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戦前からの歴史を受け継ぐ「入間市文化創造アトリエAMIGO」。市民の文化活動を支える拠点をご紹介

LIFE

戦前からある建造物をリノベーションし、今を生きる市民やアーティストの文化活動を支える「入間市文化創造アトリエAMIGO」(以下、アミーゴ)。

西武池袋線仏子駅から徒歩5分。駅から緩やかな坂道を下ると、モダンな外観のエントランスが目に入ります。一歩足を踏み入れると、レトロな木造の壁、高い天井が印象的です。

今回は館長・代表理事の水村雅啓さんに話を聞きながら、アミーゴを回りました。
市民とアーティストが交流する“街の文化拠点”について迫ります。

入間市文化創造アトリエAMIGOの基本情報

入間市文化創造アトリエAMIGO 本館エントランス

2001年にオープンした入間市文化創造アトリエ「AMIGO」。「AMIGO」という名前には、以下の意味が込められています。

A(ART/Atelier)芸術、美術、工房
M(Music/Make)音楽、創造、制作
I(Industry/Identity)産業/独自性
G(Gallery/Game)観客、美術館、遊び
O(Oasis、Open)憩いの場、広々した

所在地:埼玉県入間市仏子766番1号
アクセス:西武池袋線「仏子駅」北口下車、徒歩5分 
窓口受付時間:8:30~20:00(12月29日~翌年1月3日を除く)
施設利用時間:9:00~22:30
駐車場:有り
休館日:12月29日~翌年1月3日
https://maps.app.goo.gl/NnTerwpn4z3qFmQX6

かつては繊維工業試験場だった建物。大正から続く歴史

ホール棟の一部

アミーゴの歴史は1916年、仏子模範工場の建設に始まります。1937年に織物組合が埼玉県仏子染織指導所(後の埼玉県繊維工業試験場)を誘致し、1939年に現在の建物が竣工しました。
当時は日中戦争の最中で、国内は戦時体制下にありました。ですが、アミーゴの建物は全体的にどこか開放的で西洋的な雰囲気を感じます。

水村館長は「大正デモグラシーの風を感じますね」と語っていました。戦時下にあっても造形の美しさや、先進的なデザインが大切にされていたのです。

緩やかなアーチを描く天井

ところが、繊維産業は時代とともに衰退し、1998 年に閉鎖。市で管理することになり、再整備のディレクターとして水村さんに 白羽の矢が立てられました。

当時の水村さん市のイベントや祭りで活発に活動していたため、市民の気持ちも理解していました。

2008年に指定管理者になった水村さん

2001 年2月、改修工事後を経てアミーゴが開館。現在はNPO法人「入間市文化創造ネットワーク」が運営しています。

新しい文化をつくるプログラム

アミーゴで展開される事業は「音楽」「アート」「古典芸能」「演劇」「コミュニティ」の5分野。市民のディレクターが構成・演出を担当し、市民スタッフと協力しコンサートや落語会などの事業を企画。入間市にいながら、都内の会場に引けを取らないクオリティを追求しています。

「当初は幅広い世代をターゲットに、特に、高齢者が喜んでくれる施設になればと思っていました 。都内に行くことが難しくなっても、ボランティア活動や本物の芸術に触れられる環境が地元にあったらすてきじゃないですか」と話す水村さん。
しかし、今は子どもたちのサードプレイスにもなってほしいという願いがあります。

実際に館内には子どもたちが駆け回りたくなるような広い庭があったり子ども向けのイベントが行われていたりと、子どもたちが関わるきっかけづくりにも力を入れています。

「子どもたちに、家と学校、次に“アミーゴ!”と言ってもらえるような居場所にできたらと思っています。今年も館庭の噴水で水遊びをしたり、親子で鑑賞できるコンサートなど、常に喜んでもらえそうな企画を考えています」と水村さんは話します。

