脳科学者が明かす子育ての落とし穴。大人の期待に応えようとして「疲れに慣れていく」子どもたち【子ども脳疲労】
子どもは脳疲労に慣れてしまう
「いつもこんな感じ」となる前に気づいてあげよう
疲れは、はっきりした不調としてあらわれるとは限りません。とくに子どもの場合、疲れが続いていても、それを「疲れている」と自覚できないことがあります。脳の疲れが積み重なると、余力の少ない状態が日常になります。朝起きて学校へ行き、帰ってきて一日を終える。その流れを繰り返すうちに、「いつもこんな感じ」「自分はこういう状態」という感覚が定着していきます。本人にとっては、それが当たり前になってしまうのです。
このとき、周囲からも元気そうに見えることが多いです。学校に行けている、会話もできている、大きな問題は起きていない。そのため、疲れが続いているとは気づかれにくいのです。本人も不調を訴えないため、見過ごされてしまいます。
ただ、よく見てみると、以前より集中が続きにくい、切り替えに時間がかかる、少しのことで疲れやすいといった変化があらわれています。それでも、子ども自身は「こんなものだ」と受け止めている場合が少なくありません。脳疲労に慣れてしまうと、「頑張る」ことが日常化します。余力がない状態でも周囲に合わせ、期待に応えようとし、その積み重ねでさらに疲れが抜けにくくなります。
また、慢性的な疲れは、感情の出方にも影響します。どこかぼんやりしていたり、楽しそうに見えてもすぐに気分が沈んでしまったりといった様子が続くときは、余力が戻っていない可能性も考えられます。
これを防ぐためには、子どもが脳疲労に慣れてしまう前に、周囲が気づくことが大切です。多くの親御さんが「元気そうだから」と見過ごしがちですが、疲れた様子やいつもと違うところはないかを気にかけてあげてください。そんな小さな気づきが、子どもの回復を大きく後押しします。
【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子
【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。