オーディオや骨董品、アートが詰まった「ギャラリー&喫茶 ミント」。
山のなかを通って新発田から三川へ続く「新発田津川線」。その途中、「ダッチコーヒー 手作りケーキ ミント」という看板が見えてきます。矢印の方へ曲がって進むと道幅が細くなり、やがて見えてくる隠れ家のような山小屋風の建物が「ギャラリー&喫茶 ミント」です。蝉時雨の降り注ぐなか気持ちのいい風が通る店内で、店主の石川さんからお店のこだわりを聞いてきました。
ギャラリー&喫茶 ミント
石川 新也 Shinya Ishikawa
1947年新発田市生まれ。日本国有鉄道に26年間勤続し、1993年に脱サラして「ギャラリー&喫茶 ミント」をオープンする。趣味はオーディオや骨董、アート、写真など幅広い。
山のなかでオープンした、少し変わった喫茶店。
——自然に囲まれたいいところですね。こちらのお店はいつから続いているんですか?
石川さん:平成5年にオープンしたから、もう30年以上続いていますね。その前は国鉄……今でいうところのJRに26年間勤めていたんですよ。
——国鉄マンだったんですね。どうして喫茶店をやろうと思ったんでしょうか。
石川さん:サラリーマン生活に疲れたこともあって独立しようと考えたんです。最初は自分の好きな骨董品か古本の店をやりたかったんだけど、喫茶店で全部やればいいと思って「ギャラリー&喫茶 ミント」をオープンしました。
——山のなかにオープンしたのはどうしてなんですか?
石川さん:私は登山をしたり山岳写真を撮ったりするほど山が好きだったので、山のなかでの生活に憧れていたんです。それから薪ストーブを使いたいという思いもあったので、この土地に家を建てて店舗を作りました。
——山小屋風の造りが周りの自然とも調和していますね。
石川さん:業者さんに骨組みを建ててもらった後は、自分で1年かけて内外装を仕上げたんですよ。ちなみに、柱や梁に使っている鉄骨は旧赤谷線のレールなんです。
——へぇ〜、それは貴重なものですね。
石川さん:貴重なのはレールだけじゃありません。蓄音機や130年前のアメリカ製オルゴール、真空管アンプを使った自慢のオーディオもぜひ見ていってほしいんですよ。オーディオは50年以上のめり込んできた趣味なんです。
——真空管のアンプって、やっぱりいい音が出るんですか?
石川さん:表現力が他とはぜんぜん違って、生で聴く以上の音が出せるんです。空いているときだったら、いつでもCDをかけてお聴かせしますよ。
味わえるのはダッチ・コーヒー、手作りケーキ、そして自然。
——こちらのお店では水で抽出する「ダッチ・コーヒー」を提供しているんですよね。
石川さん:私は昔からコーヒーが好きだったんです。いろいろなコーヒーを飲んでいるなかで「ダッチ・コーヒー」と出会って、他のコーヒーにはない香りやコクの虜になりました。うちの店では近くにある「景勝清水(かげかつしみず)」から汲んできた湧き水を使って、水出しコーヒーを淹れているんです。
——この場所ならではのコーヒーって感じですね。他にはどんなものが味わえるんですか?
石川さん:妻の手作りケーキも味わっていただけます。バターを使わず米油を使っているので、クセや重さがなくて食べやすいんですよ。華やかで洗練されたものではないかもしれませんが、素朴で家庭的なあたたかさを感じられるケーキです。
——それもこのお店の雰囲気にぴったりですね。
石川さん:いろいろうちの店のオススメを紹介してきましたけど、いちばんのオススメは店からの景観かもしれませんね。季節や時間、天候によっていろんな表情を見せてくれるので、1回だけではなく何回も足を運んでいただきたいです。より自然を感じていただきたくって、展望テラスを自作したほどなんですよ(笑)
——高台から見下ろす田畑や、遠くの山々が美しいですよね。
石川さん:私たちは自然豊かなこの地域の魅力を伝えていきたいんです。夏にはゲンジボタルを見ることができるし、秋には紅葉が美しいんですよ。晴れた日だけじゃなく雨の日も靄がかかって侘び寂びを感じることができます。
——いろいろな景観が楽しめそうですね。雪景色も良さそうですけど、冬期は休業しているんですよね。
石川さん:雪が積もる12月から3月まではお休みさせていただいています。あと今年から10月・11月は土日月曜の週3回営業にさせていただく予定なんです。10月を過ぎるとカメムシが大量発生して窓にびっしりと張り付くので、お客様も嫌がっちゃうんですよ(笑)
——自然の美しさも厳しさも味わえるんですね(笑)。「ギャラリー&喫茶ミント」を30年以上続けてきて良かったと思うことはありますか?
石川さん:お客様が喜んでくれるのを見ているときです。表情を見れば本当に喜んでくれているのかわかりますからね。これからも喜んでいただけるように営業していきたいです。
ギャラリー&喫茶 ミント
新発田市上赤谷2592-2
0254-28-2717
11:00-16:00
木金曜休(12月−3月休業)