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新作から不朽の名作まで クリスマスの“小学生向け絵本”3選[子どもの本専門店・店長選出]

コクリコ

新作から不朽の名作まで クリスマスの“小学生向け絵本”3選[子どもの本専門店・店長選出]

「小学生へのクリスマスプレゼント」に贈りたい絵本として、『サンタがふたり?』『急行「北極号」』『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント PETER RABBIT CHRISTMAS』を紹介。子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」店長・茅野由紀氏が厳選。連載「子どもの本のプロが選ぶギフト絵本」第7回。

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絵本は、子どもへの贈りものに最適なアイテム。とはいえ、数ある絵本の中から年齢や好み、贈るシーンに合った1冊を選ぶのは、なかなか難しいもの。連載企画【子どもの本のプロが選ぶギフト絵本】では、絵本の専門家が、子どもにも親にも喜ばれる贈り物にふさわしい絵本をセレクト。

第7回は、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」店長の茅野由紀(ちの・ゆき)さんが、「小学生へのクリスマスプレゼント」におすすめの絵本を紹介します

サンタさんがふたりいるその理由は……?

毎年クリスマス前になると、我が「ブックハウスカフェ」にもたくさんのクリスマス絵本が並びます。クリスマスを描いた絵本は絵も美しく素敵なものばかりで、3冊を厳選するのはとても難しいのですが、今回はクリスマスならではの豊かな時間をじっくりと味わえる作品を選んでみました。

最初にご紹介するのは、今年(2025年)10月に発売されたばかりの『サンタがふたり?』(講談社)。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選者のスズキトモコさんによるクリスマス絵本です。

『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)

主人公は、サンタさんとケーキ屋のマルタさん。クリスマス前日のふたりのようすが、まるで映画のように同時進行で描かれています。住む場所も仕事も異なるふたりですが、実は共通点がいっぱい。

クリスマス前日が一年でいちばん忙しいこと、楽しみに待っている子どもたちがいること、帽子が仕事のアイコンになっていること。恰幅(かっぷく)がよく、立派なおひげをたくわえているところもそっくりです。そんなふたりにアクシデントが……。

「サンタさんが いそいで プレゼントを くばっていると……あっ!」
「マルタさんが いそいで こなを ふるっていると……あっ!」

サンタさんの白いおひげが真っ黒に! マルタさんの黒いおひげが真っ白に!  提供:『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)

おかげでサンタさんはマルタさんに、マルタさんはサンタさんに間違えられてしまいます。一年でいちばん忙しい日に入れ替わってしまったふたり、一体どうなってしまうのでしょうか──?

サンタさんとマルタさん、ふたりを対比させるという視点がなんともユニーク。トナカイとマルタさんの弟子のクリスもとってもかわいくて、ページをめくるごとにクリスマスのあたたかでハッピーな気持ちに包まれます。

そして、特色インキで印刷したアート性あふれる絵も素敵。グローバルに活躍するスズキトモコさんが描く人物は、どこの国の人ともいえないような無国籍な魅力があるのもお気に入りのポイントです。お話そのものはとてもわかりやすい内容なので、小学生はもちろん、小さなお子さんも一緒に楽しんでいただけるのではないでしょうか。

入れ替わったふたりは、どうなるのか?  提供:『サンタがふたり?』(作:スズキトモコ/講談社)

クリスマス前夜に体験する不思議な汽車の旅

次にご紹介するのは、クリス・ヴァン・オールズバーグによるロングセラー絵本『急行「北極号」』(あすなろ書房)。

1986年にアメリカの権威ある児童書の賞のひとつ、コルデコット賞を受賞。日本では村上春樹さんが翻訳を手がけて1987年に出版され、2003年に現在の改訂版が出版されました。2004年には『ポーラー・エクスプレス』というタイトルで、トム・ハンクス主演の映画にもなったほどの名作です。

改訂版が発売された当時、オールズバーグの作品は一世を風靡し大人気でしたが、時を経ても色あせることなく、今でもギフトとして購入されるお客様がたくさんいらっしゃいます。「ブームだから」ではなく、「いいものをいい」として選んでくださることがうれしいですね。

『急行「北極号」』(絵・文:C・V・オールズバーグ、訳:村上春樹/あすなろ書房)

物語はクリスマスの前夜、サンタクロースを待つ少年のもとに不思議な汽車があらわれるところから始まります。汽車の名は、急行「北極号」。主人公の「ぼく」と大勢の子どもたちが乗った汽車は、森を抜け山を越えて、北へ北へと向かいます。

そうしてたどり着いた目的地・北極点の町で待っていたのは、サンタクロースと何百という数の小人たち──。

現実の世界から始まり、ゆっくりと壮大で荘厳なファンタジーの世界へ導き、またふと現実世界に戻る。いわゆる“行きて帰りし物語”の描き方が、実にお見事! 読み手の子どもたちを夢中にして、物語の世界へ連れていってくれます。光と影を巧みに描いたオールズバーグの絵は、幻想的でストーリーにぴったりです。

この出来事は“すべて夢だった”とも読めますし、絵本の中ではサンタがいるとも、いないとも描かれていません。小学生にもなると、周りのお友達から「サンタなんていないよ」などと、ささやかれることもありますよね。

「サンタさんっているのかな? いないのかな? でも、いるって信じたいな」。そんなふうに気持ちが揺れている子には、「いるって信じてもいいんだよ」と安心感を与えられますし、「いないよ」と言う子にもぜひ読んでいただきたい絵本です。

主人公がサンタからもらった銀の鈴、あの音がずっと聞こえる子でいてほしい──。そんな想いも込めて、クリスマスに贈ってはいかがでしょうか。

世界一有名なうさぎのアドベント絵本

最後にご紹介するのは、『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント PETER RABBIT CHRISTMAS』(文化出版局)。12月1日から25日まで毎日1章ずつ、短いお話とクリスマスを楽しむためのレシピを紹介したアドベントカレンダーのような絵本です。

『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント PETER RABBIT CHRISTMAS』(文:レイチェル・ボーデン、訳:長友恵子/文化出版局)

ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターの世界観を大切に描いたお話は、1章ずつでも楽しめますし、クリスマスに向けて徐々に盛り上がり、ひとつの長い物語としても楽しめます。まだ原作を読んでいない子は、ここからピーターラビットの世界に触れるのもいいですね。

私自身も経験がありますが、子育て中はこうした短編集が大活躍します。読み聞かせるときに大人は気持ちがラクで、子どもは「このお話を聞いたら寝よう」という区切りにもなる。その短編集がましてやアドベントになっていたら、より一つひとつのお話が特別なものになるのではないでしょうか。

また、それぞれのお話の終わりには、クリスマスにちなんだレシピや楽しい遊びが紹介されています。アドベントカレンダーやオーナメント、クリスマスカードの作り方をはじめ、クリスマスシーズンに食べられるイギリスの伝統菓子・ミンスパイの作り方も!

比較的家にある材料でできる簡単なものばかりなので、親子で作れば、きっとクリスマス気分を盛り上げてくれるはずですよ。

装丁が豪華で、ページ数も多く読み応えがあるのでクリスマスギフトにぴったり。文字は多めですが、お話自体はやさしい内容で、下にきょうだいがいるご家庭なら一緒に読むのもおすすめです。クリスマスまでの一日一日を大切に、家族で楽しく過ごしてほしい。そんな想いまで贈る相手に届けられる1冊です。

取材・文/星野早百合

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