ニュージーランドでガチ中華は食べられる? はい、おしゃれな店も多いです
今年(2026年)、私は2011年にワーキングホリデーで住んでいたニュージーランドに8年ぶりに再訪しました。今回はオークランドにある、私がガチ中華を好きになったきっかけの四川担担麺店「Eden(イーデン) noodles」についてレポートします。ライターを始めてからこの店に行き、レポートを書けるなんて、とても良いタイミングで感慨深いです…!(以下、1ニュージーランド・ドル=93.4円で計算)
私がガチ中華を好きになった経緯は以下にも書いています。
https://deep-china.tokyo/walk-and-eat/32903/
その前に、ニュージーランドの華僑・華人と物価等について少し触れたいと思います。
ニュージーランド地図。オークランドは北島にある
ニュージーランドの面積は日本の約4分の3で本州と九州を合わせたくらいです。人口は約535万人、そのうち華僑・華人が約28万人で人口の約5%以上もいます。
その中で中国大陸生まれの人は約17万人というデータがあり、最も多いのは広東省出身で(日本は東北三省や福建省出身が多いと言われます)、国内の歴史上初の移民も広東省の人です。確かに広東料理店はよく見かけます。
オークランド市の人口は約177万人で国の人口の約3割が集中。オークランドは特に多国籍で約17万人の華僑・華人がおり、国内の7割、市の約4割にも上ります。(※註1)
2月の春節には街中心部の大きな公園でオークランド一大行事のランタンフェスティバルが行われます。
2011年在住時のランタンフェスティバル
ランタンフェス龍横から
物価はというと、時給は国内一律で $23(2,148円) で高いですが、外食は高価と認識され、マクドナルドのビッグマックは$11(1,027円)(都内では550円)で、ご飯付きのランチは$15~20 (1,401円~1,868円)はします。
そして今年のオークランドの街並みを見てびっくりなのが、中国大陸の中華料理チェーン店が激増していたことです。
理由は調べ切れませんでしたが、オークランドに大陸のチェーン店が初上陸したのは2016年の杨国福麻辣烫と言われています。華僑・華人や中華系留学生も既に多かったので、進出はむしろ遅い方なのかもしれません。
中心部の中華料理店の並び。企業・金融機関ビルやホテル、大学・専門学校が集まる中心部にある、大陸からの中華料理チェーン店が並ぶ一角
麻辣燙や新疆、西安、上海と幅広いです。前回訪れた2018年に台湾の貢茶も出店しています。
広州発の四川料理店「太二(タイアー)」は昨年開業で、ネット記事もあり話題のよう。
太二。酸菜魚(発酵漬物と白身魚を花椒や唐辛子と一緒に煮た料理)が看板商品
シティ中心部のメイン通りに大きく構えた中国の飲料チェーン店
また、中心部からバスで15分ほど南の郊外、バス通りの中心であるドミニオンロード沿いには、派手ではないですが、以前より個人経営の中華料理店が多い地域があります。ここにも中華料理店が急増していました。
ドミニオンロード。牛肉麺店やその2軒隣はウルムチ(新疆)料理店。野菜等を巻いて食べる春餅専門の店まであった
ドミニオンロード沿いの中華料理店の多さが検索でわかる
そんなこの道の北の端、中心部からバスで10分の場所にあるのが「四川担担面 Eden noodles cafe(本店)(上の地図の一番上の店)」。
2006年開店で、オークランド市内トップレストラン100や、コスパのいい店ベスト10にも常連でランクイン。地元の人にも知名度が高く、昼ピークは並ぶこともしばしば。
本店外観。本店のみこの名前で、他はバースタイルを除き「Eden noodles」という店名
2011年当時、日本人の友達に誘われて初来店。以来渡航の度に必ず再訪しています。
以前は食堂みたいな雰囲気でしたが、8年前より店内がきれいに改装されていました。コロナ禍もあり、清潔感も求められている背景もあると思います。
本店店内。店内は小さめで20席ほど
店名ロゴ入りの卓上カラトリー入れ
メニューを見て、先にレジで注文をします。
その看板メニューがこちら。
四川担担面(中国では麺のことを「面」と書く)。中サイズ 中辛 刀削麺 $14.5(1,354円)。左下は自家製ラー油
小サイズ(細麺のみ)なら$9.9(924円)で食べられます。
麺は細麵・太麺・刀削麺・さつまいも麺・米粉麺の5種類から選べますが、刀削麺がお勧めです。
麺の種類が選べる
私は最初に食べた時のこのリアルな麻辣の辛さが、日本では食べたことがなく、おいしくて忘れられませんでした。今回の味も当時から変わりません。
