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ダークなシンフォニック・メタルに、歌声で込めた“強靭さ”と“優しい強さ”――佐々木李子、新曲「Majestic Catastrophe」への想いを語る

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佐々木李子

歌手・声優として活躍する佐々木李子が、7月7日に新曲「Majestic Catastrophe」を先行配信する。OP主題歌に起用され、佐々木自身もエムル役として出演するTVアニメ『異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~』(以下:『マイノグーラ』)の世界に寄り添った、力強くダークで、それでいて美しさも兼ね備えたシンフォニック・メタルだ。そんなこの曲に、佐々木は歌唱面からどのようにアプローチしたのか。制作を通じて込めた想いを、5月に開催したワンマンライブの振り返りや、すでに決定している次回ワンマンへの想いとともに、たっぷり語ってもらった。

■闇を極め、それでいて包み込むような強さも持つ「Majestic Catastrophe」

――今年5月には、2年ぶりとなるソロでのワンマンライブ「I’m RICO.」を開催されましたね。

もう、とにかく楽しかったです! アンコールを含めて16曲歌ったんですけど、もう“秒”といいますか(笑)。無我夢中に歌って、お客さんと心を通い合わせていたら、いつの間にか終わっちゃっていたような感覚ですね。その時期は声優としてのいろいろなライブが重なっていたのもあって、「佐々木李子としてのワンマンライブは久しぶりだし、ちゃんと“李子の歌”を届けられるかな?」というドキドキもあったんです。でも当日ステージに立ったら、そんな不安が全くなくなるほど楽しくできたんですよ。それに、今までの中で一番ありのままでいられたライブだったようにも思っています。

――今までのライブと、どんな違いがありましたか?

今までは「うまくやろう」として緊張しちゃっていたり、ライブ後に反省するようなことが多かった気がしていたんですね。でも今回は、例えば「お客さんとしっかり目を合わせられてたかな?」みたいに不安に思うことが、全くなくて。この2年間「ライブしたい」という気持ちが溜まっていたのもあって、自分のやりたいことが全部できましたし……あとは、昔と変わったことも多かったです。

――どういった変化があったんでしょうか?

まず髪色が全然違いますし、初めて作った佐々木李子のイヤモニをこのワンマンで使いながら歌ったりしたところも新鮮でした。「やっぱりライブって、楽しいな」「もっとやりたいな」という気持ちになりましたし、「もっともっと広い世界を一緒にみんなで見に行きたいな」という気持ちも強まったので、また次に繋げられるように。12月にもワンマンライブの開催が決定しているので、それに向けてさらに進化できるよう頑張りたいです。

「Majestic Catastrophe」アーティスト盤

――そのワンマンライブでリリースが発表された新曲が、「Majestic Catastrophe」です。佐々木さんご自身はまず、この楽曲からどういった印象を受けましたか?

もう「好き!」な世界観を持った曲で、聴いた瞬間に自分の中の“闇りこち”が出てきました(笑)。メロディもすごくかっこいいし、歌詞もすごく闇を極めていて“強者の余裕感”があるというか……そこは自分の憧れでもあるので、「私なりに早く歌いたい!」という気持ちになりました。

――ここまでシンフォニック・メタル調の曲は、ソロとしてはなかったですよね?

はい。ここまで闇に振り切った曲を佐々木李子で歌うということも、なかったかもしれません。なので中途半端な気持ちは捨てて、とにかくもう黒光りするぐらい極めた(笑)、ダークさを出したいなと思いました。

――“闇ならではの光”のような。

はい。私って明るく元気に話したりもしますけど、結構闇属性の人間といいますか……いろいろな経験を経て、“悲しい”とか“苦しい”気持ちみたいなものも歌に変換して届けるということも好きなので、そういう「絶望があるからこそ光が見える」みたいな気持ちを込めて歌いました。

――そんなこの曲と『マイノグーラ』とのリンクは、どんな部分から感じられましたか?

