オフィス空間の隙間を生かして「キッチンレス社食」 福利厚生の強化と従業員満足度向上の切り札
ノンピ(東京都千代田区)は9月12日、同社が運営する、工事不要・低コストで導入可能な社員食堂モデル「キッチンレス社食」への問い合わせ件数が、前年比3倍に増加したと明かした。
42年ぶりに「社食補助」引き上げ見込み 家計支援と賃上げ促進
物価上昇を踏まえ、「社員食堂補助」の税制優遇枠引き上げが42年ぶりに検討される。福利厚生制度である「食事補助」は、企業が従業員の食事代として、給与とは別に支給する報酬。現在は企業が従業員一人につき月額3500円まで負担した場合に非課税とされるが、42年ぶりに限度額が拡大されることとなる。
こうした状況を背景に、「キッチンレス社食」への2025年6月から8月までの問い合わせ件数が前年同期比で352%伸びた。
厨房(ちゅうぼう)設備がなくても、温かいランチが社内で食べられる
同社が展開する「nonpi Chef’s LUNCH」では、ケータリングで培ったノウハウを生かし、調理済みの食事が都内のセントラルキッチンから各社へ届けられる。社内での料理人雇用や食材の仕入れが不要ながら、「ホテル水準」のランチメニューを提供するとしている。
具体的には、以下のような特徴がある。
・工事不要で、オフィス空間の隙間を生かし「キッチンレス社食」を導入できる。
・大型設備を持つ厨房付き社員食堂と比較し、社食導入コストは9割カット。
・元ホテルニューオータニ料理長による品質管理、常駐スタッフの提案による企画力を生かしたメニュー展開で、湯気の立つ温かく美味しい食事をリーズナブルに提供。
・使用するお米は、提携農家と協力し栽培した「循環米」(食品残渣(ざんさ)を基にした液肥を活用し栽培)を採用し、資源循環に配慮。
社内コミュニケーションの活性化や健康経営、「第3の賃上げ」効果も
経済産業省が8月29日に公表した2026年度税制改正要望において、食事補助制度に関する所得税非課税限度額の引き上げが明記されたことについて、外食関連企業や福利厚生サービス事業者などで構成される「食事補助上限枠緩和を促進する会」は、「改正実現に向けた大きな前進」との見方を示した。
同会は、食事補助制度の非課税限度額拡大により、以下のような効果を見込む。
・従業員の実質的な手取り賃金の増加による、物価高への対応
・ランチの欠食の解消、健康的な食事の選択、共食の促進など、「大人の食育」の推進
・中小企業の人材課題解消、労働生産性の改善、非正規雇用労働者の待遇改善
・平均ランチ代の引き上げによる、飲食産業に対する消費拡大
また、社内コミュニケーションの活性化および健康経営の推進につながるほか、可処分所得の実質的な増加をもたらし「第3の賃上げ」としても期待できると説明している。
発表の詳細は同社の公式リリースで確認できる。