碧南釣り広場のウキフカセ釣り攻略：パイル周りでクロダイ38cm含む4匹キャッチ
朝晩の気温が一気に下がってきた11月。海水温もだんだんと下がってくるが、今回取り上げる愛知県碧南市の碧南釣り広場は火力発電所から出る温排水の恩恵を受け、冬の極寒の時期でもクロダイの釣果を得ることができる数少ないフィールドだ。
碧南釣り広場のウキフカセ釣り
東西に伸びる護岸の中で、ウキフカセでクロダイを狙うとなれば鉄板ポイントとなるのが、東側にあるパイル前だ。魚影の濃いポイントで、狙い方もさまざまある。自分なりの攻略法を解説するので、参考にしてぜひチャレンジして熱くなってもらいたい。
名前の通り、碧南市にあって火力発電所の北側に位置しており、駐車場やトイレもあるので快適に釣りができる。極寒の時期でも温排水の影響で魚の寄りは良く、施設の西寄りにある排水口周りは特に人気があって、常連の釣り人や家族連れが絶えないポイントが広がっている。
このエリアでクロダイをフカセ釣りで狙えるポイントは2カ所あり、西の護岸と今回取り上げる東側にあるパイル前だ。ここは西端に水路、対岸寄りには河川の流入もあって変化が多いことでクロダイの魚影が濃く、パイルに寄りがいい環境が整っている。だがその分攻め方にクセがあるのも事実。少し掘り下げながら解説していこう。
タックル
まずはサオだが、クロダイ狙いは軟らかめの0.6号が近年スタンダードとなっているが、最低でも1号を準備してもらいたい。なぜならここのパイルは10m間隔で50cmほどの切れ目があり、大きいクロダイほどハリに掛かると一気にここに猛ダッシュする。
無理にでも止めて、ハリスがパイルに擦れて切られるのを防ぐ必要がある。サオを曲げて楽しむ、という考えは捨てて臨んでほしい。いっそのこと、胴がしっかりしているグレザオでも良いと思う。
ミチイトは1.5～1.75号。ハリスは1.5号以上で挑んでほしい。切られて後悔するなら、2号で強気にやり取りできた方が無難だと思う。ハリはチヌバリの2～3号、グレバリなら5～6号を使うといいが、肝心なのは強度なので太軸のものを使用して、伸ばされないようにしよう。
使用するウキは棒ウキ、円すいウキ、両方ともに用意して海況に合わせて使用する。風が強く、海面の潮が上滑りするようなら、円すいウキを沈めて使用した方がアタリが出る確率が上がるので、種類を多く用意しておこう。
まきエサ＆さしエサ
まきエサは唯一魚を動かせる重要なアイテム。手を抜かず準備しよう。まずはオキアミを細かく砕き、これに集魚材を加えていく。しっかりと混ぜ込んだ後は、水くみバケツの底を使って上から押しつけ空気を抜く。これで粘りが出て、遠投しやすいまきエサに仕上がる。
水分量が大事なので、出来上がったまきエサを手で握って最終判断をする。握ったまきエサを軽くほぐしてみて細かくなるようならもう一度混ぜ込み、再度握ってみて同じようなら水を加えて調整しよう。
さしエサは、どのエリアでも使っているものと同じで、数種類用意しよう。港湾奥のエリアだが、エサ取りが多いのでいろいろ試して有効なエサを見つけ出したい。
実釣開始
風も弱く絶好の釣り日和となった11月4日、夜明け前に釣り公園の駐車場に到着し、まきエサの準備から始め釣り座を決め、6時すぎから釣り始めた。
当日の潮は大潮で、午前5時が満潮。潮が動き始めた頃合いだが、普段からそれほど動きがあるポイントではない。水深が満潮時で4m前後と浅いので、チェックはしておこう。
まずまきエサを入れるポイントは、際から20mほど沖になるパイル2つ目の切れ目の手前から。1.5～2mほどパイル横を狙ってまきエサを打っていく。パイル際をタイトに狙いすぎると、ハリス切れなどのトラブルが出る確率が上がる。離しすぎるとアタリが遠のくので、コントロールよく狙っていく。
最初は半遊動仕掛け、さしエサをオキアミで浮かせて様子をうかがうと、早くも2投目でエサ取りのアタリ。10cmほどのコトヒキが掛かってきた。サナギやコーンを試してみるも、チャリコ（小ダイ）まで交じりながら毎投アタリが出る。
さしエサ変更でクロダイ手中
