Yahoo! JAPAN

史跡探索ウォーキング「とと道を歩いてみよう」(2026年3月7日開催)〜 魚がつないだ山里の道をたどる/矢掛町

倉敷とことこ

史跡探索ウォーキング「とと道を歩いてみよう」(2026年3月7日開催)〜 魚がつないだ山里の道をたどる

明治から昭和初期にかけて、笠岡市金浦から高梁市成羽までの約60kmもの道のりを、魚を担いで運んだとされる「備中とと道」と呼ばれる道がありました。

数年前に一人で歩いたとき、その距離と風景に深く感動したことを覚えています。今回は、矢掛町美川地区の地元のかたから詳しい話が聞けるとあって、胸を弾ませながらイベントに参加しました。

史跡探索ウォーキング「とと道を歩いてみよう」とは

史跡探索ウォーキング「とと道を歩いてみよう」は、2026年3月7日(土)に美川公民館探索クラブとやまびこ学級が主催し、開催されました。

参加費は無料です。
地元住民に加え、備中とと道トレイル推進協議会のメンバーもガイドとして同行し、より専門的な解説が聞ける貴重な機会となりました。

今回のコースは、矢掛町宇内から美星町毛野までの約6kmで、かつて「とと(魚)」が運ばれた道を実際に歩きながら、その歴史と暮らしに触れるイベントです。

春の訪れを感じる里山を歩く

当日は小学生1名を含む27名が参加
午前9時に宇内地区の集会所へ集合し、まずは自己紹介から始まりました。

参加者の多くが地元のかたで、まるで全員がガイドのような頼もしさです。坂道や山道にも慣れているようすで、安心感が広がります。

歩き始めると、一面に広がる田んぼや畑が迎えてくれました。
あぜ道にはピンク色のホトケノザが咲き、春の訪れを感じさせます。のどかな風景のなか、昔の人々の営みに思いを重ねながら、ゆったりとした時間を楽しめました。

天秤棒で担ぐ魚の重さを体験

集合場所で目を引いたのは天秤棒です。
約2mある木の棒の両端にかごが取り付けられ、なかには魚の代わりに大量のペットボトルが入っており、その重さは約45kgにもなります。

魚を運ぶ「魚仲仕(うおなかせ)」は、これを担いで約10kmもの道を歩いたといわれています。実際に何人かが挑戦しましたが、担ぐだけでも精一杯です。歩くことはとうていできません。

100年以上前の人々の体力とたくましさに、ただただ驚かされました。

宇内地区から毛野地区への新たなルート

今回の大きな見どころは、2026年3月に新たに確認されたルートを歩けたことです。県道笠岡美星線から北へそれる旧県道周辺で、これまで知られていなかった道が明らかになりました。

従来の尾根筋ルートに対し、新ルートは谷筋を進みます。
整備されたばかりの道は足元がぬかるみ、枝が行く手を遮るなど、まさに冒険気分です。

森に還った場所でも、池の跡などから、かつて人の暮らしがあったことを感じられました。

牛供養碑と四つ堂

とと道沿いには、牛供養の碑や「四つ堂」と呼ばれる建物が点在しています。
農作業や荷運びに欠かせなかった牛への感謝の気持ちが、多くの碑から伝わってきます。

四つ堂は四本柱で支えられた壁のないお堂で、地域の人々が休憩したり交流したりする場として使われてきました。

魚仲仕たちにとっても大切な休憩所であり、今でいうマラソンのエイドステーション(補給所)のような存在です。重い荷を下ろし、ほっと一息ついた当時の姿が目に浮かびます。

おわりに

今回の「とと道を歩いてみよう」は、地元のかたや備中とと道トレイル推進協議会のていねいなガイドにより、地域の歴史や暮らしを深く知れる充実した時間となりました。

実際に道を歩くことで、今の便利な生活が決して当たり前ではなく、多くの人々の営みの積み重ねの上に成り立っていることを実感します。ぜひ多くのかたに、この「備中とと道」を体験してほしいと思います。

なお、「備中とと道トレイル」のガイドブックは、協議会のほか、矢掛町屋交流館や高梁市成羽複合施設たいこまるプラザで購入可能です。

【関連記事】

おすすめの記事