人々に影響を与えた経済学者「カール・マルクス」を解説【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
人々に影響を与えた経済学者①カール・マルクス
カール・マルクスはプロイセン王国(現在のドイツ)生まれの哲学者であり、経済学者です。マルクスは1848年に盟友のフリードリヒ・エンゲルスとの共著で有名な「共産党実現」を発表し、ライフワークとして結実させた「資本論」の第1部を1867年に発表します。(2部、3部はマルクスの死後にエンゲルスが刊行)マルクスはこうした政治的出版物の影響で20代から各国の労働運動に関与し、無国籍となって欧州各国を亡命、ロンドンで没します。
「資本論」でマルクスが説いた資本主語の矛盾は「労働者が自分の労働力(商品)しか売るモノがなく、いつまで経っても裕福にはなれないのは、賃金分以上に働かせられ、その分を資本家に搾取されているからだ」と喝破したことです。これを「剰余価値」と呼び、 「剰余価値を生み出す特殊性が労働力にあることで資本主義が成り立っている」と本質的な資本主義の矛盾を糾弾したのです。また「剰余価値」には2種類あり、資本家は労働者を長く働かせて得る「絶対的剰余価値」と、生産性を上げることで得る「相対的剰余価値」を常に求めているとしました。
工場を大規模化すると、労働者の協力意識や競争意識を高められるものの、一方では労働者が徒党を組みやすくなり、資本家へ反旗を翻しやすくなるとも述べています。
資本主義はやがて競争で勝ち残った「独占資本」だけとなり、労働者は働く場を選べなくなり、搾取され尽くして貧困に陥り、資本主義は労働者の革命によって終焉を迎えるというのがマルクスの見立てでした。マルクスの考えた究極の理想社会は、富の公平・平等な分配が行われる共産主義社会としたのです(社会主義はその前段階で賃金格差がある)
資本家⇔労働者
労働力-剰余価値=対価(賃金)
資本家の利益は剰余価値の大きさに比例
→資本主義は剰余価値を生み出す労働力の上に成立
【剰余価値】
・絶対的剰余価値
長く労働者を働かせて得る利益
・相対的剰余価値
生産性を上げることで得る利益
【Column②】
「円」という呼称は1871年(明治4年)5月、明治政府の「新貨条例」からで当時は「金本位制」ゆえに「1円=純金1・5g」として当時米国の「1ドル=純金1・5g」に倣ならったようです。その後、政府は西南戦争(1877年)の戦費調達で不換紙幣の大量発行で円の価値を低め、1882 年日銀を創設し「1円=純金 750mg」兌換レートを落とします。そして世界恐慌(1929 年~)や満州事(1931年)の戦費調達で国債を乱発し「1ドル=5円」前後のレートで第二次大戦に突入、敗戦後には GHQ から「1ドル=50円」とされ、1947年には「1ドル=27円」、1949年には「1ドル=360円」になりました。この固定レートが 1971年のニクソンショック(金とドル交換停止)を経て 73 年から変動相場制への移行で「ドル安=円高」傾向が続きます。しかしアベノミクスの日銀異次元緩和の大失敗で再び円安の不安は増します。長期金利が 2%上がるだけで日銀は保有国債の含み損で自己資本約12兆円を上回り債務超過になるからです。国の信用が揺らげば超円安です。国の借金帳消しにはハイパーインフレで「1ドル=500円」くらいが丁度よいとも言われます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