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実録・体験ノンフィクション漫談芸人の コラアゲンはいごうまん さんが、約半年ぶりとなる12月22日の『くにまる食堂』にご来店。年末が近づくこの季節に体験したある忘年会の営業について語っていただいた。

コラアゲン「今の時期、私たち芸人は忘年会に賑やかしとして呼んでいただく、いわゆる「営業」っていうのがあるんです。その中でも、ちょっと変わった団体の忘年会にお招きいただいたときの話をさせていただきます。これはちょうど13年前の今日に遡ります。2010年12月22日、場所は北海道にある美唄駐屯地、自衛隊の忘年会になぜか呼ばれたんですよね。」

邦丸「美しい唄って書くところね。」

コラアゲン「とりあえず前日から現地入りして、言われた通り向こうの偉いさんの石田さんを尋たら、（当時）曹友会長という、めちゃめちゃ偉い方なんですよ。この石田さんのビジュアルが、 “こち亀の両さん”なんです。」

邦丸（笑）

コラアゲン「そんな石田曹友会長と打ち合わせをしたらすぐに事件が起きたんですね。私は事務所から、もう無礼講で飲んでる自衛官さんの前でネタをやる感じだから「ラフな現場やで」って聞いてたんですよ。ところが実際は、美唄駐屯地が日頃お世話になっている地元の名士の方を招いたり、地元の代議士の方を招いたり、地元の企業のトップの人たちをお招きして、それで接待をする大切な式典。そこで漫談…ってそんなん聞いてない！それで、他のお笑いライブの打ち合わせでは聞いたことがないフレーズを言われました。石田曹友会長が真顔で、「ミスは許されません」って。許せよ！その後もびっくりする情報しか入ってこないんですよ。僕が「あの～、絶対笑わせなくてはいけない、となると地域性がカギを握るんですが、美唄の方々はどんな感じなんですかね？」って言ったら「絶対笑わない人たちです」だって。」

邦丸（笑）

コラアゲン「一番びっくりしたのが、お招きする来賓のリーダーみたいな人に至っては「芸人が大嫌い」なんですって、なんで呼んだんや？それでプロ失格ですけど「石田さん、僕、無理だと思います」って言ったら、石田さんが「大丈夫です、秘策があります」っていうんですよ。秘策？って聞くと、美唄駐屯地は第一中隊から第五中隊までチーム編成されていて、第三中隊がめっちゃノリがイイらしいんですよ。なんや言うたら、雪中運動会とか身内でしかやらへんから全然盛り上がらへんらしいんですけど、そんなときに石田曹友会長が「第三中隊行け！」って言ったら一枚岩の結束で、必ず空気を変えてくれる。いわば盛り上げの特殊部隊だそうなんです。」

邦丸（笑）

コラアゲン「そしたら石田さんが真顔で「第三中隊を最前線に配備します」っていうんです。多分、客席の一列目っていう意味だと思うんですけど、何いうてんねんって思いながらも、それしか手がないから、僕も「配備お願いします」って。で、当日ですよ。駐屯地の広い体育館でやるんですけど、聞いていたとおりです。何が理由か分からないけど重～い空気で、唐突にお笑いライブが始まるんですよ。僕、呼び込まれて震えながら舞台に出て行きましたわ。すると本当に重い空気の中、10数人の男性たちが「はいごうまん！はいごうまん！」…第三中隊や！」

邦丸（笑）

コラアゲン「それでネタに入ったらちゃんと聞いてくれるんですよ。でオチが来たら「ハハーッ！！」って大笑いして、隣の隊員とハイタッチ。その結果、難攻不落の美唄の名士の方々が、笑ってくれたんです！ありがとうございます。本当終わってみれば、みんな良い方で、「面白かったよ」とか「みんなでワンチームだったね」 とか言って、めちゃめちゃいい町やった。これはすべて石田曹友会長と第三中隊のおかげであった、という話でございます。」

邦丸「これ、話の続きはまだあるんですよね。」

コラアゲン「ドキュメンタリーですから続きが一年ごとに出来上がるわけでございます。」

この続きや、コラアゲンさんが春風亭一之輔師匠との『二人会』で心筋梗塞を発症したことなど、気になる話はradikoのタイムフリー機能でご確認ください。