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ANARCHYが野村周平を主演に迎えて映画監督デビュー「言いたいことを言えない子たちがラップにはまる気持ちが分かる」

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ANARCHY

1995年にラッパーとして活動を開始し、以降はメジャー、アンダーグラウンドの分け隔てなく、カリスマ的な人気を誇り続けるANARCHYが、映画監督デビューを果たす。人気俳優・野村周平を主演に迎え、本日より公開となった初監督作『WALKING MAN』は、吃音症のため自分の気持ちを表に出せないでいる主人公が、ヒップホップと出合いラップを通じて想いを言葉に変えていく物語だ。日本の社会問題に鋭く切り込む数々のラップ作品同様、この映画でも娯楽性を持たせながらも問題意識を観る者に投げかけてくる。今回は、ANARCHY監督に『WALKING MAN』について話を訊いた。

――物語の舞台となった川崎市は、人気ヒップホップクルーのBAD HOPの地元として知られ、2018年には磯部涼さんが著書『ルポ 川崎』で川崎中一殺害事件や同地のヒップホップカルチャーについて取材された場所でもありますね。

昔からヒップホップが熱い街ですよね。工場地帯の煙が出ている雰囲気が映画にも合っていたし、クラブのシーンも出てくるから、川崎市にしました。でも「この街にしよう」というこだわりはそこまでなかったので、「川崎市の話」と言うべきかどうかは迷いましたね。

――そんな川崎市で生まれ育った、吃音症の主人公・アトムがラップに目覚めるまでの苦闘を描いています。キーワードになるのが、アトムの苦境を見て、周囲が彼に押し付ける「自己責任」。昨今も、年金問題で「2000万円貯蓄しないと老後が苦しい」という話題で自己責任という言葉が出てきました。

自己責任という言葉の中に、理不尽さをたくさん込めました。いろんな逆境があって、それを跳ね返すものとしてラップやリリックがある。生まれながらの家庭環境、親など、子はすべてを選べない。何もかもが自己責任ではない。そういった思いが武器(ラップ)になる。この映画ではもっとも大切な言葉です。

(C)2019 映画「WALKING MAN」製作委員会

――確かに、大人の理不尽さや暴力が描かれています。

でも別に、大人に対する不満とか、そういうものを描くつもりはまったくなかった。一方で若いときって、ちょっとしたことでも大人に反抗したくなる。それが正しいとか間違っているとか、そのときは分からないもの。若者からしたら大人の正しさも理不尽に感じるだろうし、その逆も然り。

――アトムもそういう場面に幾多も出会い、ラップにたどりつきます。最初は、吃音症なのでうまく言葉が出ないけど、少しずつ成長を遂げていきます。ちなみに今、吃音症のラッパー・達磨さんがいますよね。

そうそう、実際に出てきましたよね。この映画を作っているときだったから、びっくりしました。でも、そういった吃音であったり、いじめられていたり、いろんなものを背負っている子たちがラッパーにはいるんです。

――自閉症と闘うラッパーのGOMESSさんなどもいます。世間的にはラッパーってイケイケな感じの印象を持たれるけど、そうじゃない。

そうなんです。自由が欲しかったり、不満があったり、何か言いたいことが心の中にたまる。言いたいことがなかなか言えない子たちが、ラップにはまる気持ちは分かります。僕自身も若いころ、常にラップに怒りをこめていました。「何であいつらよりラップが上手いのに、売れへんねん」って(笑)。

――ハハハ(笑)。

単純な想いや出来事であっても、言葉にすることで何か変化が生まれる。それがラップの魅力。逆に、言いたいことが言えないのは良くないと思う。何でもかんでも文句を言えとは思わない。ただ、言葉にしないと、心ってなかなか見えない。ありがとう、愛しているとか。ちゃんと言わないとそこまでは相手には見えない。

(C)2019 映画「WALKING MAN」製作委員会

――アトムもそうでしたもんね。演じられた野村周平さんへのラップ面の演出も力が入ったんじゃないですか。

どれだけカラオケでラップができても、人前でステージに立ち、動きをまじえてラップをするのって難しい。ただ、野村くんはきっちりできていた。

――野村さんはスケーターとしても知られていますし、ヒップホップも大好きなはずですよね。

うん、一緒に遊んでいたときから彼のラップは聴いていました。できることは分かっていたから、いろいろ相談もしやすかったですね。最初の監督作の主演が野村くんで本当に助かりました。

(C)2019 映画「WALKING MAN」製作委員会

――この映画は、アナーキーさんが日本社会に対して訴え続けてきたことの地続きでもあると思うんです。震災時もかなり強いメッセージを発していましたよね。『GOD』とか特にそうですけど。10年以上前、第一次安倍内閣が「美しい国、日本」と発しましたけど、現状は……。この映画でも主人公たちが、その美しい日本が排出した廃品の回収を生業にしているけど、しかしまったくもって生活が苦しいし、何も買えない、自分の状況もきつい。アナーキーさんが憂いでいたこと、それでも何とか元気付けようとしている世の中がそのまま投射されている。

そうやって伝えたいことがなくなったら、僕はものを作ることをやめています。音楽も映画も、何だってそう。ラップ同様に言いたいことがなくなると、何もできない。だから常に僕は何かを言い続けたい。

――アトムが働いている会社の名前が「猫の手スマイル」だけど、実際は誰も彼らの家族に手を差し伸べてくれない。自己責任と言われる。震災時にANARCHYさんは、誰かに手を差し伸べる大切さを歌っていましたが。

誰かを助ける、助けてもらうことは生きる上で絶対に大事なこと。その気持ちはこの映画にも込めています。それを感じ取って欲しいです。

取材・文・撮影=田辺ユウキ

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