【焼津小泉八雲記念館の「高嶋敏展写真展『八雲のまぼろし』」】「八雲の目」になりきって
静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、焼津市の焼津小泉八雲記念館で6月22日から開催中の「高嶋敏展(たかしま・としのぶ)写真展『八雲のまぼろし』」。会期は10月1日まで。
出雲市生まれの写真家高嶋敏展さんが、八雲の痕跡をたどって松江、出雲、焼津を巡る。八雲来日から130年後の風景を、高嶋さんは「八雲の目」になりきって切り取る。怪談「飴を買う女」の舞台の大雄寺の隣には10階建てマンションが屹立しているし、城山稲荷の石狐を照らす提灯に仕込まれているのは恐らく白熱灯だ。過去と現在が拮抗する約30枚の写真は、八雲の存在そのものが一部「まぼろし」化していく経過の記録に思えた。(は)