すごくたくさん感じました。まず、とにかく曲全体の世界観がぴったり。マイノグーラという未知なる異世界の文明にもぴったりですし、冒頭の歌詞から「惨状ヲ!叫喚ヲ! 与え、行け───」というように、圧倒的強者感があるんですよ。しかも「贖い」とか「齎して」みたいに「こうやって書くんだ」という漢字を使って、パッと見ちょっと厨二心がくすぐられるような言葉をたくさん込めてくださったので、そこもすごくリンクしているように思いますね。

――耳でだけではなく、そういった表記を見ながら聴くことで感じ取ることができるものも多いように思います。

そうですね。そこも異世界感にぴったりですし。それに歌詞の内容自体も、『マイノグーラ』の物語にもすごく合っていて。『マイノグーラ』って“邪悪”と“平和”が融合した作品なので、歌詞からただの“絶望”や“邪悪な気持ち”だけじゃなくて「暗闇の中にある光を探して、ともに幸せに生きましょう」という気持ちを感じられるようなところも、なんだかリンクしているなと思います。

(C)鹿角フェフ・じゅん・マイクロマガジン社/「マイノグーラ」製作委員会

――そういった要素も踏まえたうえで、レコーディング前には「この曲はどう歌うのが一番いいだろう?」みたいなイメージも膨らませられていたのでしょうか?

はい。やっぱり“強靭な存在”として歌いたかったので、もう「迷うことなかれ」みたいな。でも、その中にちょっと、全てを包み込むような強さというか……サビの歌詞には「愛すべき仔たちよ 安らかな 今日の 御胸にあれ」というフレーズもあるので、その種類の違う“強さ”を意識して歌いたいなと思いましたね。

――実際聴かせていただくと、歌声からはサウンドにマッチした力強さに加えて、美しさを感じる部分もありました。

私自身この曲を初めて聴いたときに、力強さの他に繊細なピアノの旋律の美しさも感じたんですよ。なので、本当にただの「パワー」だけじゃなくて繊細な、“優しい強さ”というか……そこまで細かく考えすぎずに伸び伸びとは歌ったんですけど、例えばAメロやBメロ、あとはDメロもですかね? そういう気持ちを込めたいところでは、こだわりながら録りました。

「Majestic Catastrophe」アニメ盤

――そんなレコーディングのなかで、試行錯誤された部分はどんなところでしたか?

最初はちょっと気合いが入りすぎて、歌うときに力が入っちゃっていたと思うんです。「強者でなければいけない」という気持ちが強すぎて。でも何度か歌っていくなかで、強弱の大事さに気づいたんですね。「力を抜いたほうが、強さが際立つな」とか。ロングトーンをただ伸ばすんじゃなくて、クレッシェンドしていく感じとか……そういうところはディレクターさんの意見も聞きながら、一緒に作っていきました。

――歌われていくなかで、歌唱中ならではの感覚みたいなものはありましたか?

そうですね……だんだん「人間じゃなくなっていく感覚」がしたといいますか(笑)。邪神になれていっているような気持ちだったので、本当に今回は「レコーディング中にどんどん進化していったな」という感覚はありました。あとレコーディング中といえば、イントロや間奏部分のすごく重厚なコーラスを私が歌うことに決まったのも、レコーディングでのことだったんですよ。

――なるほど。それは現場で。

そうなんです。元々はコーラスの方が歌ってくださる予定だったんですけど、自分も何度もこの曲を聴いて練習していたので、ふとレコーディングで歌ってみたんですね。そうしたら「李子ちゃんでいけるじゃん」となって、コーラスも全て担当させていただきました。

――主線とコーラスとでは、アプローチも全然違いますよね。

そうですね。メインはこの世界観の“強者な主人公”で歌って、でもコーラスはまた別といいますか……例えば『マイノグーラ』で言えば、“マイノグーラの住人の気持ち”というか。また別の、ともに戦う仲間の気持ちで歌いました。すごく難しかったですけど、挑戦してよかったなと思っています。

――まさに主線とコーラス、ふたつの歌声を通じて、作品全体と密接にリンクする曲になったんですね。

はい。だから「早く『マイノグーラ』ファンの皆さんに、フルで聴いてほしい!」と思いますし、「早くライブで歌ってみたい」とも思いますね……空気感、どんな感じになるんだろう? 7月からリリースイベントも始まるので、足を運んでくれたみんなを闇に染める勢いで歌いたいですね。今は「やりきる」ということに重きを置いて練習中なので、その場が『マイノグーラ』の世界に包み込むれるよう突き詰めていきたいです。

――その「やりきる」という気持ちは、レコーディングのときにも出てきた印象だったんでしょうか?

