【実録】人生で初めて失業保険を受給してみたら、世の中の厳しさを痛感した話
2025年春。
しばらく勤めた会社を離職した私は人生で初めて「ハローワーク」へ足を運んだ。目的はもちろん、失業保険の受給手続きである。
「失業手当をもらいながらのんびり」なんて思っていたが、このあと私はそんな世の中甘くないということを思い知ることになる。
今回は、初めて失業保険の受給申請をした私のリアルな体験談をお届けしたい。ちなみに、今回は自己都合で退職したケース。会社都合退職の場合は異なるので注意されたし。
これから退職を考えている方や、失業保険の申請を控えている方の参考になれば幸いだ。
・失業保険受給までの流れ
失業保険の受給申請は、「離職票」を受け取ってようやくスタート。退職直後には何もできない点に注意だ。また、この「離職票」は会社から送付されるので、いつ届くか事前に確認しておこう。
「離職票」を受け取ったら、「必要書類」を持って住んでいる地域のハローワークへ行き、「求職の申し込み」をすると受給資格の審査が始まる。
審査が通ると、「受給者説明会」の案内と「7日間の待期期間」を命じられる。
この7日間は、本当に失業中かを確認するための期間で、この間はアルバイトなど一切してはならない。万が一アルバイトをしてしまうと、受給資格を失う可能性があるので要注意だ。
「受給者説明会」では、雇用保険の仕組みや手続きの流れが説明される。その後、会社都合の退職であればすぐに受給が始まるが、自己都合の退職だとさらに「受給制限期間」というおあずけ期間が発生する。
ちなみにこの「受給制限期間」は2025年4月からは1カ月に短縮されたが、私が退職したのはそれ以前。
おかげで2カ月間まるっとおあずけ期間が発生し、これが地味にキツかった。
なお、2025年4月以降、教育訓練を受けると給付制限期間が解除される新制度も始まっており、現在はより受給しやすい環境になっているようだ。詳細は「厚生労働省の情報」を確認してほしい。
さらに、4週間ごとに「失業認定日」があり、この認定日までに2回以上の求職活動をする必要がある。詳細は「厚生労働省の条件」を参考にすると良いだろう。
「失業認定日」にはハローワークで「失業認定申告書」を提出。これらを繰り返し、ようやく失業手当が振り込まれる──という流れだ。
ややこしすぎだろ!
・ほんまに令和か?
そして、令和のこの時代に、手続きは基本紙の書類というアナログっぷり。受付も窓口の方の声掛けで呼ばれる。書類は多く、窓口をたらい回しにされることもしばしば。
そして何より衝撃だったのが、某夢の国もびっくりの混雑具合。
管轄のハローワークにもよると思うが1回の手続きで軽く数時間潰れるので、暇つぶしできるものを持参することをおすすめする。
・貧民共和国の誕生
「受給制限期間」を終えて、ようやく失業手当が振り込まれることとなるが現実はシビアだった。
まず支給額が思ったより少ない。ざっくり前職の給与の50〜80%程度。
さらに、ここに追い打ちをかけるように保険・税金パンチが襲ってくる。
その中でも強烈だったのが、国民健康保険だ。とんでもねえ請求額を見た瞬間に白目をむいた。
せっかく受給した失業保険は、固定費や保険・税金を払えば一瞬で消えてしまう。
そして、なぜかこのタイミングで我が家の家電たちが次々と故障した。エアコンが止まり、パソコンが沈黙し、トドメの浴室乾燥機が異音を立て始める。
税金パンチに加え、家電故障というダブルコンボを食らい、私の家計はお手上げ状態。神は無慈悲である。
・アルバイトするにもルールが複雑すぎる
そんなこんなで失業中、やむを得ずアルバイトをすることになったのだが、これもなかなか簡単ではない。
週20時間以上の労働かつ31日以上の雇用があると「失業状態じゃない」と見なされ、支給停止になるという制限がある。まじかよ。
つまり、アルバイトするなら週20時間以内&31日未満の短期バイトか、単発バイト限定だ。
さらに1日の労働時間によっても失業手当に影響がある。
・4時間以上働くと「就労」とみなされ、その日の手当が後ろ倒しになる
・4時間未満なら「内職」扱いで、収入額によって減額される
ややこしすぎだろ‼︎
4時間以上の場合は受給が先送りになるだけなのでまだマシだが、4時間未満の場合は収入が多すぎると減額されるなんてとんでもねぇ話だ。
個人的にこの減額は非常に納得いかなかったのだが、文句を言っても支給額は変わらない。そのため、「1日いくらまでなら収入を得ていいのか?」という上限額をハローワークの窓口で相談しておくのが安心だ。
アルバイト申告は正しく行わなければ「不正受給」とみなされ、受給停止や罰金の対象になるため注意が必要だぞ。
ちなみに「31日以上の雇用」には業務委託は含まれない。(※労働時間による制限はある)
長期的に失業手当以外の収入が欲しいと考えている方は業務委託の仕事を探してみるといいだろう。
・結論:失業保険、ハードル高い
「失業保険をもらいながらのんびり」と思っていた昔の自分に言いたい。甘く見んなと。
でも、制度を知るいい機会にもなったので、ある意味人生の勉強代と思えば悪くない……かもしれない。
参考リンク:ハローワーク
執筆:大島あさ未
Photo:RocketNews24.、イラスト:いらすとや