こうなったらさしエサを底にはわせてエサ取りをかわす。さしエサをローテしながら本命からのアタリを待つと、7時ごろに反応が出た。コーンのさしエサがつぶされて返ってきたので、柔らかい練りエサで再投入。
すると仕掛けがナジんで棒ウキが落ち着いたころ、じわじわとウキのトップが海中に沈んでいった。ひと呼吸おいてアワセを入れると、サオの胴にしっかり乗った。間髪入れず右側にサオを寝かせて、一気にゴリ巻きする。パイルから引き離し上がってきたのは、37cmのクロダイ。さしエサの変化を積極的に行った結果だ。
グレのアタリが多い
続けてアタってくるかと期待して仕掛けを投入。同じ練りエサでやってみると、ナジむ前にひったくるアタリが出て28cmのグレ。今シーズンはグレが多く回ってきているようで、まきエサにわいているのかコーンにもアタってくる。
サナギにはアタってこないので粘ってみるが、クロダイからの反応もない。グレの群れの中には突っ込んでこないかも、と投入点をパイルから5m離れた所を狙うと、さしエサは残るのでオキアミで攻めてみる。すると狙い通り型は小さいが、32cmのクロダイがアタってきた。
このポイントでグレはかわせたが、今度はチンタが3匹。やはりパイルから離すとサイズが上がらない。潮も下げてきて狙い所を悩みながら沖にシフト。パイルの2つ目の切れ目の先を狙ってみるが、やはりグレがアタってくる。サナギのエサも触らず、時間だけが過ぎていく。
38cmクロダイ手中
エサ取りのグレがたくさんいるので、ポイントをいろいろと探っていくしかないのか、と見回して気になったのが手前のカケアガリ。1つ目のパイル横辺りがちょうどカケアガリになっていて、底が見えなくなる辺りを試してみる。
当日潮はスケスケで、底がきれいに見えているのであまり期待が持てないと感じていたが、やってみないと始まらない。
浅いのでまきエサをバラけさせてまき、仕掛けのガン玉も外してゆっくり落としてみる。するとオキアミでもグレが襲ってこない。これはいけるかも…と思った3投目、オキアミ＆コーンのさしエサを試した時、仕掛けがナジむと同時に、ゆっくりウキが海中に消えていった。
サオを立ててアワセを入れると、ガツンと乗った。ひと呼吸おいて沖に猛ダッシュ！浅い所で食わせたので元気よく走り回り、上がってきたのは38cmのきれいなクロダイ。狙いどころを変えての1匹は満足感でいっぱいだ。
次はサイズアップを狙いたいが干潮、潮止まりの時間帯。厳しいと思ったが、同じポイントに再投入し試してみると時合いなのか再度アタリ。これもよく走り回って取り込んだのは36cm。やはり手前ではこのサイズになってしまうのか。残りまきエサも少ないので、沖の遠投ポイントをダメ元で狙ってみた。
大物ヒットも……
3つ目のパイル横にコーンのエサで投入。干潮の影響か、エサ取りのグレもおとなしくなっていて雰囲気は悪くない。最後のあがきに期待を込めて数投後、まきエサのど真ん中を狙っていくと一気にウキを消し込み、サオをひったくるアタリが出た。
とっさにアワセを入れると、重量感がハンパない。右にサオを寝かせて強引に寄せようとするが止められない。広い右側のエリアに走ったので何とか耐えるが、好き勝手に走られる。それでも少しずつリールを巻いて距離を詰めていくと、ギラッと光る魚体が見えた。
思わず「でっかっ！」と、声が出るサイズ。これは獲りたい！と思った瞬間、唯一障害物が沈んでいる方に猛ダッシュ。サオを立てて向きを変えようとしたが次の瞬間、ハリスが擦れて切れてしまいサオが跳ね上がってしまった。
この日は結局38cm頭に計4匹。最後のバラシが痛かったが、ここのポテンシャルを感じることができた。ここのエリアはこれからが面白い。北西風が強くなると釣りづらくなるが、その分警戒心が低くなって良型が口を使いやすくなる。寒さ対策をしっかりしてクロダイとの攻防に熱くなってもらいたい。
＜週刊つりニュース中部版・濱田晃行／TSURINEWS編＞
この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年11月28日号に掲載された記事を再編集したものになります。