野菜がもっと好きになる。地元の恵みを味わうレストラン 周南市「kitchen菜-sai-」
山口県周南市にある地元食材が主役のレストラン「kitchen菜-sai-」は、野菜ソムリエ上級プロが手掛ける、旬の味覚と愛情あふれるメニューが勢ぞろいする人気店。夏限定のごちそうや、遊び心たっぷりの“ヤサイコトバ”など、思わず足を運びたくなる魅力をたっぷりご紹介します!
野菜ソムリエ上級プロが手掛けるレストラン
山口県周南市の道の駅「ソレーネ周南」。地元の食材や産物店がずらりと並ぶこの施設の一角に、まるで畑と台所がひとつになったようなレストランがあります。その名も「kitchen菜-sai-(キッチンサイ)」(山口県周南市大字戸田2713番ソレーネ周南内)。
オープンは2014年。以来、地元産の野菜や魚、肉、そして味噌などをふんだんに使った“地産地消”のメニューで、訪れる人々の舌と心を満たしてきました。おいしく、そして身体にもやさしい料理の背景には、ある女性の強い想いがあります。
レストランをプロデュースするのは、野菜ソムリエ上級プロの資格をもつ西川満希子さん。周南市出身で、地元の旬と魅力を知り尽くす西川さんに、おすすめの夏のメニューを伺いました。
食欲そそる!夏に食べたいごちそう
まずご紹介したいのは、「鉄なべトマトみそハンバーグ定食」(1,650円)
鹿野高原のブランド豚を使ったふっくらジューシーなハンバーグを、アツアツの鉄なべで。ソースはトマトと麦みそを合わせた特製仕立てで、ほどよい酸味とまろやかな甘みが絶妙なハーモニーを奏でます。
セットには、地元産野菜のサラダ、高瀬こんにゃくの刺身、香り豊かな麦みその味噌汁、そして須金産の梨ソースをかけたヨーグルトが付き、ごはんと味噌汁はおかわり自由。さらに注目は、メニューにも記載された「シメ」。ハンバーグを食べ終えた鉄なべにごはんを投入し、残ったソースと絡めると、まるで“和風リゾット”のような新たな一皿が現れます。お腹も心も満たされる、二度おいしい贅沢体験です。
もう一品の注目は、見た目にも驚きの竹炭スパイスカレー。県内産の竹炭を使用した真っ黒なルーに、鮮やかなピンクペッパーがアクセント。香り高いスパイスと野菜の旨みがカツとよく合います。食欲が落ちがちな夏にもぴったりです。
鹿野高原豚のカツカレー 1,430円
うれしいことに食後には無料でコーヒーをいただくことができます。※平日のみ
単品メニューも粒ぞろい。里の恵みをまるごといただく
周南市夜市(やじ)地区で獲れる自然薯やさつまいも、里芋を使った3種の手作りコロッケは、ほっくりとした食感と素材の甘さが魅力。日替わり定食の一品として登場することもありますが、単品注文やテイクアウトも可能です。さらに、旬の周防ハモをサクッと揚げたフライも、夏の味覚として大人気。
夜市の里芋コロッケ麦味噌味、湯野産じねんじょコロッケ明太子味、周南産さつまいもコロッケカレー味 各275円
周防ハモかつ 880円
夏の主役、かき氷も始まります!
そして夏といえば、やっぱりかき氷。今年も7月下旬から販売スタート予定です。
周南いちごのかき氷 980円
西川さんはこれまでにも数々のかき氷用シロップの開発に携わってきました。地元・周南産のいちごや、須金の梨を使った果実のソースと、自家製の練乳シロップが層のように重ねられ、その上には“ふわふわゼリーのような食感”のスペシャルシロップが。
筆者も初めて味わう不思議な口どけは、まるでデザートケーキのよう。出会えたらラッキーな“本日のスペシャルシロップ”もあるそうで、訪れるたびに違うお楽しみが待っています。
「ヤサイコトバ」で、野菜と子どもをつなぐ仕掛け人
レストランプロデュースのほかにも、野菜ソムリエ上級プロの西川さんが力を入れている活動があります。それが「ヤサイコトバ」。
「もっと子どもたちに野菜を好きになってほしい」。そんな想いから生まれたこのプロジェクトでは、野菜にそれぞれ意味をもたせた野菜の”花ことば”ならぬ“ヤサイコトバ”を考案しました。野菜がもつ特性や栄養、歴史、見た目などを参考に、本を読んだり、農家さんに聞いたりと、徹底的に調べ、いろんな角度から野菜を知ったうえでつけられており、現在は100種類以上あります。
「さといも=努力の実り」「らっきょう=良い知らせ」「はくさい=幸福」など、ポジティブなメッセージが詰まっています。
西川さんは、スーパーなどで無料配布している「ヤサイコトバ」のPOPを通じて野菜売り場での発信を行っているほか、講演会や食育イベントなどで直接伝える機会も設けています。
また、「ヤサイコトバおみくじ」を制作。こちらは山口県周南市にある遠石八幡宮内「おまいりカフェ」に常設されています。
イベントなどではこのおみくじをガチャで手に入れることができ、おみくじ感覚で子どもも大人も楽しめます。遊び心の中に、野菜への興味や理解を育てる仕掛けがちりばめられているのです。
地元の味と、作り手の想いにふれることができる「kitchen菜-sai-」。食べることの楽しさ、地元の魅力、野菜の奥深さ……そのすべてが一皿に込められたレストランです。
周南を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。この夏、新しい“おいしさ”との出会いがきっと待っています。