カレーに特化した国産の「長粒米」が人気
今年は猛暑などの影響でお米が高騰していますが、新しい選択肢も登場しています。それは、海外の「長細いタイプのお米」と、「日本のお米」をかけ合わせた新品種。
カレーと相性抜群のお米!無印良品から発売
まずは7月17日から、全国160店舗の「無印良品」で先週から販売を始めた、株式会社良品計画のソーシャルグッド事業部、佐藤 一成さんのお話。
株式会社良品計画・ソーシャルグッド事業部 佐藤 一成さん
鴨川市で作った「プリンセスサリー」というお米を、今回新しく販売します。
このお米自体が、インドとかパキスタンとかの方で食べられてるお米と、日本のお米を掛け合わせた米なんですけど、細長いお米なので、口に入れたときにパラパラっとほどける。だけど噛むと少しもちっとした多少食感があるっていうお米です。
間違いなくカレーに合います。特にスープカレー系ですとか、スパイスが効いているカレー。
こういう食の楽しみ方があってもいいよね、という選択肢を広げていくことの一つに、このお米を作っていく。
タイ米とはまた「似て非なるもの」と思っていただいて良いと思います。
パキスタン原産のお米と、日本のお米をかけ合わせた、「プリンセスサリー」という品種で、両方の「イイとこ取り」をしているので、パサパサしすぎず、モチモチしすぎず。
見た目は細長い「長粒米(ちょうりゅうまい)」に分類。枝豆やポップコーンのような香りがします
90年代に、冷害によるコメ不足で「タイ米」が普及した時に、「あまり美味しくない」という印象を持った人も多いと思いますが、品種改良が進み、しかも国産ということで、かなり美味しくなっています。
また、価格は300グラムで540円(税込)と少しお高めですが、高単価で取引されるので生産者の所得向上にも繋がるそう。
以前からレトルトカレーに力を入れ50種類以上のラインナップがある無印良品としても、カレーに合うお米を追求した結果、このお米の開発に至ったそうです。
カレー専用の「パックご飯」
ただ、こちらは炊飯器で炊く必要があるのですが、手軽にレンジでチンするタイプの「パックご飯」も登場していました。パックご飯メーカー「ウーケ」の、米山 綾香さんのお話。
株式会社ウーケ・米山 綾香さん
「スパイシーカレーに合うごはん」というパックご飯を発売いたしました。その名の通りなんですけれども、スパイスの効いたサラサラ系のカレーに合うご飯となっております。
通常のお米に比べて、ちょっと長細いお米となっております。
私達のプロジェクトチームっていうのが全員女性で、主婦なんですね。主婦って、いかに時短で何かできるかっていうのを多分考えると思うんですけれども、本格的なものを短時間で手軽に食べた。
レンジで2分温めますとお召し上がりいただけますし、日本人にカレーが嫌いな人はあまりいないであろうっていうところから、生まれた商品になります。
こちらも無印良品と同様、国産のお米。鳥取県で作られた「プリンセスかおり」という品種を使用しています。
電子レンジで2分温め。カレーに合うように、ちょっと固めです(238円)
クセが強いので、「ハマる人はハマる」。去年からオンラインショップなどで売りだしていて、リピーターも多いそうです。
かつての「タイ米」のイメージを覆したい
このように、国内の各地で、細長いお米の生産が広がってきていますが、生産者の方はどう思っているのか。佐賀県で、長粒米「ホシユタカ」という品種を10年前から手掛けている、JA伊万里の石戸 勉さんのお話。
JA伊万里・営農振興課 石戸 勉さん
本当は最初めっちゃ作りたくなくてですね、取り組みたくなかったっていうのが本音ですね。
以前お米がないっていうのは米騒動で、海外から潮流米が食卓に並んだ時代があったと思うんですけども、私が小さいときだったんですけども、皆さんそれで、まずいっていうふうなイメージを保たれてたかと思うんですね。
タイ米が入ってきたと思うんですけども、みんな食べ方を知らなかっただけで、本当は中料理するとうまいんだなっていうふうなあとは、作るときまで全然わかってなくて。
最初嫌々ながらやってみようじゃねかってやるにつれて、いろいろな味に「化けていく」っていうのは、なかなか快感になってきてですね。
難しいアイテムだなっていうのは以前からわかってて、もちろんカレーもそうなんですけども、そういったことで美味しいんだっていうふうなことで、次は農家さんへのハードルを下げてきたっていうとこにもなります。
美味しくないイメージを覆すのが大変だったと話していましたが、カレーと合わせたり、チャーハンやリゾットとして飲食店で活用されることも増えているようで、少しずつ注目度が高まっているようです。
日本の消費者に合わせて、時代とともに、お米も進化していました。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)