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原嘉孝「キャスト全員が一丸となって騙しにかかるので、騙されに劇場にきてください」~ノサカラボ『ゼロ時間へ』が開幕

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『ゼロ時間へ』

2024年10月3日(木)東京・三越劇場にて、原嘉孝主演、紅ゆずる、鳳翔大、一色洋平らの出演するノサカラボ『ゼロ時間へ』が開幕した。本公演の初日公演前に公開ゲネプロが行われ、キャストの原嘉孝、紅ゆずる、鳳翔大、一色洋平と、演出の野坂実が登壇した。舞台写真とコメントが届いたので紹介する。

原作は、「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説作家アガサ・クリスティーが1944年に発表した同名の長編小説。常に殺人から始まる従来のミステリーの常識を覆したと高い評価を得た野心作で、舞台化のほか、ドラマや映画で何度も映像化されている。今回の演出は、ノサカラボの主宰でミステリーやコメディを緻密に丁寧に演出することで知られる野坂実が手掛けている。

『ゼロ時間へ』舞台写真

物語の舞台となるのは、イギリスの田舎にある貴族、レディー・トレシリアンの邸。この邸に、家族や友人など親しい人々が集まるが、その空気はどこか緊張をはらんでいる。その原因となっているのは青年貴族のネヴィルで、彼は妻のケイだけでなく、前妻のオードリーもこの邸に誘っていたのだ。そんな不穏な空気の中で、ある朝、レディー・トレシリアンが何者かに殺されて……。

ハンサムなスポーツマンで人気者だが前妻に思いを残しているネヴィル役に原嘉孝が扮し、闊達で爽やかな中にも愛の葛藤をのぞかせる。前妻オードリーを演じるのは紅ゆずる、ネヴィルからの愛に戸惑いと愁いを抱く姿を繊細に演じる。ネヴィルの現在の妻ケイは鳳翔大で、華やかな若い妻の自信と裏腹の不安を表情豊かに見せる。マラヤから帰国したばかりのロイド役は一色洋平が演じ、柔らかで控えめな物腰の中に青年貴族の存在感を示している。

『ゼロ時間へ』舞台写真

『ゼロ時間へ』舞台写真

彼らを取り巻く人々も多彩で、ケイのボーイフレンドで、プレイボーイ風だが意外と誠実さもあるテッドを水石亜飛夢がスマートに演じれば、この家の家事を仕切る若い女性メアリー役の岡部麟は、自分の人生をどこか諦めている切なさを漂わせる。邸の持ち主、レディー・トレシリアン役の旺なつきは、登場シーンから貴族の誇りと気位の高さで場を圧倒、短い登場シーンで強烈な印象を残す。元弁護士トリーヴズ役の中尾隆聖は、邸に集まった人々を冷静に眺める目線と鋭い頭脳で、さりげなく物語を牽引する。

そして事件の捜査にあたるバトル警視とリーチ警部は、細見大輔と大高雄一郎が演じ、経験豊富な叔父と若さの甥というコンビネーションの面白さで、この推理劇のアクセントとなり、終盤のスリリングな展開では大きな役割を果たす。

『ゼロ時間へ』舞台写真

『ゼロ時間へ』舞台写真

一幕で仕掛けられた人間関係の罠が、レディー・トレシリアンの死で表面化し、浮かび上がったある犯人像。だがそこから二転三転し、ついに真相が姿をあらわすラストまで、一瞬たりとも目を離すことのできない展開は、まさにアガサ・クリスティーの真骨頂。同時に、この『ゼロ時間へ』というタイトルの意味が衝撃とともに明らかになる結末には、凄みさえ感じずにはいられない。ぜひ劇場でアガサ・クリスティーのミステリーの醍醐味を体感してほしい。

また、この『ゼロ時間へ』のギミックは、会場で販売されているパンフレットにも仕掛けられていて、舞台とともに楽しめるものとなっている。

『ゼロ時間へ』舞台写真

『ゼロ時間へ』舞台写真

本公演は、東京公演が10月3日(木)から10月9日(水)まで三越劇場にて、大阪公演が10 月13日(日)から10月14日(月祝)までCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。

『ゼロ時間へ』舞台写真

『ゼロ時間へ』舞台写真


出演者コメント

■原嘉孝(ネヴィル・ストレンジ役)
ミステリー作品は、お客様がどんな反応をしてくれるか幕が開くまでわからないのでワクワクしています。僕の役のネヴィルは、スポーツマンということで日頃のトレーニングが役に立っているんじゃないかな(笑)。物語は人間関係が細かく描かれていて、お客様も推理のしがいがあると思いますし、あらゆるところに事件に繋がるフックが仕掛けられているので、見逃さないでください。そしてラストに向けて、普通なら二段階、三段階で終わるところを、さらにもう一度逆転させてくるところが、アガサ・クリスティーの素晴らしさです。そんな作品で、キャスト全員がチーム一丸となって騙しにかかるので、お客様もぜひ騙されに劇場にきてください!(笑)

■紅ゆずる(オードリー・ストレンジ役)
この作品は出てくる人たちがとてもリアルで、ご覧になったお客様が劇場を出たあとでも、また物語や登場人物たちについていろいろ想像してくださるような作品だと思います。私の演じるオードリー役は、いつも演じているような陽気な役とは全然違うイメージで、演出の野坂さんに、最初に「お姫さまみたいに」と言われたので、ディズニープリンセスみたいな感じかなと思ったら全然違いました(笑)。周りに気を遣う人で、ある恐怖を抱えていることで、いろいろなことについ流されてしまうのですが、共感できる部分もあるので、自分の中で重なる部分などを探して演じています。

■鳳翔大(ケイ・ストレンジ役)
ミステリー部分だけでなく人間ドラマの部分も面白い作品で、稽古を重ねても慣れるということがなかったし、毎回、新鮮な気持ちで演じています。私の演じるケイは感情を素直に出してしまう人で、ちょっと気が強そうに見えますが、物語の中では一番ストレートで純粋で、実は可愛い人ではないかと思っています。宝塚を卒業してから相手役のいるお芝居は初めてで、しかも原さんと水石さんと、2人もいるのでとても楽しいです(笑)。

■一色洋平(トマス・ロイド役)
三越劇場に出演するのは初めてですが、作品世界と一致するとても雰囲気のある劇場ですね。ここに入ったことで、作品もより完成に近づいたと思いますし、お客様も物語に没入しやすいのではないかと思います。僕のトマスという役は、人と話すとき言葉を選ぶ人で、そういう感覚は僕自身もあるのでよくわかります。それに正直ですぐ顔に出てしまうというところなども一緒で、シンパシーを感じるので楽しく演じています。

野坂実(演出) コメント

今回の戯曲を読んだとき、主人公がスポーツマンということで、すぐ原さんが頭に浮かびました。しかもお金持ちでプレイボーイですから、これは原くんしかいないと(笑)。この作品の原作は、クリスティーが自身のセレクトでかなり上位に入れている小説なのですが、戯曲はクリスティー自身の考えで大きく改変していて、新たなギミックもあり、小説を読んだ方には、また別の物語として楽しんでいただけるのではないでしょうか。今回の出演者は、ここにいる4人以外の方たちも、僕が出ていただきたい方ばかり集まってもらいました。 稽古初日には全員が台本を手から外すという奇跡も起きるくらい、お芝居好きの人ばかりなので、僕は安心と余裕で初日を迎えています(笑)。お客様にもぜひこの作品を楽しんでいただきたいです。

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