繊維工場試験場当時の歴史が味わえる、アミーゴ。館内をご紹介

昔ながらの雰囲気が残る「本館棟 」

1939年から変わらないモダンな内装。エントランスではアート展示や雑貨販売が行われ、来館者を迎えます。多目的ルームでは、ワークショップやヨガ教室、音楽練習などが開催されます。

本館 多目的ルームに続く廊下

新設された「スタジオ棟」

改修工事後に新設された直径10mの円形(16角形)で設計されたスタジオ。高い天井と防音設備が整った会場には、グランドピアノが設置されています。

本館から渡り廊下でつながっているスタジオ棟

それぞれテイストの異なる3つの「サロン棟 」

サロン棟は、和室、洋室、テラスに分かれ、作品展示や茶道・花道などの小規模イベントに活用できます。
週末限定で、テラスカフェを営業中。オリジナルブレンドのコーヒーや、看板メニューのスパイスカレーなど、ランチやお茶を楽しめます。

かつてガラスのドアが、今はテーブルにリメイク
きのこのオブジェは、次のイベントの仕掛け
土日限定カフェの様子(提供:入間市文化創造アトリエAMIGO)

赤いのこぎり屋根が印象的な「ホール棟」

アミーゴのシンボル「赤いのこぎり屋根」のホール棟。音響のよさが定評で、コンサートやダンスの発表会など、幅広く利用することができます。

取材日は合唱団の練習日で、きれいな歌声が聞こえてきました。

広々とした外の風景
屋根の独特な設計により音響がよいとのこと

当時の織物機械を見ることができる「ギャラリー 」

ホール棟と同じく「赤いのこぎり屋根」のギャラリー。かつて繊維工場試験場時代の織物機械がオブジェとして展示され、作品展示のほか、公演などでホワイエとしても利用されています。

写真左側には、かつて使っていた整経機があります

織り機を使った織物体験ができる「織物工房」

別棟には織物工房があり、歴史と技術を継承した手織り体験・講習が開催されています(予約制)。

ここでは、高機(たかはた)という織り機を足で踏みながら、バッグやショルダーを製作できます。好きな糸を選んで、半日かけて織る作業は、市外から体験に来る人もいるほど人気。また、羊毛フェルトを使った小物も製作できます。

かつて入間市では「野田双子織」が人気を博したそう
肩掛けバッグのひもを編む様子

染物体験ができる「染物工房」

茶染めや藍染めや草木染めの体験ができます(予約制)。ハンカチやTシャツなど、好きな模様に染められ、どなたも気軽に参加できます。

作品の一例

季節ごとに出てくる色が異なるという藍染め。6月には工房で育てた藍の葉を摘み取り、新鮮な青汁で染めることができます。通常の藍よりも爽快な水色に変化します(染められるのはシルクのみ)。

一年を通して、甕にある藍で染めることができる

入間市文化創造AMIGOのある「仏子駅」の住まい事情

仏子駅周辺の賃貸相場は、1Kで約4万〜5万円前後、2LDKで約7万〜8万円前後。
駅近・新築であればこの範囲より高く、駅から遠い・築年数が古いものは安くなることもあります。

仏子駅周辺の住み心地は?
・静かで、スーパーやドラッグストアもたくさんあって便利、住みやすい。
・下水設備や土地計画に遅れを感じる。
・車があれば、アウトレットなどの人気の商業施設へすぐに行けるので便利。

「赤いのこぎり屋根」が見てきた時代

かつて、繊維工業試験場だったアミーゴ。繊維工場試験場時代に経営に関わっていた方の娘さんは「戦争が終わって、繊維産業は変わった。女も世界を見なければ!」と話していたそう。

そんな時代から存在していた「赤いのこぎり屋根」。
時代の変化を通じて、悲しいことも、うれしいこともたくさん見てきたのでしょう。

今ではのんびり音楽やアートを楽しみ、子どもの笑い声が響く平和な施設です。

水村さんは「アミーゴで自分の夢をかなえてほしい!」と話していました。
あなたの夢を一歩、後押ししてくれる場所かもしれません。

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