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演出小川絵梨子のコメント到着 白井晃・高田聖子ら出演、だれかが"おはなしをする"お話、を描いた物語『アンチポデス』

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『アンチポデス』出演者 (左から)白井 晃、高田聖子

2022年4月8日(金)~24日(日)(プレビュー公演 4月3日(日)・4日(月))新国立劇場 小劇場にて、『アンチポデス』が上演される。この度、翻訳家と演出家のコメントが届いたので紹介する。

小川絵梨子芸術監督4年目のシリーズ企画「声 議論 正論 極論 批判 対話…の物語」の第一弾となる本作。対面を避け言葉だけのコミュニケーションとそのツールを手に入れた現代人が、一方的に投げつける、あるいは、投げつけられる言葉の多くは、時に正論のようでただの批判になっていないだろうか、極論をぶつけるだけで議論として成立さえしていないのではないか。時として、相手を傷つけることが目的になっていないか。直接耳に届く声と、内なる声に耳を傾け、そこから始まる議論や対話を描く作品が今回、本企画で並ぶ。

『アンチポデス』は『フリック』でピュリッツァー賞を受賞したアニー・ベイカーが2017年に発表した作品。新国立劇場では『タージマハルの衛兵』の翻訳の記憶も新しい、小田島創志による翻訳で日本初演する。「地球の裏側」を意味するタイトルを冠した戯曲に登場するのは、閉ざされた部屋で物語を作り出す、という作業をしている8人の男女。

人に渡す言葉の在り方を、他者との関係性を、今一度、立ち止まって考えたい、というテーマのもとにおくる「だれかが"おはなしをする"お話、を描いた物語」。様々な危機に陥った世界にとって「ものがたり」がどのような価値を持つのか、観客と一緒に考えたいと、小川絵梨子自らが演出を務める。

出演者は、白井晃、高田聖子、斉藤直樹、伊達暁、富岡晃一郎、亀田佳明、草彅智文、八頭司悠友、加藤梨里香。

【あらすじ】
ある会議室に男女8人が集められている。
そこがどこであるのか、いつであるのかも不明だが、リーダーであるサンディのもと、彼らは企画会議として「物語を考える」ためのブレインストーミングを始める。新たなヒット作を生むためである。
サンディは「ドワーフやエルフやトロルは無し」と言う。恐ろしさや怖さの中にも消費者が親近感を覚えるリアルな物語を採用したい、と。
既存の作品の焼き増しではない新しい物語を生み出すために、参加者たちは競うようにして自分の「リアル」な物語を披露していく。やがて会議室の外に世界の終末のような嵐が訪れる。
翻訳 小田島創志 コメント

「物語」の物語―アニー・ベイカーの『The Antipodes』を一言で表すとそうなるかもしれない。ただしそれは、ただの空想ということでは決してない。物語が生まれる背景には現実が、社会的な事件、個人的な事件、あるいは何気ない日常が存在する。では、物語は現実とどうかかわるのか? 物語がこの現実世界において果たす役割は―?
こうした問いを突き詰めていくと、改めて気づかされる。物語も現実も、語られていない要素が表面下に無限に潜んでいるのだ。『The Antipodes』という作品自体、曖昧な部分は数多い。彼らは何のために、唯一無二の物語を作ろうとしているのか。彼らが話す体験談は、どこまで真実で、何を表しているのか。そもそもなぜ、「彼ら」が選ばれたのか。舞台の外で何が起こっているのか。語られず、曖昧なままほのかに浮かび上がってくる、物語の背後にあるもの、言葉の背後にあるもの、現実の背後にあるものの存在。日本で上演される「物語」としての『The Antipodes』が、今を取り巻く現実の何を照射するのか、翻訳者としても考え続けたいと思っている。

演出 小川絵梨子 コメント

『アンチポデス』は不思議な話です。ある会議室に8人の人間が集まり、物語を生み出すために話し合いをしていますが、それが何のためなのかは語られません。新しいテレビドラマの脚本なのか、映画なのかそれとも全く別の何かなのか、観客には明かされないまま8人の話し合いが続いていきます。8人は締め切りとプレッシャーに格闘しつつ、なんとかして「まだ誰も聞いたことのないような新しい物語」を作り上げようと必死で頭を捻ります。しかしやがて、チームであるはずの8人は閉ざされた空間の中で、お互いへの苛立ちや不安を募らせていき、みんなで作っているはずの物語も迷走を始めていきます。
本作はシリーズ「声 議論 正論 極論 批判 対話...の物語」第一弾の作品となります。人と人のコミュニケーション、人が集団として存在する時の難しさ、痛み、孤独などをヒリヒリと生々しく描いていければと思っています。

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