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名優トム・ハンクスが役作りに苦戦!? エルヴィス・プレスリー“育ての親”と呼ばれるマネージャー役を特殊メイクで熱演!『エルヴィス』記者会見【カンヌ映画祭レポ―ト】

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名優トム・ハンクスが役作りに苦戦!? エルヴィス・プレスリー“育ての親”と呼ばれるマネージャー役を特殊メイクで熱演!『エルヴィス』記者会見【カンヌ映画祭レポ―ト】

かつて1992年のカメラ・ドール(カンヌ映画祭の新人監督賞)を『ダンシング・ヒーロー』で受賞し、オーストラリアの巨匠として『ムーラン・ルージュ』(2001年)『華麗なるギャッツビー』(2012年)とカンヌに華麗な映像美を披露したバズ・ラーマン監督。久しぶりの長編劇映画としてカンヌでお披露目したのが『エルヴィス』(2022年)である。もちろん、あの、エルヴィス・プレスリーのこと。しかし、バズ・ラーマン監督、ただのセレブ自伝映画にはするわけがない。エルヴィス・プレスリーの育ての親とも、エルヴィスを殺した男とも呼ばれるマネージャー、コロネル・トム・パーカーを語り部に、“エルヴィス”というアイコンの生誕から死までを描き出した。エルヴィス役はオーディションで選ばれたオースティン・バトラー、コロネル役には特殊メイクででっぷりと太ったトム・ハンクスがつき、エルヴィス・プレスリーの元妻、プリシラ・プレスリーの協力を得ながら作られた作品である。

バズ・ラーマン監督「エルヴィスがあそこまで時代のアイコンになれたのはコロネルのおかげでもある」

「エルヴィスとは、歴史的フィギュアだ。エルヴィスとコロネル・トム・パーカーはモーツァルトとサリエリのような関係にあると思う」とラーマン監督。舞台も手がけるラーマン監督は映画にもなった『アマデウス』(1984年)の構成をいただき、今は死の床にあるコロネルがエルヴィスの死の責任を問われている自分を弁護するところから始まる。
「コロネルは自分のことをスノーマンと称していた。もともとサーカスを渡り歩く興行師で、根っからのショーマンだった。50年代から70年代というアメリカの、特にショービジネス界が変化していくそのまっただ中をエルヴィスは生きていくわけだが、彼があそこまで時代のアイコンになれたのはコロネルのおかげでもあると思う」

第75回カンヌ映画祭『エルヴィス』記者会見 バズ・ラーマン監督(撮影:筆者)

トム・ハンクス「バッドガイを演じたつもりはない。ジェームズ・ボンド映画じゃないんだし(笑)」

マネージャーは裏方であり、しかもコロネルは毀誉褒貶のある人なのでその存在はあまり歴史的に残されていない。トム・ハンクスですらその姿を知らなかったという。
「まあ、毎回いろいろな役いろいろな姿形になって演じていてすごいとか言われるけれど、プロだから様々な人になりきるのが仕事なんでね(笑)。実はコロネルのことはほとんど知らなかった。どんな人か、どんな顔かたち、姿をしているかも知らなかった。ラーマンはなかなか教えてくれないんだよ。外見から役にアプローチしようにも写真もくれない。役作りに必要だから、せめて写真を見せてくれと頼んだら、あの顔あの体型でね(笑)」特殊メイクに何時間もかかりそうな顔と体型だったわけだ。

コロネルは、人気とともに過酷なスケジュールの中で心身ともにボロボロになっていくエルヴィスを休ませることはしなかった。倒れようと舞台を優先し、それがエルヴィスを過食とドラッグに走らせ死を早めたと批判されている。それゆえ“エルヴィスを殺した男”といわれるのだ。「コロネルは観客を楽しませることに心血を注いだ人だと思う。バッドガイを演じたつもりはない。ジェームズ・ボンド映画じゃないんだし(笑)。彼はエルヴィスをよく知り、パワフルで人を動かす力を持っていた。彼がエルヴィスを使ってカルチャーを変えた人なんだと思うね。確かに人をだます能力もあっただろう。まぁ役者なんて、みんな観客をだましているわけだよ。コロネルの本当の姿を誰も知らないからこそ、監督や僕の解釈で作り上げることができるキャラクターなんだな。僕たちにとっては、コロネル・トム・パーカーはブリリアントマンなのさ」

第75回カンヌ映画祭『エルヴィス』記者会見 (左から)アルトン・メイソン、トム・ハンクス(撮影:筆者)

バズ・ラーマン監督もいう。
「この作品はドキュメンタリーではないけれど、リサーチは徹底的にやった。(エルヴィスの元邸宅がある)グレイスランドにも通ったし、アカデミックなリサーチもした。優秀なリサーチ・チームがいるのであらゆることを調べ上げた。エルヴィスがどうやって、なぜ、あのエルヴィスになっていったのか、その原点から掘り起こしていった。そこに彼の音楽の源泉もあるし、父母との関係も絡んでくる。いろいろな要素があり、その先にコロネルの戦略があって、「エルヴィス・プレスリー」が誕生するんだ」
このエルヴィスの子ども時代から時代のアイドルになるまで、そのブレイクの瞬間が、バズ・ラーマン監督ならではの映画的興奮で描かれていくのも快感である。

オースティン・バトラー「全身が、パフォーマンスがエルヴィスにならないと」

エルヴィスを演じたオースティンは『デッド・ドント・ダイ』(2019年)や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)などで売り出し中の新進二枚目。
「2年かけてエルヴィスについて調べたが、やはりまずは見た目だと思って「ハウンド・ドッグ」のビデオを何回も見た。どんな動きをしているのか、どんな表情をしているのか、何処を見て歌うのか……細かいところまで観察して学んでいった。蝋人形館にも行ってみたよ。ヘア・メイクで目以外はエルヴィスそっくりに作ることはできるけれど、それだけではエルヴィスにはなれないんだよね。全身が、パフォーマンスがエルヴィスにならないと」

第75回カンヌ映画祭『エルヴィス』記者会見 オースティン・バトラー(撮影:筆者)

最後にバズ・ラーマン監督は付け加えた。
「今の若者はエルヴィスを知らない。DVDやテレビでコンサートの様子や出演した映画を見ることはできるのでまずは見てほしいと思う。そして僕の映画『エルヴィス』を見ることで知ってほしいんだ。エルヴィスはオリジナルのパンク・ロッカーだったことを。そして自分たちに近い存在として感じてほしいと思う。それがこの映画の目的なんだ」

取材・文:まつかわゆま

『エルヴィス』は、2022年7月1日(金)公開!

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