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日本一の壁紙専門店を経営する濱本 廣一さん「大量生産しない物づくりをしたい」

さくマガ


濱本 廣一(はまもと こういち)さん
1972年大阪市生まれ。株式会社フィル代表取締役社長。バンドのベーシストとして音楽に打ち込んだ10代。高校を中退して丁稚奉公に入り、クロス職人として現場で経験を積む。23歳で独立。内装の個人事業をはじめるが、ある時、現場で知り合った電気屋のおっちゃんに「その壁紙にノリ付けて売ってくれへん?」と言われたのをきっかけに、壁紙販売への道を開く。2000年に株式会社フィル設立。2001年「壁紙屋本舗」WEBショップオープン、2011年輸入壁紙専門店「WALPA」WEBショップオープン、その他実店舗など展開を広げる。
各業界の著名人にインタビューをして仕事のヒントを得ようという、この企画。今回は株式会社フィルの代表取締役社長の濱本廣一さんにお話をうかがいました。オンラインでの取材となりましたが、カメラを持って店内も案内してくれました。

会長のアレサちゃんもオフィスに出勤

ーーよろしくお願いします。すごくお洒落な内装ですが、ご自宅ですか?
いや、オフィスです。近くにうちの会長もいるので連れてきますね。会長のアレサです。うちの商品ページにもちょこちょこ出てます。

(会長のアレサちゃんが登場している商品ページの写真)
ーーオフィスに動物がいるのは良いですね! まずはじめに濱本さまのお仕事(事業内容)について教えてください。
業者ではなく、一般の人に楽しんでもらうための壁紙を販売しています。「壁紙屋本舗」というWEBショップの他に実店舗もありますね。部屋のインテリアを模様替えできる商品を販売していて、DIYで壁紙を張り替えて楽しんでもらえます。
あとは輸入業ですね。「WALPA」というブランドで輸入の壁紙を扱っています。これもWEBショップと実店舗があります。
実店舗よりもオンラインショップのほうが売上比率としては大きいですね。

他社がやっていないことをやる

ーー壁紙専門店として日本一のシェアですが、どうしてここまでシェアを伸ばせたのでしょうか。ご自身ではどう考えているか教えてください。
単純に参入したのが早かったということです。
僕が壁紙専門店をはじめた時って壁紙専門の小売店が日本にはなかったんですね。ホームセンターとかで、のり付きの白い壁紙が3種類ぐらいは売ってましたけど、いろいろな柄を買うとなると取り寄せないといけなかったんです。そこに参入できたのが良かったんだと思います。
輸入壁紙についても、他店が売っていない柄を集めてきたのが良かったんじゃないですかね。
ーー23歳で独立され、27歳で会社を立ち上げましたが、会社を立ち上げたきっかけを教えてください。
27歳の時に小売業ををやりたくて会社組織にしました。23歳の時に壁紙職人として独立したんです。
中学卒業して、ちょっとだけ高校に行ったんですけど中退して壁紙職人のもとへ、丁稚奉公(でっちぼうこう)に行きました。
そこから技術を学んで23歳の時に、もう1人でできるやろって放り出された感じです。
独立後に販路を広げたかったので、「濱本廣一」という個人事業主よりも、会社のほうがいろいろと信用してもらいやすいと思ったんです。
後々、設備投資をしようと思っていたんですけど、個人事業主だとお金を借りられる枠が少なかったんですよ。ビジネスモデルを説明してお金を借りようと思って、銀行をいくつか回ったんですけど、断られ続けまして……。
なので、法人のほうが良いと思って法人化しました。

(壁紙屋本舗のホームページ)

