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育児で学んだ「能動的に待つ」スタンスの話。

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育児で学んだ「能動的に待つ」スタンスの話。

こんにちは、しんざきです。気は長い方というか、ぼーっと待つのがあまり苦にならない性質でして、「昔のPCゲーのテープ読み込み待ちはこんなもんじゃなかった」を合い言葉にすると大体の待ち時間を穏やかな気持ちで乗り切ることができます。


いやー、大変でしたよね、昔のゲームの読み込み待ち。画面一枚表示するのに数十秒かかったりとか、場面転換の度にディスクを入れ替えないといけなかったりとか。今は場面転換どころか、セーブ&ロードすら一瞬で済むのすごい。


この記事で書きたいのは、大体以下のようなことです。

・子どもと接する上では、「待つ」ことがとても大事です

・子どもは感情を扱うことに慣れていないので、整理がつくまで待ってあげないといけません

・ただ、「待つ」のは放置とみられがちだし、待つこと自体が状況的に難しいことも多いです

・だから、「待つタイミングを選ぶ、待つ基準を決めておく」「ゆっくり考えていい、というメッセージを伝える」「周囲と「待つ」基準、方針について合意する」「待っている間も観察する」といった、いわば「能動的に待つ」スタンスや「待つための技術」が重要なようです

・これは仕事の上でも同じで、「放置ではなく能動的に、戦略的に待つ」ということを、周囲と合意しておくことが重要っぽいです

・世の中「すぐ結論が求められる」ことは多いので、上手に待てるといいですよね


以上です。よろしくお願いします。

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。


育児における「待つ」ことの重要さ

以前から何度か書いているんですが、しんざき家には3人子どもがいます。

長男、高校生。長女次女、中学生の双子。最近子どもたち全員、すごくよく食べるようになりまして、五合の米が一日で溶けます。約一週間で5kgの米が必要になるわけで、米の購入費こわい。麦飯増やそうかしら。


まず前提というか、当たり前のことかも知れないですが、育児の上で「待つ」ことってとても大事だし、一方とてもとても難しいことでもあるんですよね。

さすがに最近はなくなってきたんですが、しんざき家の子どもたちはみんな感情豊かな方で、昔は「何か悲しいこと/悔しいことがあって大泣きする」ということが頻繁にありました。3人ローテーションの中一時間制で泣いてるのかな、ってくらい、大抵誰かは大泣きしていました。


何かが欲しくて泣いたことも、何かをやりたくて泣いたことも、叱られて拗ねて泣いたことも、転んで泣いたこともありました。「どうして泣いているのか、親には(もしかすると本人にも)理由が分からない」ということもしょっちゅうでした。


で、親としては「子どもが泣いている」というのはもちろん非常事態なので、すぐに理由が知りたくなるし、早く泣き止んで欲しくなるわけです。だから、どうしても「泣き止む」ことを急かしてしまう。あるあるな話ですよね。

ただ、泣いている時に限らず、子どもが感情を大きく動かしている時、しんざき家では状況が許す限り「待つ」を選択するようにしてきました。


なぜかというと理由は大きく二つで、

・「感情に整理をつける」ということはどんな人間にとっても大変で、特に子どもにはその練習をさせてあげないといけないから

・「ちゃんと聞いてもらえている」「ちゃんと待ってもらえている」という認識は、自己肯定感の獲得の中ですごく大事だと思うから


そもそも、大きく揺れ動いた感情の整理なんて大人でも簡単にできることではないのに、まだ言語化の経験も足りていない子どもが、そうスムーズにできるわけがないんですよね。

感情って子どもにとっては嵐のようなもので、その嵐が多少なりとも静まらないと、親の助け船に乗ろうにも乗りようがない。


ちょっと前にこんな記事を読みました。

幼稚園のときに泣いていたら先生から「泣いてたら分かんないよ?」と言われたが「お前が勝手に聞いてきただけで何も訴えようなどとは思ってない」と激しくムカついたのを覚えている


多分似たような話だと思うんですよ。大人としては、とにかく子どもが泣いているという「課題」を「解決」したいけれど、聞いて答えが出るような状況ならそもそも泣いていない。

「どうして泣いてるの」という質問を重ねれば重ねるほどお互いに焦ってしまって、大人も子どもも疲弊するだけ、みたいな場面ってありがちだと思うんですよね。


だからこそ、可能な限り、「取り敢えず待つ」。

待っている間に少しずつ、自然に感情がおさまっていって、必要なら説明もできるようになるし、「ちゃんと時間をかけて整理していいんだ」「待ってもらえるんだ」という意識が根付く、という側面もあるんじゃないかと思うんです。


