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登山好きにも、そうじゃない人にも届けるために。マンガ「山食」のこだわりがスゴかった!【作者・信濃川日出雄さんに特別インタビュー!】後編

Sitakke

Sitakke

北海道生まれ北海道育ち。生粋の道産子であるHBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)が、趣味である「登山」と「山ごはん」を連載。
普段は山登り初心者でも楽しめる、お手軽✕絶景の山をご紹介しているのですが、今回は、特別編!漫画家・信濃川日出雄さんのインタビュー記事をお届けします。

【連載】「堀内美里の言いたいことは山々ですが」

▼実はコレが私の山登りの原点…!マンガ「山と食欲と私」が大好きなものを教えてくれた【作者・信濃川日出雄さんに特別インタビュー!】前編
▼読むとヨダレが止まらなくなる…マンガ「山と食欲と私」に登場する「ごはん」へのこだわりとは?【作者・信濃川日出雄さんに特別インタビュー!】中編
から続く

「山食」作者、信濃川日出雄さんに聞いた!始まりは山と旅マンガ?作中のこだわり

「山食」を描き始めたきっかけを教えてください

元々、「ヒューマン&ショートコメディー」を描きたいという思いがありました。
そんな中で、2015年に当時の担当編集から「アウトドア漫画をやらないか」という誘いがあったんです。

僕が興味を持っていた「山」を題材にすることに決めて、打ち合わせを重ねていきました。その中でさらに多くの読者に間口を広げようと、「女子のおひとりさま」や「ごはん」の要素を加えていきました。

「山」といっても漠然としているので、題材とするうえでわかりやすい趣味の「登山」、そして「山旅」を展開軸に置きました。
後は、連載を重ねながら現在の形になっていったという感じです。

どんな人に届けたいですか

登山をする方はもちろんですが、しない方も結構読んでくれているんですよね。
「山を好きになってほしい」という気持ちより「マンガとして楽しんでくれたら嬉しい」という気持ちが強くて…。一話10ページくらいの短編集で、ハードな描写もない、基本的にコメディ作品にしています。

もちろん、これをきっかけに登山をはじめたり、登山ではなくても何かに挑戦したりする人がいてくれれば嬉しいですけどね。

信濃川さんも普段から旅をして、山へ?

連載との兼ね合いもありますが、取材として数週間旅に出ることはしばしばあります。

「山食」には北海道から九州まで、日本全国の山が出てきますが、ほとんど自分で登っていますね。1つの山につき1000枚くらい写真を撮りながら登って、マンガの参考にしています。

去年、長野県の燕岳に行ったとき、再現性の高さに感動しました。

「山と食欲と私」第15巻・第169話・113p(Ⓒ信濃川日出雄/新潮社) 私が撮った山の写真…稜線の様子や、岩の形までしっかり再現されています!

山やごはんだけでなく、麓や温泉、街の風景も全部撮ります。
タクシーの運転手さんにお願いして、景色が良く見える場所に連れて行ってもらうことも。

「山と食欲と私」第6巻・第61話・29p(Ⓒ信濃川日出雄/新潮社) 夏の午後3時ごろ、雲取山山頂へと続く石尾根を歩いている際の光の向き、影、山小屋を正面にした際の光の状態などを実際と同じように描写

読者の方々にはあまり気づいてもらえないのですが、太陽や建物の場所、影の伸び方や向きまで、正確に書いています。自分が旅をするからこそ得られた体験や実際に見た風景を使って、マンガでもリアリティを追求しています。

幅広い方に読んでほしい気持ちもありつつ、普段登山をしている人たちにとっても、ちゃんと読みごたえがある作品にしたいので、そこはこだわっています。

北海道の山は「ワイルド」

「山と食欲と私」第8巻・第83話・30P(Ⓒ信濃川日出雄/新潮社) 「山食」では鮎美ちゃんも札幌・藻岩山に登っています

北海道で暮らしてみて

北海道には2011年に移住しました。

東京で10年くらいマンガ家をやったのですが、今後も東京に住み続けるのは辛いと思っていて…。子供を授かったタイミングで、妻の出身地である北海道に引っ越しました。子育てをするなら、北海道がいいかなと。

自然豊かな土地でありつつも、仕事や子供の通学に困らない場所を探して、札幌市の南区にたどり着きました。

信濃川さんもお気に入りの藻岩山、私も何度も登っています!

北海道は最高ですね、何もいうことがないです。

食べ物はおいしいし、自然もそばにあるし、人が優しい。
東京はなんというか殺伐としていて疲れちゃったので、癒されました。

新潟育ちなので、雪にも抵抗はありませんでした。10年以上たって、うんざりしてきましたけど(笑)

「山食」のような作品を作れたのも札幌に来たからだし、子育てもこっちで出来て良かったと思います。

北海道の山には登っていますか?

あまり多くはないですが、札幌近郊の山は大体登りました。
藻岩山はお気に入りで、ときどき散歩するように登っています。

本州の山にも登っているからこそ思うのですが、北海道の山は、良くも悪くも「ワイルド」。より自然のまま残っている気がします。

有人の山小屋やお店がある山もほとんどないし、登山口まで公共交通機関で行ける所も少ない。観光地化していない、そのままの自然を楽しめるのは良さだと思います。不便さがあることで、「冒険」している感覚をより味わえるのだと思います。

例えば、手稲山の「平和の滝コース」は小学校の遠足で登ることもあると聞きましたが、東京の人から見たら中級者向けのコースだと思いますよ(笑)

北海道の山は、まだ多くは登れていません。
鮎美ちゃんが東京在住の設定で、どうしても関東の山が中心になってしまうので…。
ぜひ今度一緒に登りましょう。おすすめを教えてください。

「言いたいことは山々ですが」信濃川さんへのインタビューを終えて…

大好きなマンガの作者さんと、大好きな「登山」や「山ごはん」のお話が出来て、終始、興奮が止まらないインタビューでした。
そして今まで以上に、こだわりと愛がいっぱい詰まった「山食」が大好きになりました。

このマンガを片手に全国各地の山に行き、ごはんを食べて、鮎美ちゃんの疑似体験をしようと思います。
地元・札幌の藻岩山が褒められたのも、とっても嬉しかったです。
北海道にまだまだある素敵な山を紹介がてら、今度一緒に登山をして、山ごはんを食べることを誓いました。ワクワク…!

山ごはんを再現?

そして、信濃川さんの話を聞いてすっかり「山食」モチベーションが上がった私…。
山に行って、信濃川さんのおすすめ山ごはんを作ってきました!!

今回作ったのは、この2品。「おこメンチサンド&フル―酎ポンチ」

第18巻・第193話・21p「おこメンチサンド」&第6巻・第63話・52p「フルー酎ポンチ」(Ⓒ信濃川日出雄/新潮社)

マンガの様に、おいしくいただくことは出来たのでしょうか⁉
次回の記事でお伝えします!

連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」

※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。

文:HBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)
北海道生まれ・北海道育ち。2021年入社。HBCテレビ「グッチーな!」「吉田類 北海道ぶらり街めぐり」、HBCラジオ「平野龍一のミライの扉」を担当。登山歴3年。おいしくごはんを食べるために山に登っています。登山の魅力はインスタグラムでも発信中

編集:Sitakke編集部あい

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