日本だと担担麺はごまだれベースが主ですが、ここでは麻辣スープです。汁なしも選べます。帰国後にある中国人店主にこの話をした際に「日本以外でも汁あり担担麺があるんだね」と言っていました。確かに。現地の担担麺は汁なしが基本です。ニュージーランド人もスープを飲む文化があるのでローカライズとして出し始めたのかもしれません。
そしてもう一つの売りが、麺の上にのったカリッカリの豚挽肉! これも忘れられないおいしさです。挽肉の味の染み具合も絶妙でたまりません。スープに沈んだ挽肉も最後まですくって食べ切ります(笑)
この数年で店舗がいくつも増えたことも驚きで、バースタイルも含め、現在オークランドに12店、地方に1店舗あります。
オークランドシティ(中心部)店(先に紹介したガチ中華のあるエリア)
ウェストゲート店(中心部より北西にバスで約1時間の巨大商業エリア)。今年6月にオープンしたばかり
そして今年は何とこの店、新たにお隣の国オーストラリアのシドニーに進出したそうです! オーストラリアは大きい国なので、ニュージーランドに進出する企業や店も多いのですが、その逆はやはり珍しいと現地の友達が言っていました。
ここで、この店のオーナーについて資料があったので紹介します。
女性オーナーのシャオピンさんは四川省出身。小さい頃から忙しい母の料理の手伝いをしていました。大学か専門学校進学を選択する際に、父の会社(政府機関)が州都の成都にホテルを建設予定だったため、そのホテルでシェフとして働くため専門学校へ進学。また、当時、良い生活をするには政府機関で働く、つまり公務員になることが重要という背景もありました。
1990年代初めに進学した専門学校では、父のつながりで有名な四川料理店でインターンをすることができました。当時、女性で調理師を目指すことは珍しく、ましてシェフでキャリアを積むことはさらに稀だったそうです。
卒業後、成都で現在の夫ジ・ゾウさんと出会い、1988年にシャオさんはジさんに続いてニュージーランドに移住。2006年に夫婦でこの地域の名前を取り「Eden noodles cafe」をオープン。以来コロナ禍前までは毎年四川省に戻り、新メニューの開発をしていたといいます。彼女はレシピを共有するのが喜びで、2016年に2号店、2023年から一気に出店を加速させました。
今回、友達と別の店にも行ってきました。彼女はニュージーランド人。辛い料理は好きで、この店は久しぶりだそう。
行ったのは2022年開店のニューマーケット店です。ここは中心部からバスで南東に10分くらいの、少し高単価な店が集まる賑やかなショッピングエリアです。
ニューマーケットの町並み。アディダスや国内有名トレッキングブランド、セレクトショップ等も並ぶ
店は少し脇に入った道にあり、この通りも中華料理店が何軒も並びます。
ニューマーケット店入口。6月でもクリスマスの装飾があって、季節外れをあまり気にしないのもニュージーランド(笑)
ここの店内はカフェに溶け込んだような雰囲気です。
カウンター席。この奥が調理場
ニューマーケット店内前方
ニューマーケット店内奥。右奥は円卓ではないが、やや大人数が座れるソファ席
注文方式は本店と違い、先に店頭のタッチパネルで注文するか、テーブルからQRで注文です。
QRの注文で驚いたのが、そのカスタマイズの豊富さです!
メニュー冊子には書かれていませんが、辛さ調節・好みやアレルギー対応だけではなく、移民が多い故の宗教的配慮や、ベジタリアンやビーガンの方でも食べられるように選択できるのです。
よだれ鶏の場合、パクチーの他、麻(痺れ辛さ)、ピーナツ、ニンニク、葱なしが可能、油少なめも選べました。日本の外食ではまず難しい五葷(ごくん:ニンニク、葱、韮、らっきょう、玉葱)抜きにも対応可能なので驚きです。
よだれ鶏のメニュー画面
また、担担麺は上記の他に、野菜や肉、酸菜(発酵漬物)の有無とベジタリアン対応も可能。さらにトッピングの種類も豊富です。後で知ったのでちょっと残念。
担担麺トッピング。上から豚煮込み、牛ホルモン、豚スペアリブ、牛煮込み、辛い鶏ひき肉ささげ(長いインゲン)の牛挽肉炒め追加
上から葱・酸菜・ピーナツ・菜っ葉増し、牛肉追加、豚ひき肉増し、鶏肉細切追加
私達は以下のメニューを注文しました。
口水鸡 Slobbery Chicken 中辛 ($15.5(1,447円)) よだれ鶏
よだれ鶏
「Slobbery」は「よだれまみれ」という意味で、主に犬に使う言葉ですが、あえてそれを使うのが面白いですね。
深いお椀(直径約20cm)で到着。豪快に切った鶏肉に豆鼓辣油もたっぷり載っていてそそります。食べる直前にたれを和えると、太く切ったきゅうりが出て驚きました!
