ADHDの子どもを伸ばす褒め方と環境調整|自己肯定感を守るペアレント・トレーニングの極意
集団生活が苦手で孤立しやすい「ADHD」の子供にどう接するのがいいのか?
肯定的に受け入れる環境が大事
じっとしていられない、一方的に話してしまうなど集団行動が苦手な特性が目立つため、注意欠如・多動症は子どもの頃から褒められる機会よりも叱られる機会が多いです。この結果、自己評価が低くなりやすく、成長するにつれて意図的に人間関係を避けるようになってしまいます。注意欠如・多動症の特性は周囲の影響で変化しやすいという特徴があり、肯定的に受け入れてもらえる状況では、特性が目立たなくなることが確認されています。
このため、周囲が注意欠如・多動症を理解し、適切な対応・支援とともに彼らを受け入れる環境を整えることが大切です。注意欠如・多動症の治療は、環境への介入、行動への介入などを組み合わせて行います。環境への介入では、自室や教室の装飾・掲示物を減らし、余計な刺激を減らすことによって集中を乱さないようにする物理的介入や、勉強時間を10~15分などの最小単位に区切る時間的介入が有効です。
一方、行動への介入では、保護者を対象とした心理教育とペアレント・トレーニング(PT)が重要です。まずは過剰な叱責を控えて適切な注意をする方法や、自己肯定感を高める褒め方などを学びます。注意欠如・多動症の子どもに対しては、好ましい行動には報酬を与え、好ましくない行動には報酬を与えないなどの対応を実践し、少しずつ好ましい行動を増やしていくといった試みが行われます。
また、対人関係をうまく行うための技能を身につけるSST(ソーシャルスキルトレーニング)や認知行動療法なども行われます。このほか、遊びを通じて子どもの気持ちを表現させるプレイセラピーや、多動性・衝動性の特性を緩和する薬物療法などを併用することもあります。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史