忘れられない名コラボ! 2000年に200足が2か月で完売した「ラブラドールリトリーバー」と「ダナー」のコラボブーツ
あのブランドとあのブランドが手を組んだ。その報せだけで胸がざわつき、追いかけずにはいられない。今なお語り継がれる、忘れられない名作を聞く。
本質に手を付けず本来の魅力をより引き出した好企画|Labrador Retriever × Danner
★「トラベルズ」オーナー・関眞さん|古参インポーター「ITC」、伝説的アメカジショップ「ラブラドールリトリーバー」を経て04年に独立。原宿キャットストリートに位置するセレクトショップ「トラベルズ」のオーナー兼バイヤーとして活躍中
「『ラブラドールリトリーバー』では『ダナー』への色別注を1997から99年にかけて並行輸入というかたちで展開し、某スタイリストが雑誌で取り上げてくれたことをきっかけに、『ダナージャパン』から連絡をもらいました。当時、同社のレギュレーションは800足が最少ロット。
そんな折、設立10周年を迎えた『プロペラ』がイタリアの登山靴『ガリビエ』に着想を得てレッドとブルーのマウンテンライトをそれぞれオーダーしたものの、セールスが振るわなかった。一方で僕らは、並行輸入とはいえメーカーとはわずか数十足からオーダーを受けてもらえる関係性にあり、99年に米アウトドアリテーラーショーでダナー社長へ直談判する形でレトリーバーの別注へと漕ぎ着けました。
とはいえ、ジャパン社の方針は変わらず800足がミニマム。そのうちの200足を『ラブラドールレトリーバー渋谷本店』で引き取り、600足を販路限定でジャパン社が販売することに。『プロペラ』がそれまでにない斬新なアイデアでトライしたのに対し、我々はメーカー。プロダクト本来の魅力を引き出すことに徹しました。個人的にはそんな敬意あるコラボこそが最適解だと今でも考えています」
THE RETRIEVER(ザ レトリーバー)
2000年12月ラブラドールリトリーバー渋谷本店で200足を販売、2ヶ月で完売を記録した名コラボモデル。サイドパネルをベージュスウェードにオーダー、ヒールには記憶に残るよう、モデル名[THE RETRIEVER]の刻印を施した、まさに心が揺れるコラボ。
ブランドの顔でもあるヒールパッチには、「回収する」「取り戻す」などの意味を持つretrieveを語源とする猟犬にして、ショップのアイコンでもあったレトリーバーのネームを刻印。800足限定のスペシャルエディション。
オリジナルではグリーンの丸型シューレースも他社製アウトドアブーツにも見られる定番の通称トラ紐でオーダー。ワークなイメージを加えることでデニムとの相性も格段にアップした。両羽根をレースで締め上げて履くのが関さんのスタイルだ。
エクスプローラーとダナーライト1カーキをベースにサイドパネルをベージュスウェードで別注。97年から数年続いた並行輸入による別注も全て同様に、ダナー本来の良さやイメージを壊さずに、ありそうでなかった色や素材を選択した。
ザ・レトリーバーのベースになった92年モデルの名品エクスプローラー。ブラウン×ダークグリーンは、往年のアウトドアブーツに見られたクラシカルな定番配色。グリーンの丸紐ももちろんオリジナルのままに今なお愛用中。