もちろん、子どもにもよるし家庭にもよるし状況にもよると思うんで、一般化する意図はない、ということは注釈させてください。しんざき家では状況が許す限りそうしている、というだけの話です。


ただし待つのも簡単じゃない→「待つため」に考えたこと

ただ、これも当然ながら、「待つ」のも言うほど簡単なことではなくて、世の中には「待てない状況」「待てない事情」が山ほど存在するんですよね。

単純に時間が足りない。子どもを待っている間、他のことができず他のタスクが進まない。待ってる間も容赦なく時間は過ぎるのだから、悠長なことを言ってられない場合も当然あります。


周囲へのご迷惑や、周囲からの視線が気になる。電車で子どもが泣いていれば騒音にもなるし、「子どもを放置する親」だと思われるかも知れない。

待てど暮らせどいつまでも解決しない、待てば待っただけ待ち損ということだってあるし、放置ととられて逆に子どもの疎外感を高めてしまうことだってあるかも知れません。


これについて、もちろん色んなやり方があると思うんですが、子どもたちが小さい頃から、何度も何度も試行錯誤する内に、こういうやり方がいいかなーと思うようになりました。

・「待つタイミング」を選ぶための基準を決めておく

・周囲と「待つ方針」「待つ基準」について合意しておく

・ゆっくり考えていい、というメッセージを伝えて、「今は感情を整理する時間なんだ」と認識してもらう

・待っている間も子どもを観察する


まず、「今は待ってもいいタイミングだ」「今は待ってられないタイミングだ」ということについて、ある程度基準を決めておいたこと。


当たり前ですが、怪我をした時とかの緊急事態とか、もうすぐバスや電車の時間だという制限がある場合、また公共の静かな場所で大泣きしている場合とか、「待ってる場合じゃない」という場面は当然あります。

そういう時は、取り敢えずおぶって移動したり絵本で釣ったり、とにかく強引にでも緊急避難して、もしも後から振り返れるようなら振り返ればいい。「待ってる場合じゃない」の判断は素早く、というのが一つの方針でした。


また、基本的には「やってはいけないことをした時は即叱る」「やらないといけないことをしない時は待つ」という方針にしていまして、「これはダメだよ」という場合にはすぐ指摘する一方、例えば片付けが面倒とか、お皿を洗いたくないとか、そういう「するべきことができていない」時は、もっぱら腹落ちするまで待つことにしていました。


一方、寝る時間だとか食事の時間だとか、「本来はここに納めたいけどコントロールできなくもない」程度の時間については、なるべく融通を効かせるようにしました。

その辺、「今は待つ時間」「今は待たない時間」というのは、私と妻で基準が一致していないと家庭内タスクにも不都合だし子どもも混乱するので、この辺はことあるごとに意識共有するようにしました。幸い妻も「待つ」ことの大事さは理解していたので、意識のずれは殆どありませんでした。

これが二点目の、「待つ基準」について合意しておく、ということです。


おかげで、長男が小学校に上がるくらいの頃には、だいぶ阿吽の呼吸で「待つ」「待たない」を判断できるようになりました。長男が大きくなった頃には、長男にも「待つ基準」を伝えて、長女次女を「待つ」時につきあってくれるようになりました。


三点目として、「今は待つ時間だから、ゆっくり考えていいんだよ」と納得してもらう、つまり、「待つ」目的や方向性を共有すること。

子どもの側からしても、「親がなんか怖い顔をして黙ってるだけ」となるとプレッシャーもかかるでしょうし、「なんとかしないと」という意識が強すぎて余計に焦ってしまうかも知れない。あるいは、「構ってくれない」と思って余計にヒートアップしてしまうかも知れない。


だから、色んな形で、「私は今待っているから、ゆっくり気持ちを整理していいんだよ」「時間はあるから、焦らなくていいよ」と伝えるようにしていました。時には抱っこしたりおんぶしたり、時には横で寝転がりながら、「後で理由が言えるといいねー」と伝えました。なるべく寄り添う、待つスタンスを伝える、というのは、そこそこ頑張ってきたと思います。


四点目として、「待っている間」のスタンス。これも状況によるんですが、私の場合、なるべく子どもの様子を観察して、何か助け船が出せそうなら出せるようにしていました。いわば、「待つ」を受け身の行為ではなく、能動的な観察の時間にしていたわけです。

