天気予報でよく使われる「前線」通過すると何が起こる?【天気クイズ】
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生活の知恵を授かるコーナー「スーさん、コレいいよ!」。
今日は天気が好きすぎる気象予報士・増田雅昭さんによる「天気のミカタ、キキカタ、クイズ!」
覚えることで生活の役に立つかも!という天気にまつわるクイズ。
天気のミカタ、キキカタ、クイズ!わかっているつもり編
普段、天気予報や日常会話で使われる、天気の言葉。わかっているつもりで、「実は意味が違った!」なんてことがあるんですよね。今日は、そんな勘違いしやすい天気クイズを出します。
第1問:「春一番」とはどんな風でしょうか?次の3つから選んでください。
①春に一番強く吹く風
②冬の終わりから春にかけて、最初に吹く強い南風
③春に吹く暖かい風。この風が吹くと、もう寒さは戻ってこない。
↓
正解は
「②冬の終わりから春にかけて、最初に吹く強い南風」」
増田:先々週、関東各地ですごく強い風が吹いて、「春一番じゃないの?」という声も聞こえてきたんですが、実は、春一番ではなく、強い北風でした。春一番は南風なんです。春一番は、「春一番目の嵐」という意味。
江戸時代とか昔から使われていた言葉で、漁師に恐れられていた風です。「ハルイチ」などとも呼ばれていました。
・江戸時代の終わり頃、この時期の強い風のせいで、長崎県の壱岐の漁師が大量遭難し、この言葉が広まったとも言われています。昔の人は危ない現象を、言葉にして残して、リスク管理していたんでしょうね。
昭和の時代にキャンディーズの「春一番」がヒット曲となったことで、イメージが変わった部分はありますよね。ウキウキのイメージを持っている人も多いでしょう。
ちなみに、春一番が吹きましたというのは気象庁が発表するんですが、地方ごとによって条件が決まっていて、
関東地方だと、立春~春分、日本海に低気圧があって、南寄りの風が、風速8メートル以上吹き、前日より気温が上がる。なかなか細かいんです。なので、条件をクリアしない年は、春一番の発表はありません。
春一番が吹くと、気温が上がりますが、しっぺ返しのようにまた寒くなります。春一番の時期は、春の空気が成長途中なのでまだ勢力をキープできず、すぐに冬にやり返されちゃうんですよね。なので、春一番が吹いたと聞いたら、そのあとは寒さに備えるのが良いですよ。
第2問:「南よりの風」とはどんな風でしょうか?次の3つから選んでください。
①北の方から南の方に向かって吹く風
②南の方から北の方に向かって吹く風
③必ず海から吹いてくる風
↓
正解は
「②南の方から北の方に向かって吹く風」
増田:南寄りの風は、南に近い方から吹いてくる、という意味です。「東京都内の神奈川県寄りの所に住んでいます」とかと同じ意味の「寄り」ですね。 つまり、真南からだけでなく、南に近い南西からや南東からの風も「南寄りの風」です。覚え方としては、「南“より”吹いてくる風」と覚えておけば、吹いてくる方向を間違えにくいですよ。
第3問:天気予報では、「前線」という言葉がよく使われます。「前線」が通過したときに一番起こりやすいことは、次のうちどれでしょう?
①雨が降る
②雷が鳴る
③気温が変化する
↓
正解は
「③気温が変化する」
増田:雨が降ることも多いんですが、降らない場合もあります。それに比べ、気温が変化するというのは、前線が通過するとほぼほぼ起こります。
・前線とは・・・空気の最前線、という意味です。暖かい空気とか冷たい空気とか、性質に差がある空気どうしが、
ぶつかるところの最前線。英語でもフロントと言われます。なので、前線が通過する=空気の質が変わる、つまり気温が変化するわけですね。
暖かい空気と冷たい空気は、すぐに混ざりあいません。なので、ぶつかる形になるのですが、ぶつかった空気は行き場がなくなって上昇気流となり、雲が発生しやすくなります。でも、ただの雲で終わって雨が降らないこともあります。
・ちなみに、天気図に描かれている寒冷前線や温暖前線を見ると、気温がこの先どうなるか、分かるようになっています。青い線にいくつも△がついているのが寒冷前線。△が向いているほうに冷たい空気が進んでいることを表しています。天気図上で、青い寒冷前線が通りすぎると、寒くなるわけです。かまぼこみたいな半円がたくさんついた、赤い温暖前線が進んできて通り過ぎると、暖かくなります。
第4問:雨の予報のときに参考になる降水確率。
この、降水確率というのは、雨が降る量を表している。○か×か。
↓
正解は
「×」
増田:同じような気象条件のとき、雨が過去にどれくらいの割合で降っているか、というのが降水確率です。
・雨の降る量や、降る時間の長さとかは関係ありません。降水確率100%でも、1ミリの雨=傘がいるかなぁどうかなぁくらいの雨がちょろっと降って終わり、ということもありますし、降水確率30%でも土砂降りになったり、長い時間降ることもあります。
・ちなみに、増田式降水確率の読み方としては、30%くらいから折りたたみ傘を持つことをおすすめしています。
(どうしても濡れたくない人は、もっと低い確率でも持っていってください)
・降水確率30~40%なら強気な人は持たなくても良いと思いますが、さすがに60%以上は、もう絶対に持って行ってくださいねという確率ですよ。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)