【スマホ無断課金】33万円の恐怖! 小学生の金銭感覚を養う「キャッシュレス教育」の鉄則〔ママ金融教育家〕が伝授
金融教育の中でも「キャッシュレス教育」を解説。平均33万円にも及ぶスマホ無断課金トラブルを防ぐ具体策や、交通系ICカードを活用した金融教育術を紹介。お小遣い帳で満足度を可視化し、将来を見据えた賢い金銭感覚を親子で養うコツも伝授します。
【画像を見る➡】入場無料の造幣博物館に潜入! 目の前で「お金ができる瞬間」に親子で興奮現金による実質的なやりとりがないキャッシュレス決済は、便利さと引き換えに、子どもたちから「お金が減る痛み」を実感する機会を奪っています。ママ金融教育家の櫻井かすみ(さくらいかすみ)先生は、子どもがキャッシュレス決済を使うことに不安を持つ親御さんは多いと語ります。
第2回は、見えないお金の流れを可視化して、親が安心して子どもにキャッシュレスの使い方を教えられる方法を解説します(全3回の第2回)。
お賽銭までキャッシュレスになる時代
2027年スタート予定の「こどもNISA」を前に、家庭での金融教育への注目度が高まっているのに加えて、近年のキャッシュレス化に伴って、子どもと電子マネーの付き合い方にも関心が集まっています。
経済産業省の調査によると、2024年のキャッシュレス決済普及率は42.8%。2019年からの5年間で約1.6倍になったと発表されています。
コード決済は、PayPay、楽天ペイ、d払いなどの二次元コードやバーコードを読み取って決済するもの。電子マネーは、交通系ICカード、WAON、nanacoなど現金をデジタルデータ化し、ICカードやスマホで決済するもの。デビットカードは、銀行口座から即時引き落としできる決済カードのこと。グラフは、経済産業省のデータをもとにコクリコ編集部で作成。
お金は、子どもたちにとって見えづらい時代になっています。コロナ禍でキャッシュレス決済が一気に進み、今やお賽銭までもカードやスマホをかざすだけ、という手軽さです。
便利になった一方で、これからお金の使い方を学ぶ子どもにとっては、現金のやりとりを見る場面が減り、支払いの感覚が薄れてきています。
キャッシュレス時代に必要な「家庭のお金ルール」
ママ金融教育家である櫻井先生は、お小遣いと同様に、近ごろではキャッシュレスの相談も増えてきたと語ります。
「親が現金で支払っている姿をお子さんに見せていないと、お子さんはお金が減っていく感覚が実感しづらくなります。
決済アプリによっては、オートチャージ機能もあります。残金不足で支払いができなくて、親が慌てるといった姿を見たことがないために、使えるお金に限りがあることがわからないお子さんもいるのです。
そのため、お子さんには支払いに使っているカードが、『いくらでもものが買える魔法のカード』ではないとわかってもらう必要があります。
たとえば、キャッシュレス利用者の約8割が使っているクレジットカードは、できればお子さんに明細を見せて、『○月○日に買ってあげた靴の分がリストにあるね』とわが子と確認するといいでしょう。
お金が銀行口座から引き落とされている流れを見せるのも勉強になります。
また、カード式の交通系ICカードをお持ちなら、券売機でお子さんに現金をチャージしてもらってはいかがでしょうか。入金に自分が関わることで、カードには入れた分のお金しか入ってないとわかってもらえます。
『このカードには1000円が入っていて今900円使ったから、残っているのは100円なんだよ』と一緒に残高を確認してみるのもオススメです」(櫻井先生)
キャッシュレスは現金のやりとりがない分、会計が短時間で済むなどのメリットがある一方で、システムダウンやスマホのバッテリー切れに見舞われて、使えなくなることもあります。
子どもには正しい金銭感覚を教えていきつつも、現金の大切さも教え、便利な世の中だからこそのお金との付き合い方を伝えていきましょう。
小学生にちょうどいい「カード式交通系ICカード」
子どもがキャッシュレスを使うことに対して「まだ早いのでは」「トラブルが怖い」と不安を感じる親御さんがいるのも不思議ではありません。
「お子さんにキャッシュレスを使わせる不安は、見えないところでお金が動いていて、コントロールができないように感じるところではないでしょうか。
キャッシュレス決済をお子さんに使わせるかどうかの判断材料は、
(1)上限がある
(2)残高が見える
(3)使うたびに減ることが実感できる
という3つの条件です。
そして、その3点をクリアしているのが、カード式の交通系ICカードです」(櫻井先生)
カード式の交通系ICカードは、
(1)券売機またはみどりの窓口で発行手続きをする
(2)自動券売機や多機能券売機などでチャージする
(3)改札機に触れる、または提携店の専用端末に触れて支払う
というシステムで、チャージした金額が自分が使えるお金の上限になります。
使えば残高が表示され、減るのが目に見えてわかり、お財布に入っている現金に近い感覚で使うことができます。
