荏田小に生理用品 寄付で常設実現
荏田小学校(村上尚子校長)は、イギリス発祥の慈善団体で、学校に生理用品を寄付している「NPO法人レッドボックスジャパン(RBJ/尾熊栞奈代表理事)」から、1年分の生理用品の寄付を受けることがこのほど決まった。同校では、昨年11月からPTA主導で女子トイレに生理用品を置いていたが、今回の寄付決定で常設が可能になった。
PTAが問題提起
生理用品設置のきっかけは昨年10月に開かれたPTA定例会での発言。災害備蓄に必要なものが議題に上がった際、発言を求められた参加者の一人、藤澤さとみさんは「発災時はどこにいるかわからず、学校に避難できるかも不明。ならば子どもたちのために使ってほしい」と生理用品の設置を提案した。
美容業界で仕事をしているという藤澤さんは、女性特有の健康課題について学んだり、男性に知ってもらうための講座を受講する機会があったという。また高学年の保護者などからも「家庭から生理用品を持参しても、恥ずかしい、周りに知られたくない、などの理由に加え、学校のトイレは和式が多く、休み時間も短いことなどから学校内で生理用品の交換をためらったり、我慢したりしている」との声を聞いていた。トイレの個室内に生理用品が常備してあれば「子どもたちのハードルも下がるのでは」と意義を語った。
学ぶきっかけ
当時、PTA会長だった中川貴雄さんは、発育途上の小学生は生理も不規則で、突然始まる児童がいることやほぼ全員が経験している中高生と違い、個人差が大きいことなどを考慮し、PTAとして、学校に生理用品の設置を提案。「児童たちの性に対する学びの機会にしたい」との思いを伝え、承諾を得た。
PTAは昨年11月から3、4年生のフロアと5、6年生のフロアの女子トイレ(和式3カ所、洋式1カ所)に生理用品を設置。藤澤さんは「使用の有無は製品の好みもあるので一概に言えないが、話題にすることや校内で使用することのハードルは下がったと思う」と手ごたえを感じている。中川さんは「学校との対話で『生理用品がごみとして捨てられているのは週に1つあるかないか』という話があったが、それこそが児童たちが我慢している実態を表していると思った」と活動の必要性を確信した。
生理用品の費用は一旦PTAの学校運営費から捻出。中川さんと藤澤さんに三浦さやかさん、鈴木香苗さんを加えた4人でプロジェクトを立ち上げ、継続設置をするため、協力してくれる企業や団体の調査を開始。そこでRBJを見つけた。
RBJは学校への生理用品の寄付を目的に2019年に設立。市内では日野南中学校=港南区=への設置実績がある。小学校への設置は沖縄県や長野県などで実績はあるが、神奈川県内では同校が初めて。RBJは、同校PTAが企業サポートなどを受け活動していることなどを評価し、寄付を決定したという。
今回の取り組みについて中川さんは「PTAは保護者の声なき声を吸い上げる団体。保護者の総意として学校に掛け合える。その好例になれば」と意義を語った。また今年度PTAの田中宏樹会長は「生理用品の設置は男子のためにも大切。男子が女子の状況を知り、性に対する正しい知識を得る機会になれば」と期待を込めた。