そういえばニュージーランドで一番メジャーなキュウリって長くて太いんです。30cm超で直径は約3㎝はあります。
市内スーパーにて。手前がきゅうりでその隣の隣が玉ねぎです。ラップに包んであるのは新鮮さを保つため
きゅうりとペンの比較(※2)
鶏肉と同じ大きさで食べるきゅうりも食べ応えがあって良いです。鶏は小さい骨もありますが、しっとりして満足感があります。辛さは豆鼓がたくさん入っているのもあり、ピリ辛に感じました。
酸汤水饺 Dumpling In spicy & sour soup 少辛(小サイズ$7(653円)) 酸辣水餃子
餃子とワンタンは小サイズ(5個)から選べるのも良いポイント。
これもお椀で着丼しましたが、オペレーションの効率化からか、全てこのお椀で提供されるようです。ここの餃子とワンタンは手作りです。
調理場で餡を包んでいるのがレジ脇から見える
餃子は餡の種類も多彩でした!
豚肉以外に、豚韮、鶏肉、白菜キャベツ、ベジタリアンが選択可能
他のメニューが辛い系なので、これは少辛で、餃子餡はせっかくなのでベジタリアンにしてみました。春雨と菜っ葉が入ってあっさりしていて、辛さ控えめの程よい酸味のスープに合い、何個も食べられてしまいそう。
水餃子とその中身
この間にもお客さんが絶えず来店し、 Uberの注文や持ち帰り客も大勢いました。客層はニュージーランド人、アジア人、中東系の人もいて、人気さがうかがえます。
红油抄手 wonton in spicy soup 中辛 (小サイズ$7(653円)) ピリ辛辣油ワンタン
甘辛だれに浸かったワンタンです。たれに浸るように出てくることが多いですが、こちらではスープの中に入ったような見た目です。
ピリ辛で少し甘い旨味があり良いバランス。でもそれよりもワンタンの餡の細かさに驚きました。繊細な餡が舌に滑らかに入っていきます!
ワンタンとその中の餡
この後、本店で食べた担担麺の細麺を食べて、最後にデザートを注文しました。
QRになかったので調理場の人に中国語で聞いたらすぐに出してくれました!
开心冰粉 Happy yum jelly and sweet sauce (小サイズ$4.5(420円)) ビンフェン
透明のゼリーに黒蜜をかけたものです。
基本どんぶりでは出さないものですが、小サイズも深いお椀で出てきました(笑)
どれくらいかなと思い、とりあえず小サイズにしたら2~3人で分けられるサイズでした。一番コスパが良いのでは?
日本のガチ中華店で食べたのと同じで、とてもおいしいです!
本当はもう少し大勢で来る予定がみんなキャンセルで2人になってしまいましたが、5品も食べられました!友達は餃子とワンタン、デザートがおいしかったそうです。
今日のお会計はなんと合計$44.99(4,202円)!一人約2,000円で友達もびっくりです。レストランでは一品$20はするのを考えると、さすが「コスパのいい店ランキング」に入るだけあります。
今回改めて食べてみると、日本のガチ中華店よりは少し辛さが控えめだと感じました。
辛さも含め、スープ入りの担担麺や大きく切ったきゅうりなど、少しローカライズがありながらも地元にしっかり根付いてここまで大きな店になったのだなと思います。他の中華料理店が増えても、この店の良さは変わらないと信じて応援しています。また行ける日を楽しみにしています。
参考文献
※1 https://en.wikipedia.org/wiki/Chinese_New_Zealanders
※2 https://www.lazysusan.nz/stories/blog-post-title-four-42nzp-rmjsn-lba9g
※3 https://vegefulpocket.com/post-0-199/#google_vignette
(aokinapple)
店舗情報
四川担担面 Eden noodles cafe (本店)
105 Dominion Road, Mount Eden, Auckland
Eden noodles New market brunch
424 Khyber Pass Road, Newmarket, Auckland