「カード式の交通系ICカードは駅の券売機で履歴の印字ができ、視覚化がしやすく、電車やバスに限らず、スーパー、コンビニ、自販機など、暮らしの中で自然に使える場面があるのも大きなポイントです。
さらに、子ども専用のICカードとして鉄道会社から発行されているものは、改札を出るときに自動で小人料金になるのも便利です。
『今日は○回使ったね』『あといくら残っているね』などの何気ない会話も、お金を使う感覚が育ちます。使いすぎて『もう残っていない』と気づく経験も、立派な学びです」(櫻井先生)
子ども専用ICカードを子どもに与える場合も、手続きをする段階から同伴させるとよい経験になります。
使えるようになるまでにはどんな手続きがあり、預かり金もかかるというステップを見せることで、カードをお金と同じように大切に扱おうという気持ちが芽生えます。
また、子ども自身がチャージした分しか使うことができないので、いくら使えるかを把握でき、使いすぎを防ぐことができるのもメリットです。
お金を使ったら振り返る習慣を
キャッシュレスは、見えないお金だからこそ振り返りが重要です。
第1回で紹介した、満足度を記入する「おこづかいちょう」は、キャッシュレスを使ったときにも力を発揮します。
振り返りを続けることで見えないお金での買い物が可視化され、「どんなお金の使い方をしたかを自分で選択したこと」として実感できます。
親は、キャッシュレスの利用が現金と同じ価値があることを、日ごろから子どもに伝えていきましょう。
平均33万円の衝撃! スマホ課金や契約トラブルに巻き込まれない防衛策
子どもとキャッシュレスが身近になると、スマホ課金や契約トラブルのリスクもつきまといます。
「独立行政法人国民生活センターには、子どもが無断でオンラインゲームに課金をしてしまったという相談が多数寄せられています。
2022年度の(国民生活センター報道資料)契約購入金額の平均は、約33万円と高額です。
ゲーム課金は楽しみを広げる一方で、計画性の欠如や浪費につながる危険性があります。スマホ課金は親が気づきづらいのも懸念点です。
たとえば『親のスマホを使わせていて、自動引き落としされるかたちで子どもがいつの間にかゲームの課金をしていた』という事例もあります。
毎月、支払料金をチェックしていれば早く見つかりますが、数ヵ月にわたりチェックをせず、カード会社から引き落としができなかったという連絡をもらって初めて、とんでもない額になっているのに気づくこともあります。
ここで大切なのは単に𠮟って禁止するのではなく『料金が発生していることをお子さんと一緒に確認し、親が支払っているのも教えること』です。
それでもゲームをしたいのであれば、課金は親が費用を負担するのではなく、お子さんのお小遣いの範囲内でさせてみましょう。
課金の上限は親子で話し合って一緒に決め、『課金に使っていいのは200円までにしよう。それ以上は貯金してから考えよう』などと、一度に大きな額を使うのではなく、上限の中で楽しむ方法を教えます」(櫻井先生)
課金分はお小遣いから現金で徴収する、使いすぎてしまったら翌月のお小遣いから差し引くなどのペナルティも取り決めておきます。
子どもは自分のお金を使うことで、課金の価値や重みを実感できます。計画性や優先順位を考える力が育つはずです。
課金の問題は、お金を計画的に使う、本当に必要な出費か吟味する、そもそもスマホゲーム以外の遊びはないか、「遊び」そのものと向き合う機会になります。
「危ないから使わせない」では、子どもは一向にキャッシュレスの危険性がわからないままです。親御さんの保護のもとで、安全に使えるようになる練習をしましょう。
『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』をもとにコクリコ編集部で作成。
「親はゲームに課金するなんて無駄遣いにしか思えない、と複雑な気持ちになるかもしれません。しかし、親子であっても価値観は違います。
『お金を使うことの価値』や『計画的に楽しむ方法』を教えることで、お子さんはお金とゲームの適切な使い方を学ぶことができるでしょう」(櫻井先生)
親は「子どもがやらかした!」といって、頭ごなしに𠮟って禁止するのではなく、適切に管理し、子どもの健全な金銭感覚を育む手助けをしていくことが大切です。
次回は、資産形成術について解説します。
取材・文/石牟礼ともよ
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◆櫻井 かすみ(さくらい かすみ)
ママ金融教育家。株式会社トウシナビ代表、投資の学び舎スクールを経営。ファイナンシャルプランナー、小学校教諭免許状保有。「ファイナンシャル・ウェルビーイング向上のための教育プログラム」を研究し、初心者から上級者まで幅広い層に投資を教えている。お金の守り方と増やし方をこれまでのべ3000人以上に指導した実績がある。著書は『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)、『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)。