9年間放置された食品サンプル…駅近1等地の廃墟ビル 再整備進まないワケ【北海道・苫小牧市】
北海道苫小牧市で、一筋縄ではいかない問題が起こっていました。
苫小牧市は、人口およそ16万7000人、札幌の南東およそ70kmに位置し、製紙工業や、ホッキ貝を始めとする海産物でも有名なマチ。
そこで起こっているある問題について、視聴者の皆さんのギモンや地域の問題について調査する、HBC「もんすけ調査隊」に依頼が…
苫小牧市在住のホッキカレーさん(40代)からの依頼は
「苫小牧駅前に、8年以上放置された廃墟ビルがあります。どうなっているのか?調査していただけないでしょうか?」というもの。
さっそく現場に行ってみると…
JR苫小牧駅の目の前の一等地に、フェンスに囲まれた巨大な廃ビルがありました!
その名も旧サンプラザビル。
地下1階、地上8階建ての建物で、延べ面積は、およそ3万9000㎡もあるといいます。
こちらのビル、一見、今も使われている様に見えますが…
駐車場に続く連絡通路は、塗装がはがれてしまい、荒れ果てた姿に。
さらに、ガラスの向こうの天井は崩れ落ちてしまっています。
去年、苫小牧市が内部調査を行った時の写真。
内部には、食器や食品サンプル、テーブル、イスなどが残されていますが、その多くがホコリをかぶり、カビが生えている状態です。
ビルの内部は既に荒廃していて、もはや再利用は難しそう…。
苫小牧市民からも「景色が良くない」「駅前なので何とかしてほしい」と声があがるほど。
この旧サンプラザビルが建てられたのは、1977(昭和52)年のこと。
キーテナントにダイエーがオープンし、駅前には多くの買い物客が訪れました。
しかし28年後の2005(平成17)年、近くに大型商業施設が開業したことから、経営は悪化しダイエーが閉店。
その翌年(2006年)には、ラルズマートがオープンしましたが、7年で閉店。
そして2014年、経営不振に陥った運営会社がビルを閉鎖しました。
つまり、このビルは9年以上放置されていることになります。
この状況に、地元の商店街も困り果てています。
苫小牧駅前通商店街振興組合の木村司会長は「駅前の一等地が暗いビルだと、商売にも差し障りがあるし、駅前はマチの顔というところがあるので、『駅前なんとかしてよ』と声が寄せられている」と話します。
行政はどう考えているのでしょうか…そこで建物を管理している苫小牧市を直撃!## 再整備計画は実現できる?
その答えは、「権利の集約とか色々な流れがあって、9年以上あの状態になっている」とのことでした。
実は、苫小牧市はビルの廃墟化を防ぐため、当時29人いた権利者に土地や建物の寄付を求め、再整備の計画を打ち出していました。
しかし1人の権利者が寄付に応じず、今も話し合いが続いているといいます。
つまり、そのために旧サンプラザビルは9年間も放置されているのです。
そこで苫小牧市は、去年、膠着状態を打破するために新たな方向性を示しました。
それが「苫小牧ビジョン」です。
苫小牧駅周辺ビジョンとは、苫小牧駅周辺の再開発に関する計画。
複合ビルを中心に、ホテルやサイエンスパークなどを整備し、苫小牧の顔にふさわしい魅力的な中心市街地の創出を目的としたものです。
駅から南側に人が流れるような複合的な施設を建設し、その先には緑化された公共スペース、バスの停留所から住宅まで配置される案になっています。
あくまでこれはベース案であり、詳細はこれから市民と作っていくという。
そして2024年度からは、旧サンプラザビルの解体も検討しているんです。
苫小牧市未来創造戦略室の林巧都市再生主幹は、「2024年度からは、どういう風に進めるか、もう少し具体的に見えてくる」と話していました。
調査結果です。
苫小牧駅前の廃墟ビルは、今も地権者との協議が続けられています。
苫小牧市としては、駅前の再開発計画を進めることで市としての方向性を示し、市民の気持ちを高めることで今後の交渉を前進させたいという気持ちもあるようです。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月26日)の情報に基づきます。