別の取り仕切る先生と、あと担任の先生が3名出てきて、すごく丁寧に謝ってはいただき、経緯を詳しくお話し下さって。それを夫と2人で聞いて、全く言葉が出てこなかったものの、その場で「再発防止策をすぐに取ります」「再発防止策をご提案する席はまた別途」と。その1週間後くらいに、詳しい再発防止策はお伝えいただいたって感じですね。
川島 :私も実は1人、友人で置き去りにあった人がいます。小林さん、こういったことって、何か決定的なことが起きない限り、表には出てこないんですかね?
小林 :保育園でこういうミスがあると必ず役所に報告、届け出てるんです。でもどこまでを報告するか、自治体でまず温度差があって、保育園の事業者によっても温度差があります。園長や主任によっても、どこまで言うか言わないかは性善説なところがあって、隠したい園も多いですよね。聞くと、こういう置き去りは、知らないだけで意外と起こっています。
小林 :保育の世界で、公園に行って置き去りにするってあり得ないんですよね。出発する時・着いた時に点呼する、遊んでる最中もきちんといるかどうか、道路に飛び出してないかを保育士が見ている。戻ったらまた点呼する。園によってはチェック表を作る。その日休みの子がいたり、園に残ってる子がいたり、あるいは途中から親が連れてきて公園で合流っていう場合もある。全て保育士が網羅しているんですよね。この12人クラスで4人で、うち1 人がアルバイトだったとしても、4人保育士がいて大人の目があったらまず置き去りって本当はあり得ないんですよ。
川島 :0歳児クラスでは特に、珍しいといえば珍しいんですか?
小林 :ただ秋冬は、月齢が上がって歩けるようになってくる。そういった場合に、 保育士の配置基準が0歳児は3対1。保育士1人で3人見る。1人ぐずったり、トイレに行きたくなったり、道路に飛び出すと危ないとか、保育士両手で2人しか見れない。誰か抱きかかえてたら他の2人は見れない。3対1基準だと、 そういったトラブルが重なると、気を取られて、置き去りが起こる可能性はあるんですよね。いい園でも、配置の問題で。
川島 :そうですね。普段はそういった確認してるのになぜこの時だけ?みたいなことがあるのかもしれないですけれども。
小林 :そこを詳しく聞いて納得できればいい園だと思うんですけど、どういう説明かよくわからない場合は、ちょっと怪しいねっていう。
川島 :さっきのお話を聞いてると、公園での置き去り、散歩中の置き去りっていうのは、年代問わず結構あるんですか?
小林 :あります。0歳児だろうと4、5歳児だろうとあって。特に4、5歳児クラスだと子供も成長してるので、行動範囲が広がっちゃうんですよね。足も速くなるし、追いかけられなかったり、隠れてたりとか、いろんなことするわけです。
川島 :保育園のどこに問題があるんですかね。どうしてこういうことが起きてしまうんでしょうか?
小林 :人の配置が元々少ない。特に2000年以降は規制緩和してるんですよね。
マキオ:待機児童、大変でしたもんね。
小林 :急ピッチで保育園を作ったこともありますし、規制緩和で、かつては自治体が作る公立園か社会福祉法人が作る保育園しか、認可保育園って作れなかったんですよ。それが2000年以降、株式会社も参入できるようになって。利益追求型の事業者が保育園を運営すると、人をギリギリにする、賃金低くする、過労状態になる、気づかない間にみんな辞めていく。離職が激しいので、基本ができていない保育士がたくさん生まれてしまう。ここが最大の問題だと思いますね。