借金だらけになった過去

ーー今年で会社設立から20年ですが、これまでの成功体験と失敗体験を教えてください。
成功体験でいうと、小売ビジネスに一本化したのが良かったかなと思います。失敗体験でいうと、先行投資に失敗して借金だらけになりましたね。
広告にたくさんお金を使ってしまって、売上は伸びないのに広告費ばかりかかってしまったことはあります。それで借金が膨れ上がっていましたね。
ーー会社の代表をしていて、うれしかったことと、苦しかったことを教えてください。
苦しいことでいうと、今でも毎日苦しいですけどね。うれしいことは入社した人たちがお客さんが困っていることを解決するために、ページを改善したりお客さんをサポートする方法を一生懸命考えてやってくれているのを見た時はうれしいです。

全人類職人化計画

ーー会社のビジョンが「全人類職人化計画」ですが、このビジョンに込めた想いをお聞かせください。
お客さんがDIYをしようと思った時のハードルを取り省くためというのがきっかけです。
法人化をして、壁紙を売り始めたのはいいんですけど、なかなか売れなくてどうやったら売れるのかなと考えたんです。やっぱり貼り方とか、細かいことがお客さんはわからない、知るすべがないと思ったんですね。
そこで僕らがやっているやり方をお客さんにも教えていこうと思いました。
これさえ押さえておけば大丈夫というHOWTOを充実させたんです。全ての人が職人のようなリフォームができるようにしていきたいと考えています。
ーーホームページを見ると記事コンテンツが充実しているのは、会社のビジョンがあるからなんですね。
そうですね。コンテンツを作る部署がありまして、今度出版もします。『WALLPAPER
WORLD(ウォールペーパーワールド)』という本を作っているんです。「壁は白いもの」という概念が覆る本になってます。”あなたの知らない壁紙の世界を紹介する”内容です。

WALLPAPER WORLD(ウォールペーパーワールド)
内容は壁紙の楽しみ方や、注目の壁紙ブランドの紹介、海外で活躍する壁紙のトップデザイナーへのインタビューなどを載せています。
そもそも壁紙にデザイナーが居ることを知らない人が多いと思うんです。世界では壁紙専門のデザイナーがたくさん居るんですよ。いろいろな角度で少しでも壁紙に興味を持ってもらって、最終的に壁紙を購入してくれたらいいなと思ってます。
でも、まずは知ってもらいたいんです。
本だと書店に置かれたり、Amazonで買えるので、今まで僕らが接していない人たちにも知ってもらえるかなと思ったので、本を出そうと思いました。

ゲームをプロモーションに活用

ーー『あつまれどうぶつの森』を使って壁紙のプロモーションをするというのが、とても面白い発想だなと思ったのですが、反響はいかがですか?
応募者はすごく多いですね。ツアーの受付募集をしてからすぐにその日の分は埋まりました。うちのお店で買える壁紙を『あつまれどうぶつの森』内で再現して、それをショールームにしてツアーをしたんです。女性やお子さまにも参加していただけました。

(ホンポのよみもの 壁紙屋本舗あつ森支店)

お店の中を紹介

せっかくなのでお店の中もお見せしますよ。2階がオフィスになっていて、1階には「WALLPAPER MUSEUM WALPA / OSAKA」が入ってます。

このクジラはシールタイプなので簡単に貼ったり、はがしたりできます。こうしたシールの壁紙もたくさんあるので、初心者の方でも簡単にお部屋のリフォーム・リメイクができます。
シールなので、賃貸マンションでも壁を傷つけずに模様替えすることが可能です。

これ、画面越しだと本物みたいに見えますが、壁紙です。サボテンでも枯らしてしまう人におすすめな観葉植物の壁紙もあります。

壁紙は何万種類もあるので、全部見ようと思ったら一週間くらい通ってもらわないと見きれないと思いますよ。
壁紙にもビンテージ物があるので、世界にここだけしかない壁紙も探せます。

外出できない時に気分転換できる壁紙

ーーお店の中まで案内していただきありがとうございます!
新型コロナの影響で外に出られない日が続きましたが、壁紙を変えると気分転換になると思います。この時期におすすめの壁紙を教えてください。
ミューラルが流行ってきてます。ミューラルというのは一枚絵の壁紙で、自然の風景などの壁紙があります。うちで扱っている『PHOTOWALL(フォトウォール)』はスウェーデンのブランドなんですけど、壁一面に海や花の壁紙を貼ることができます。

