「死んだ魚のような目ってどんな目?」サカナに関する著名なことわざ/慣用句3選
釣りを趣味とする者にとって、魚に関する言葉を知っておくことは、釣りの楽しみを広げる要素のひとつである。魚にまつわることわざや慣用句には、昔からの知恵や教訓が込められており、日常生活にも応用できるものが多い。本記事では、釣り人なら知っておきたい魚に関する言葉を紹介していこう。
魚に関することわざ・慣用句
よく知られる有名な3つのことわざ・慣用句を紹介しよう。
逃がした魚は大きい
釣りをしていると、一度かかった魚をバラしてしまったときほど、あとになって「大物だったのではないか」と思ってしまうものだ。このことわざは、まさにその心理を表している。
釣りに限らず、人生においても「手に入れ損ねたものほど、価値があったように思えてしまう」という状況は多々ある。例えば、あと一歩で昇進を逃したり、買おうか迷っていた商品が売り切れてしまったりすると、必要以上にその価値を高く感じたりするものだ。釣りにおいても、逃した魚の記憶ほど強く残るものはない。
水清ければ魚棲まず
一見すると、きれいな水のほうが魚にとって良い環境のように思える。しかし、あまりにも水が澄んでいると、魚は外敵に見つかりやすくなり、安心して泳ぐことができない。このことわざは、清廉過ぎると、周囲の人は親しみづらく、逆に疎まれてしまうことの例え。
釣りにおいても、透明度が高すぎる水域では魚の警戒心が強く、釣るのが難しくなるものだ。適度に汚れているほうが魚もすみやすく、数が多くなって、活性も上がり、やはり釣れやすくなる。
水を得た魚
魚にとって水は生きるために不可欠な環境である。水の中では自由自在に泳ぎ回るが、水がなければ動きが鈍くなってしまう。このことから、「水を得た魚」は、自分に適した環境で能力を存分に発揮する様子を表す慣用句となった。
例えば、「彼は営業職に転職してから、水を得た魚のように活躍している」というように、仕事や趣味などで自分の適性に合った環境に移ったときに使われる。
「死んだ魚のような目」とは?
これもよく聞く言葉だ。「死んだ魚のような目」という表現は、ことわざや慣用句ではなく、比較的新しいスラングの一種である。主に、「無気力」「感情がない」「疲れ切っている」といった様子を指す。
例えば、長時間の仕事や勉強で疲労困憊した人、何かに絶望して無気力になった人が、虚ろな目をしているときに「死んだ魚のような目をしている」と言われることがある。
特に、現代社会ではこの表現がよく使われる。通勤ラッシュの満員電車の中で、疲れ切った会社員がぼんやりと窓の外を見つめている様子などが典型的な例だ。釣り人なら、弱って浮かんでしまった魚や、釣り上げられてぐったりした魚の目を見たことがあるだろう。あれほど悲しいものもなかなかない。
おまけ:魚の漢字を知っておこう!
魚の名前はカタカナで目にすることが多いが、漢字表記もある。魚の漢字には、その特徴や由来が反映されているものが多い。自分の釣りの対象魚は、漢字でどう書くか、知っておくともっとサマになる。
筆者の場合でいえば、メバルとアジ、さらにシーバスあたりが対象魚で、漢字では次のように書く。
眼張(メバル):大きな目が特徴の根魚で、秋~春の釣りのターゲットとして人気がある。
鯵(アジ):初心者にも釣りやすい人気の魚で、「味が良い」ことからこの漢字がついたとされる。
鱸(スズキ):ルアーフィッシングの代表的なターゲットで、成長によって「セイゴ」「フッコ」「スズキ」
――いかがだろうか?まさか釣りの最中に上記のようなことわざや慣用句をあえて使うと相手を白けさせるかもしれないが、酒席などちょっとした場で人との会話の中で披瀝すると、魚釣りの話題に繋げるきっかけともなるかもしれない。魚の漢字を覚えておくことで、さらに博識に思われたりして!?
<井上海生/TSURINEWSライター>