というかもう、「やりきらないと歌えない曲だな」と感じました。「!」という表記もありますし、心のブレがあったり、中途半端だとこの歌詞は歌えない。練習していたときから、この「意志の強さ」はブレずにまっすぐ歌わないといけないなと思ったんです。なので、すごく精神統一しながら。ブースの中も暗くして、この世界に入り込んで歌っていきました。普段からちょっと暗めにはするんですけど、この曲は特に暗く。ほぼ真っ暗状態で歌いました。

■次回のワンマンを成功させて、みんなと一緒にもっと大きなところに行きたい

――そんなこの曲のMV、非常にかっこいいものになっていますね。

いやー、もう撮影が楽しくて! この「Majestic Catastrophe」にぴったりの廃墟みたいな雰囲気の場所での撮影だったので、テンションも上がりましたし、私もその日は“佐々木李子”でもない、何者かになったかのような気持ちで。まさに『マイノグーラ』の王者のような気持ちになりながら撮れました。

――黒と白の衣装、ふたつの姿がありました。ダイスも白黒だったので、“表裏一体感”のようなものも感じたのですが。

はい。うまく光も使ってくださってすごく素敵に表現していただけて。自分自身も“白りこち”のときは、ちょっとだけ表情や身振りを変えていまして。光を諦めずに希望を探している感じや、ちょっと儚げな表情を意識したんですよ。逆に“黒りこち”のときはもう、絶望の漆黒のまま「それが自分だ」「ここで、この自分で突き進んでいくぞ」っていう……「このダークを楽しむ」みたいな。そこで二面性を出してみました。それに、撮りながら自分でも思いがけない動きをしちゃったりもしたんですよ。レーザーみたいな照明を使ったかっこいいシーンでは気づいたら跪いちゃっていたり、衣装をかっこよく翻したり。そこは本当にこの曲の主人公に憑依した、かっこいい“黒りこち”でできたなと思っています。

――少々含みがある終わり方になっているという意味でも、曲と一緒に何度でも楽しみたい映像になっているように思います。

ぜひ歌詞と合わせて観て、考察していただけたら嬉しいですね。撮影も1日かけて行なったので、まわりでサポートしてくださるスタッフさんとの思い出もすごくたくさんあるんですよ。廃墟なので、急にコウモリが飛んできたり……。

――コウモリがいたんですか(笑)。

はい(笑)。コメント収録のときに一瞬パッて見えて、動画にも映っていて……光に集まって来たんですかね? その動画は残っているので、きっといつか皆さんにもお見せできるかと思います(笑)。

――さて、先ほどおっしゃられたように12月27日にはKT Zepp Yokohamaでのワンマンライブの開催も決定しています。やはり“ライブ会場”でこの曲を聴きたいという方もたくさんいらっしゃると思うのですが。

はい。いいところに入れたいなぁ……気合い入れて、すでにイメトレとか妄想もしちゃってるんです。「照明もバチバチにかっこよくしたなかで、Dメロはちょっと光が差す感じとかやってみたいな」とか、勝手に演出まで考えちゃったり(笑)。思いっきり、このダークな世界観にみんなをいざないたいですね。きっとトリコ(※佐々木のファンネーム)のみんなもこの雰囲気は好きだと思うので、かっこいいりこちを堪能してほしいです。

――そのワンマンライブ自体については、どういうものにしたいと思われていますか?

今までアーティストとして活動してきて、「Zeppを埋めてみたい!」という気持ちはずっとあったんですね。今までで一番、佐々木李子としては挑戦的な会場になるでしょうし、「ここを満員御礼で大成功させて、もっともっと大きなところにみんなと一緒に行きたい!」という気持ちがあるので、その第一歩となるワンマンにできるようにさらに気合いを入れていきたいです。だから、初めて来る方も今までずっと応援してくださっている方も、みんなと一緒によりステップアップした佐々木李子を観てほしいし、より濃厚なトリコになってほしい(笑)。「今後もずっと一緒に道を歩んでいきたい!」と思ってもらえるようなライブにしたいですね。

――来てくれた方が、さらに惹きつけられるようなライブにしていきたい。

そうですね。全員をそう思わせたいです。アーティスト・佐々木李子としてもさらに世界にも通用するような歌手になりたいので、もっともっと次に繋がるライブをしたいですね。

取材・文:須永兼次

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