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ゴツプロ!版『十二人の怒れる男』が堂々開幕 本多劇場初の四方囲み廻り舞台で白熱の討論バトル!!

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ゴツプロ!第七回公演『十二人の怒れる男』

人気と実力を兼ね備え、注目度もグングン上昇中の劇団、ゴツプロ!が、彼らのホームグラウンドというべき下北沢にて、世界的名作『十二人の怒れる男』を上演中だ(~5月22日(日)まで、本多劇場)。40~50代の男ばかり六名のメンバーで構成されるゴツプロ!に、七名のゲストが加わって繰り広げられる“法廷劇の金字塔”。演出を手がけるのは、これがゴツプロ!初参加、ギリシャ劇など古典劇の演出で高い評価を得ている西沢栄治だ。その開幕直前に行われたゲネプロを観た。

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

劇場に入るとまず目に飛び込んでくるのが通常とはまるで違う演劇空間で、前方の客席部分を取り払って真ん中に正方形のステージが据えられており、四方をぐるりと客席に囲まれた格闘技のリングのような光景。大テーブルと十二脚の椅子に、周りにはベンチと簡易な水飲みコーナーがあるだけのシンプルな作り。しかもこのセンターステージ、なんと劇中にポイントとなる場面で何度か“廻る”のだ! この変形四方囲み、それも廻り舞台のスタイルは本多劇場の開場以来史上初のことだそうで、まずそれだけでも一見の価値ありの公演と言える。

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

舞台となるのは、1950年代のアメリカ。スラム街に暮らす少年が父親を殺した容疑で起訴され、六日間に及ぶ裁判のやりとりが終わり、年齢も職業の出身も生活環境も全然違う十二人の男たちが陪審員として審議をするために、舞台奥のたったひとつの扉から部屋に入ってくるところから物語は始まる。夏の夕方から夜にかけての時間帯、締め切られた狭い部屋。十二人はみな、暑さと疲労でイライラがピークに達しようとしている様子が既に冒頭から伝わってくる。それまでの裁判の流れから、ほぼ全員が被告の少年は有罪だと確信していたのだが、いざ投票してみると有罪十一票、無罪一票という結果に。判決は全員一致でなければならず、早く帰りたい面々は不満を漏らす。しかし有罪となればそれは死刑判決となるため「もっとしっかり話し合いたい」と、無罪に票を投じた陪審員第八号は全員に真摯に語りかける。渋々、証人の証言や事件現場の詳細な様子などを再検証していくと、中には凝り固まった差別意識の持ち主などもいて意見の相違が激しく、不穏な空気も流れるのだが……。それでも話し合いを続けると裁判では出て来なかった何気ない事実や、証言者の発言のほころびが見つかり、第八号の言う“合理的疑問”に他の陪審員たちも徐々に気づいていく。

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

会話だけで事件の概要がわかり、疑問点に気づき、それが解決していくさまは、観客側も一緒にパズルを解いていくワクワク感と、それが解けた瞬間の痛快感が味わえる。さらに価値観の違う人間同士のコミュニケーションの難しさ、今、現代にも確実に存在する差別意識等の社会問題についてなど、あらゆる思考を刺激されることにもなり、上演時間は1時間45分とコンパクトながらその間ずっと脳をフル回転させ続けるため、じっと座っているだけなのに気持ちの良い疾走感すら楽しめた。

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

そしてなんといっても十二人の陪審員たちの個性的な顔ぶれが、とにかく魅力的だ。意見をまとめて審議を進めようと努力する真面目な陪審員長の陪審員第一号を渡邊聡、控えめで優しく他人に影響されやすい第二号を佐藤達、自分の意見を主張し譲らない性格で息子とも確執がある第三号を山本亨、合理的で常に冷静な議論を展開する第四号を塚原大助、陪審員としての義務を真剣に考えているが自分の意見を言うことをためらいがちな第五号を関口アナン、義理人情に厚く誠実だがハッキリした意見を持たない第六号を44北川、シニカルで劣等感があり野球観戦のため時間を気にしている第七号を佐藤正和、物静かで思慮深く策士な一面もある第八号を泉知束、穏やかな老人で鋭い観察力を持つ第九号を小林勝也、差別意識が強く怒りっぽい第十号を佐藤正宏、自分を卑下しがちだが責任感が強く真剣に正義を求めている第十一号を浜谷康幸、頭が良く社交的だが軽薄で審議に興味がない第十二号を三津谷亮が演じ、ここに守衛役の木下藤次郎が加わるという盤石なキャスト陣。彼らと共にイライラしたり、ハラハラしながら、息を殺して判決の行方を見守るのは、まさに上質な演劇ならでは得られる体験と言える。

 撮影:保高幸子

 撮影:保高幸子

原作を未見の方が手放しで楽しめるのは当然のことながら、既に映画版や別のカンパニーで観劇済みの方であってもきっと新鮮な劇体験ができることは太鼓判。まるで格闘技のバトルロイヤルのような、白熱の舌戦を観戦しに、ぜひ劇場へと足を運んでみてほしい。

取材・文=田中里津子

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