Yahoo! JAPAN

関東に広がるカワウ被害 行徳湿地で始まった”卵を凍らせる”作戦

TBSラジオ

皆さんは 「カワウ」という黒い大きな水鳥をご存じでしょうか?カワウは、6月に漁が解禁されるアユなど様々な魚を食べる水鳥ですが今、関東の川や湖でカワウが増えすぎて、地元住民が困る事態となっています。カワウは全国に少なくとも12万羽いると言われていますが、実はその6分の1にあたる、およそ2万羽が 、千葉県市川市の「行徳湿地」に集まっています 。

行徳湿地はいま

では、現在現場はどんな様子になっているのか、また対策の難しさについて環境省・関東地方環境事務所の齋藤 倫実さんに聞きました。

環境省・関東地方環境事務所 齋藤倫実さん

現場には何度か足を運ばせていただいてますが、やっぱりフンで樹林全体が真っ白になっているので、行くたびに強烈な印象を受けます。フンの被害が一番大きいでしょうかね。結構匂いもしますし、鳴き声の騒音などの被害が出てしまいます。銃器を使える場所は限られてまして。行徳ですと、国道や歩道にも近いですし、周りに民間の建物もありますので安全が確保できないということで銃器を使うことはできません。なので、場所に応じてそこに適した手法を選んで対策していく必要があります。

フンや臭い、鳴き声だけでなく、上空を飛ぶカワウの口から、30センチほどの半消化の魚が突然降ってきて、肩を脱臼してしまった人もいるそう。カワウが増えた背景には、温暖化で行徳の近くの東京湾が冬でも暖かく、エサになる魚が取りやすくなったことがあるとみられています。行徳湿地のカワウ問題は、ただ「市川市の鳥が増えた」という話ではありません。繁殖したカワウが県境を越え、関東各地の川へ飛んでいっていることがGPS調査でも確認されています。また、カワウによる全国の川や湖での漁業被害は、年間およそ85億円と推計。

卵を凍らせる作戦

そこで今回は、国や関東の都県が一緒になって対策に動きました。では、銃を使わずにどうやってカワウの数を抑えるのか。カワウの生態と対策に詳しい、水産研究・教育機構 水産技術研究所の坪井 潤一さんに聞きました。 水産研究・教育機構水産技術研究所 坪井潤一さん

粒状のドライアイスって市販されていて、それを巣の中の卵にかける。卵白の一部でも凍ると卵が孵化しなくなる、カワウって、オスもメスも温めるんですけども、交代で四六時中温められてるっていうのは、裏を返すと1回でも冷えちゃうと死んじゃうから。それを逆手にとって、一瞬冷やしてあげて。だからもうドライアイスなんて、ものの15分30分でなくなっちゃうんですけど、5分10分で十分なんです、冷やすのは。ドライアイスがもう消えかけた頃に親は戻ってくるんですけども、そのときには、孵化しない卵になっていて。ヒナが孵らなくなるっていうことで、親を例えば、銃器で撃って減らすとかそういう直接的ではなくて、これ以上増やさない手法っていう感じですね。 

(提供:水産研究・教育機構)どうやって木の上の巣にドライアイスをかけるのかというと、長さ7メートルほどの釣り竿の先に「手鏡」をつけた手作りの器具を伸ばし、まずは木の上にある巣の内部を覗き込んで卵を確認します。

(提供:水産研究・教育機構)そして卵を見つけると、今度は「ザル」をつけた別の竿を伸ばし、ザルの穴から細かく砕かれた粒状のドライアイスを投入して、卵の周辺を覆っていくという地道な手作業で行われたそうです 。

提供:全国内水面漁連)

ドライアイス作戦の効果

では、この作戦、実際にどれくらい効果があったのでしょうか?再び坪井さんに聞きました。

水産研究・教育機構水産技術研究所 坪井潤一さん

200個300個ぐらいの巣で1000個を超える卵にドライアイスをかけることができたんですけど。1個だけドライアイスをかけない営巣台(巣を作る台)を作ったんです。そうすると当然ですけどそこだけはヒナが孵化するんですね。でもその他には全く孵化してなかったので。ドライアイス処理をしたエリアでは完全にヒナの孵化が抑えられたっていうことがわかった。カワウとしてはその後「おかしいな、孵化しないな」そう思ってるんでしょうけど、卵をずっと温め続ける習性があるので、その間に、繁殖に適したシーズンっていうのが過ぎてしまって、その後、卵を産み足したとしても、ヒナの孵化率だったり、初めて冬を越えられる、生き延びられる確率が下がってしまうので、結果として、カワウの数を増やさない方向に持っていけるという、そういう事実です。

実は、作戦から数ヶ月たった調査で、親鳥が新しく卵を産み足していたことも確認されたそうです。とはいえ、お話にあったように、時期がずれてしまうため、あとから生まれたヒナは冬を越しにくくなり、全体としては数を増やしにくくできるんだそうです。数を「減らす」のではなく、「増やさない」、そこに共存のヒントがありそうですね。

(提供:環境省関東地方環境事務所)(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ!』より抜粋)

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【2軒目のCAFÉ】2人育児ママの日常を切り抜いてみたら…#05 どうやって 病院での曲芸級ワンオペ

    ミキハウス 妊娠・出産・子育てマガジン
  2. [TOHOシネマズ二条]のIMAX®️が京都唯一の「IMAXレーザー」に進化!圧倒的な映像と音響で映画体験が新たな次元へ

    Leaf KYOTO
  3. 【最大200万円の助成】生成AIやXRなど「先端技術」を活用した新商品・新サービスの開発に 二次募集がスタート

    にいがた経済新聞
  4. 【衝撃】1食500万円を要求する天才シェフ、実は「才能ゼロ」だった…!?【ザ・シェフ】

    ラブすぽ
  5. 結成15周年&メジャーデビュー10周年のSHE’S、フルアルバム『Who am I?』を携えた全25公演の周年ツアー開催決定

    SPICE
  6. ねるん(ゆるめるモ!)とさら(diig)、新ユニット「桃組暴想族」結成!7月15日にデビューワンマンライブ開催決定!

    Pop’n’Roll
  7. 血管を若返らせる食べ物|アボカドとマグロの美肌サラダでシミ・老化を防ぐ方法

    ラブすぽ
  8. 【クマ出没注意】新潟県内各地、住宅街や民家近くで目撃相次ぐ 

    にいがた経済新聞
  9. 【ズッキーニとなすがあったら…】ウマすぎて感動。レトルトカレーで作る簡単すぎて鬼リピ確定のチーズ焼きレシピ

    BuzzFeed Japan
  10. ジェットエンジンのファンの役割とは?全推力の75%を生み出すバイパス比の仕組み

    ラブすぽ