これ、子どもが「放っておかれている」と思わないために、というのがそもそもの理由なんですが、周囲にも「あ、あの親は今は子どもが落ち着くのを待っているんだな」と理解してもらえる、という側面も大きくて、時には周囲の皆さんが協力してくれることもありました。


たとえば公園で長女が泣いている時、長男と次女を他の親御さんが見てくれたり、なんてこともありました。ありがたさしかありません。

繰り返しになりますが、上記は飽くまでしんざき家での方針です。家庭によって、子どもによって、マッチするしないはあるのだと思います。


とはいえ、上記のようなやり方が子どもたちに影響した部分も多少はあるのか、最近は長男たちも色んな場面で「待てる」ようになった気はしまして、私自身気が長くて損をした記憶がないので、子どもたちの気の長さに多少は寄与できたかなあ、と思うと、いいやり方だったのかも知れないと考える次第なのです。


ビジネスにおける「待つ」は思考停止ではなく「戦略的停滞」

ところで、上記のような話は、そっくりそのまま仕事にも当てはまります。というか、仕事上の「待つ技術」について考えていて、「これ育児と同じじゃん」となりました。

例えば部下の育成とか、チームの組成とか。あるいはトラブル時の判断とか。


子どもが泣いた時と同様、ビジネスでも、「判断を急がない方がいい時」「時間をとった時がいい時」っていうのはしばしばありますよね。

私自身が実際に遭った話ですが、社内の内部システムのトラブルについて、普段私が見ていたところを、初めて部下に任せた時。もちろん早く直す必要があるんですが、とはいえ顧客に露出するシステムではない以上「ド緊急」というわけではない。


こういう場合、焦りまくる部下に「今は時間を使える場面だから、焦らないでじっくり調べよう」と声をかえて、周囲にもそれを承知してもらう、という動きをするのが望ましいのは当然で、結果的にそれが部下のスキルを育てることにもなります。

「放置されている」と思わせないよう、部下の動きをある程度観察しておいて、助け船が必要な時はフォローする、というのも、これまた育児の時と同様です。


一方、これはSI会社にいた時の失敗例なんですが、当時はBtoBのパッケージ製品の保守をやっていて、「顧客側のトラブルに対応して、UIの一部に変更を加えることになった」なんてこともありました。

BtoBの顧客側トラブルってある種「子どもが泣いている」状況と相似しているものがありまして、先方の担当者様は「とにかく急いでUIの××の箇所を改善しろ」とおっしゃるわけなんですが、こちらとしては本来「待たれよ」と言わなくてはいけないところなんですよね。本当にそれって必要な変更か?根本解決になってるのか?と。


これも、本来なら時間をとって、きちんと状況を観察して要件の深堀りをして、とやるべきだったところ、当時は無駄にフットワークがいい営業さんと無駄にフットワークがいい会社判断のため、緊急対応とあいなって、事態が落ち着いたころ

「この変更のせいで滅茶苦茶運用がしにくくなったんですが」

という他社さんからのクレームに悩まされることになるんですが、これも「待つ方針」についての合意ができていて、顧客に「深堀りするまで待ってください」と言えていれば避けられたかも知れない問題ではあります。


「待つ」ことが「放置」とみなされてしまう。だから動かざるを得なくなる。けれど、時には戦略的に、能動的に「保留」「停滞」を選ぶべき時もある。

もちろん、仕事におけるタスク管理、時間管理のシビアさは育児以上なので、「待ってられない、本当に今すぐにでもどうにかしないといけない」という状況は当然あります。納期が週末の仕事について、じっくり時間をとって判断を待つ、なんて悠長なことをやっていられるわけがありません。


だからこそ、「こういう場合は待った方がいいです」「ここは時間ちゃんととった方がいいです」という、「待つ基準」「待つ方針」について、きちんとチーム内、また上の人とも合意しておくというのも重要で、これまた家庭での「待つ基準の合意」で学んだ話でもあります。


もうちょっとシンプルにまとめてしまうと、

・待つかどうかを判断する

・待つ目的と判断基準を共有・合意する

・観察しながら介入の準備をする

この三点が、育児と仕事に共通した、「能動的に待つ」という考え方に必要なポイントなのかもなーと。


家庭で当てはまる話が、仕事でも当てはまる。仕事の知見が、家庭でも活かせる。これについては、「待つスタンス」の話だけでなく、色んな場面で当てはまるなあ、と。

今後とも家庭と仕事を行ったり来たり、一方で得た知見をもう一方でも活かしていければなあ、と。

そう考えたわけです。


今日書きたいことはそれくらいです。

***


【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

Photo:Marco López

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