(PHOTOWALL / Cloudy Blue Sky Horizon)

(PHOTOWALL / Sunflowers in Sunny Weather)

大量生産しない物づくり

去年から自社ブランドの開発にも力を入れはじめています。これまでの日本の内装メーカーが作る壁紙は100人中50人くらいは良いと思ってくれると思うんです。そうではなくて、
100人中1人が良いと思ってくれるような商品を開発したいと思っています。
普通は工場の機械を回して大量生産するので、「最低でもこれくらい売れる見込みがないと作らない」ってなります。でも、うちの場合は1メーターからでも作れるデジタルプリントの機械を入れているので、
年に1人だけに売れる商品を作れるんですよ。”大量生産しない物づくり”っていうのをやりたいんです。
「こんなもん誰が買うねん!」って壁紙を作ろうと思っています(笑)。
例えば自分が飼っているペットの写真を大きな壁紙にすることもできますよ。『Qtan(キュータン)』っていうサービスがあるんですけど、さっき登場したうちのアレサの壁紙も作りました。

(つくれるアートパネルQtan)
写真プリントは大手もたくさんやってますけど、それとは違くてパネルのようになっています。インテリアのアイテムとして、写真とは違う立ち位置でやってますね。

新型コロナの影響で壁紙の需要は増えた

ーー自分のペットの壁紙はすごく需要ありそうですね。濱本さんの会社では新型コロナの影響で働き方や事業に変化はありましたか?
働き方でいうと影響ありますね。これからは製造も自社で力を入れていきたいと思ってやっているんですけど、家ではテストプリントができないし、施工テストもいろいろな環境でやらないといけないんです。
リモートではできない仕事がどうしてもあるので、そこは難しさを感じました。新しいことを生み出すための施策がなかなかできなかったですね。
事業でいうと、5月は昨年と比べると190%くらい伸びてるんですよ。
実店舗は閉めていたんですけど、通販が2倍くらい伸びました。みんな、これだけ家にいるってことがなかったし、家をさらけ出すことも今までなかったじゃないですか。オンライン会議で家の壁とか見られるわけですよね。そういう事情もあって壁紙を買う人が増えています。
ただ、出荷作業が大変でした。
公共交通機関を使って出社することをスタッフにやめてもらっていたので、徒歩や自転車、車通勤ができるスタッフだけ出社してもらっていたんです。
いつもより少ないスタッフだけで2倍の量を出荷するっていうのはなかなかのアクティビティでしたね。出荷作業もソーシャルディスタンスを守ってやらないといけないので、出荷場のレイアウトをゴールデンウィーク入る前に全部見直したんですよ。大改造しましたね。
ピッキングするにしても、梱包するにしても距離感を全部見直して、動線が重ならないようにしました。受注は増えてきてるけど、出社できるスタッフは少ないし、効率も考えないといけないし、ソーシャルディスタンスも考えながらそこはバタバタしてましたよ。
普段だと翌日か翌々日にはお客さんに壁紙をお届けできるんですけど、この期間はお届けまでに2週間くらいかかってしまいました。

濱本 廣一さんの「やりたいこと」

ーーさくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、濱本さんが今後やりたいと思っていることを教えてください。
先ほども少し話しましたが、大量生産というよりは100人中1人の方が「この柄じゃないとあかん!」と気に入ってくれる商品を出したいです。
年間の売上目標というものは特にないんですよ。セミオーダーシステムを作っているんですけど、ドット柄のドットのサイズをもう少しだけ小さくしたいとか、人によって微調整できるようにしています。
たくさん売るというよりも、これを買ってよかったという壁紙を1人でも多くの人に味わって欲しいと思いますね。
執筆・企画

川崎 博則
1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子
さくらインターネット カスタマーエンゲージメント部所属。主に「さくらのユーザ通信」(メルマガ)を担当。さくマガでは編集に関わっている。

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